刀鳴りの都:ピーター・メトカルフ筆
The Clanking City by Peter Metcalph
(Japanese Version: 02/27/2002 added)


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(編集者ノート:このヒョルトランドと「忘神群島」の南にあった都は、多くの文献でさまざまな名称で呼ばれている。ジストルウォルと呼ばれるが、それは人工の神の実験がここで行われたからである。(グローランサ年代記を見ること)この都はまた「刀鳴りの都」とも呼ばれるが、それはこの都にかつて「刀鳴りのする」《鋭刃》呪文(訳注:RQ時代の設定)がかかった魔法の剣を大量生産する工場があったからである。(ジェナーテラセットの「グローランサブック」を見ること)そして今日、機械廃墟と呼ばれるが、「大閉鎖」の前に土着民がこの都市にあった施設を破壊したので、ここに多くの廃墟があるからである。そして最近の設定によると、(ウズ・ロアーのような)第二期のグローランサについて言及するとき、いつも出てくるリルケットという名前の都が、この都市と同じものだということが判明したからである。以下はピーター・メトカルフ氏の設定したこの都市の現代の状況である。)



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「刀鳴りの都」は(巨人の壁はないことをのぞけば)パヴィス市のような巨大で廃墟となった建物で満ちた場所である。郊外と防衛帯は完全に古の種族たちに破壊され、数多くの妖魔や罠がはびこっているために。戦利品を得るのはいささか望めない。この区域を通って都に近づくのは全くの自殺行為であり、もっとも勇敢で愚かな者だけ試みる。たいていの者は空港からこの都市に入る。


 古の種族たちの呪いがないところで多くの者が「刀鳴りの都」の内部区画に入るのにふさわしいところを見つけている。その場所からは地獄のような刀鳴りと機械が回る音が聞くことができる。この都市の外部区画はそこを旅する多くの人間にとって安全であり、そこにいくつもの壁で囲まれ、孤立した区域をみつけることができる。この区域でのおもな危険はモーロックたちと下級のジストリである。


 モーロックたちはジストル神が殺される前にどうにか彼から離れることができた神知者の末裔である。しかしそれに続く魔術的な変動により、彼らはしなびた畸形の人間性の残骸へと突然変異を遂げた。彼らは古の種族の獣のようなしもべとして、大部分の人類を憎悪し呪っている。(忘神群島の住民は例外のように見える)これらのモーロック族は多くの部族に分かれて組織されていて都市内域の集合的な要塞に住みついている。この部族のいくつかは他の部族と戦争を行っていることが確認されている。



 モーロックたちは自分では戦わず、下級のジストリに頼っている。これは自動人形であり、考えを持たずにモーロックたちのために戦い。多くの姿や大きさをとって姿を現す。大部分は人間型だが、なかには足の代わりに車輪をもっているものもいる。さらに他のものは腕を持たずに、代わりに工具や爪を備えている。(ジストル神以外に)観察されたことのある最大のジストリは三本脚のぶかっこうな怪物たちであった。これらは時によりモーロックたちを輸送しているところを観察されている。


 モーロックたちは時々人間のいる孤立した区画に集団で襲撃をおこなうことがある。(しかし「空港」がその目標にされたことはない。)その目的はモーロックたちのために捕虜を得ることである。長いこと続いている噂では、捕虜たちは巨大な奴隷工場に運ばれ、地獄のように忌まわしい帽子をかぶせられて精神的に支配されるということが聞かれている。昼間は、奴隷たちはなにも考えずに苦役に精を出し、夜間は彼らの夢そのものすらモーロックたちのために生み出された帽子によって歪められているのである。



「刀鳴りの都」の内域は非常に魔術的で危険な場所である。ジストル神が打ち負かされた時、生き残っていた神知者たちは最終防衛設備を発動した。最初に「終末の日の爆弾」が「城塞」の中で安全な者を除いて全グローランサを破壊する意志をもって発動された。そのあと「終末の日解除の爆弾」がここに住んでいた神知者達のイメージに応じてグローランサを再生するために発動する予定であった。(この計画の全てが古の種族たちが停戦し、セシュネラの王が自ら退位することになるよう発表されたはずであった。しかしジストル神は使者たちが送られる前に殺されてしまったのである。)しかしグレムリンが時限装置のスイッチを入れてしまい、これらの爆弾は意図されたものとは異なる結果を出した。「終末の日の爆弾」が爆発して付近にあった「城塞」を即座に消滅させて、この城塞を永久的に虚無の中に封じ込める前に、都市の内部区画の一帯が魔術的にふくれあがり、新しい建物と驚異に満ちたものへと変化を遂げてしまった。





「刀鳴りの都」のいくつかの地点
空港:これは最大の封鎖区域で、忘神群島のタラールたちによって統治されている。定期的にヘリコプターの輸送がカジノタウンと「刀鳴りの都」のあいだを往復している。この都に入ることはきわめて安い運賃で済むし、カジノタウンでできた負債を払えない人の場合はただである。タラールたちが「空港」の人口があまりにも少ないと感じたときに、騙されて「刀鳴りの都」に連れこまれた人々がいることは知られている。外に出る運賃は払うのが無理なくらい高く、一番の方法は都で秘宝をさがし出してそれをタラールたちに譲り渡すことである。


ジストル神の残骸:このよく知られている場所は数マイルにまたがって広がっている。これはオーランス神によって殺されたジストル神の残骸であると多くの者に見なされている。多くのわけのわからない言葉をしゃべるモーロックたちがここに住んでいて、自分達の神をよみがえらせようとしている。遠くから観察されたことによると、巨大な灯りのついた塔がジストルの心臓の上に建てられている。ジストル神が再び目覚める時には、彼は「虚無」まで到達し、ふたたび「城塞」をグローランサへと戻すことになるだろうという研究の報告がされている。


「村」:この人間のいる飛び領土は非常に閉鎖的で、ほかの区域から孤立している。ここの住民は都の外に出る方法を探すよりは、むしろ(「第一番目の者」と呼ばれる)「預言者」の言葉に耳を傾ける。そして「禁じられた秘密」を知ることによってのみ彼らは「刀鳴りの都」から出ることができるのだと信じているのだ。「新しく来た者」全員が神知者と見なされるため、「第二番目の者」に「禁じられた秘密」を言うまではここを離れることを禁止されてしまう。誰も「禁じられた秘密」を知らないため、「村」を出ようとして邪悪な陰謀に加わっている少数派がまぎれもなく存在している。この孤立した区域の人間は特殊な型のジストリを支配しているが、それらは巨大な球に似ている。


「驚異の広間」:これは巨大な公園で、ジストル教徒の多くの発明したもので満ちている。モーロックたちがここに関心を示さないので、人間がここに住みついている。モーロックたちの無関心の結果、発明品の多くは今では静かになっている。それはモーロックたちがそれらを修理するために骨を折っていないからである。ここに住んでいる人間の大部分は機械をどうやって修理するのか理解しようと懸命になっている。特にこの場所で重要なところはタイムマシンの場所、もしくはそれがあった所とむしろ言うべきところである。「旅人」はジストル神の敗北の前に、さらに未来へと旅立ち、それから戻ってこなかった。彼の旅立ちの場所からカルトが生まれ、それは「旅人」の帰還はまもなく行われ、彼はカルトの者を「黄金時代」へと導くであろうと説いている。懐疑的な者は「爆弾」の効果がタイムマシンを「刀鳴りの都」から「鏡の海」に放り出してしまったので、「旅人」がそもそも戻ってこざるを得ないのではないかと疑っている。



イヴィロスの水晶の工場:これはジストル教徒の最初の工場であり、今日でも稼動している。この工場は注文通り水晶を製造することで有名である。イヴィロスの剣のクリスタルは剣の柄に装着され、永久的な《鋭刃3》の効果をもたらす。モーロックたちがこの工場を動かしていて、下級のジストリたちに動力を与えるために作られた水晶のほとんどを用いている。勇敢な人間の一団がこの工場に入って、建物の支配権を自分用の特別なクリスタルを製造するのに十分なだけ長く保つことがある。もっとも人間がもとめる利用法は本来なら封鎖されているところに入ることができるようにする鍵石を作ることである。この工場は「爆弾」が爆発したときに酷い打撃をこうむった。モーロックたちに修理されたが、ここのクリスタルは都に浸透している「終末の日解除の爆弾」の残光の中でのみ働く。都市の外(つまり古の種族のいるところ)ではこれらの水晶は無価値なガラスのかけらになり、時には塵になってしまう。この理由から、「空港」のタラールたちは支払いのためのクリスタルを受けいれない。


「城塞」:この建物は「爆弾」の爆心地であった。(「城塞」の崩壊を防ぐ特別なヌル・フィールド(無の結界)があった。)爆弾の爆発以来、この「都市」のあるところは事実上到達できないところになっている。モーロック部族のいくつかが「城塞」に住んでいる神知者と接触をもっているところが観察されているが、この城塞がどんな風に見えるか知っている人間はいない。この城塞の細かい部分は最大の秘密として伏されている。


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