Q&A グレッグ・スタフォードへのインタビュー
インタビューのうち、大半はまりおん氏の翻訳をそのまま流用した。(まりおんさん
は注文等ありましたら、どうかお教えください。)
二〇〇一年九月七日
Q1、1990年頃に氏が描いた「グローランサの断面図」は今も有効ですか?
その場合、「地界」というのはどっからどこまでを指しますか?
.
A1、有効である。ただし、拡張されている(グレッギングともいう?)。
A1、グレッグはおどけた顔で微笑し、「有効です。しかし私はこのことに関しては
さらに「構想」を広げている。」(グレッギングというやつである。)そして彼は私
にヒーロー・ウォーズにおける神界の地図を見せてくれた。月の領域は中央部にあ
り、オーランスの領域は「北西部」にある。「暗黒」の領域は「南方」にあり、「虚
無」(グレッグがなんて呼んだか思い出せない・・・)の領域は「東」に位置してい
た。彼はこの地図と昔ながらの断面図が「両立する」と言った。神知者、もしくはド
ラゴニュート族の知覚力であれば、彼の意味することが分かるだろう(笑)
Q2、Sartar
Rising ! はいったい何時出るんですか。
A2、
9月予定: The Complete Griselda
by Oliver Dickenson.
10月予定: Sartar Rising! Adventures for Orlanthi
Barbarians
11月予定: Sartar Rising! Orlanth is Dead!
ISBN
がまだなかったので、もしかしたらなにか障害があるのかも。もしかする
と次の2つが先に出るかもしれない。
12月予定: Hero's
Book
2002年
1月予定: A Promise of Thunder
2月予定: Hero Wars: 2nd
Edition
このスケジュールが守られるかどうかはわからない。そう希望するなら、
Issaries に GTA
のメンバーとして寄付しよう!(スポークスマン風に)
彼はあまり裕福じゃないんですよ。(2001年12月現在、予想通りSRは出ていな
い…)
Q3、ルナー帝国はローマかビザンティンかペルシアかシュメールかどれですか。
A3、ペルシア(ササン朝ペルシア)。
A3、彼は最初「ペルシア」と言い、次に「ササン朝ペルシア」と言った。私はダラ
・ハッパが非常に古代中国に似ていると言った。彼はためらいがちに否定し、自分の
古代中国に関する知識はすくないと言った。私は彼のこの発言は信じられない。
Q4、HW第二版は第一版とルール的にはどれくらい違いますか。
A4、精霊魔法と魔道と秘法のルールが変わる。
#
ほとんどやん(笑)。
あと「誤った信仰」のルールが変わる。
A4、「呪術のルールは変わり、魔道のルールは変わり、悟法のルールも変えられ
た。」最後に彼は認めた。「誤った信仰」のルールも変えられた。
Q5、カリル・スターブロウはアーグラスに暗殺された、で正解ですか?
A5、「恐ろしいアイデアだ。No」
#
ええ! 意外……
カリルは一度死んで、蘇生されて、ハレックにぶち殺される予定。
A5、彼は私に英雄戦争のスケジュール表を見せてくれた。ある時カリルは殺され、
1625年にプレイヤー・キャラクターに復活させられる。そして1630年に「グローラン
サ年代記」にある通り、ハレックに殺される。(私は誰がハレックを唆したのかにつ
いては聞いていない。)この時には、彼女は蘇生されなかった。
カリル・スターブロウ:
グレッグは「おそろしいアイデアだ!」と言った(アーグラスの暗殺について)
(グレッグはグワンドルのサガの影響をほとんど否定した。もし
Life of
Moonson の影響を聞いても同じ反応だったろう)
SR!
より、カリルとたくさんのアーグラスたちについての引用をもらった。
1621年:オーランス死す。恐るべき酷寒の冬。次の春は来ない。
1622年:アイスランドの戦い。オーランスは一部解放される。
テマーティンは道化、愚者、ヒョルトの子らの面汚しだ。
グレッグはカリルを愛しているのだと思う。
カリルは若き日に神々に対する無知と欲望のために過ちを犯した(ギリシア悲劇
の(女)英雄のように)。
ポラリス・リグスダルとの絆。
カリルは彼との間に魔法の子供をもうけた。
(オラーヤのホン・イールのように?)
カリルは三度死にかけた。
最初はボールドホームで。2回目はラーンステイの卓で。3回目はホワイトウォー
ルで。
彼女は1625年に死に、ヒーローウォーズのシナリオで蘇生させられる。
たくさんのアーグラスたち:
カリル、マニスキの息子、ヴェンハールの息子、白い雄牛の、悪夢のエノスター、
“鋭き剣の”ガーラス。
そしてPCもアーグラスの一人になれる。
Q6、サーターではランカー・マイしか書き言葉を読めないそうですが、他の地
域(ルナー帝国とかフロネラとかクラロレラ)でも似たりよったりですか。
A6、ドラゴン・パスの識字率は2%、他の文明化されたクラロレラ帝国やルナー帝
国やロスカルムで
も3〜5%程度。交易語の書き文字については基本ルール参照。
A6、ドラゴンパスの識字率が2%だとすると、より文明化された地域は3から5%
程度。(ルナーではほとんどイリピー・オントール信者かビューゼリアン信者だろ
う。)
Q7、ダンストップのアンスタッドについて、今のところ決まっている設定を詳
しく教えてください。ターシュ王家に連なる者、という話を耳にしたので
すが……
A7、決まっていない(笑)。
PCがなっても可。
A7、彼は言った。「ダンストップはターシュの都市である…」彼はそれ以上のこと
は知らないと言った。彼は自分が意図的に誰がジャ・イールの恋人であるか決めてい
ないことを告げた。「君」が彼女の恋人になるのかもしれない。
私は彼にジャ・イールの英雄戦争における過ちについて聞いた。彼女はアージェン
ティウスをもっと良い仮面が継ぐことを期待して生贄にしてしまうが、戻ってこな
い。(あるいは何人も戻ってくる。)ジャ・イールは自分のしたこの過ちを正すこと
にその能力を向ける。
Q8、日本のファンジンの漫画で、アーグラスの片腕となる?ノチェットのネレ
スティナ(グローランサ年代記、p.190)は「美しい白い羽のダック(雌)」
となっていますが、問題ないですか。
っていうか、その設定大好きなんで採用してください(笑)。
A8、#
大和さんの「ドラゴン・パス英雄伝説」ですな (^^;
。
グレッグは笑った(笑)。
A8、私もグレッグも彼女のことを知らなかった。そのため「年代記」の目次を見て
その項目を見つけた。私は何人かの日本人が、彼女を美しい雌のダックだとしている
と言った。彼は笑った。
二〇〇一年九月十日
Q1
新たなる白い月の信徒たちは、Fiscal
Anarchistなど互いに関連性の薄いいくつ
もの組織に分かれているようですが、ではジャ・イールが論破しようとしている、
Keepers of
the White
Moonとは何者なのでしょうか?単なるインチキ聖者という感
じではないように思うのですが。
A1、(話を聞いた結果、白い月信徒の秘密を明かすことはヒーローウォーズのル
ナー
シナリオのひとつ……「白い心のものがたり」と呼ばれるもの……をだめにして
しまうのがわかった)(2001年12月:それはあとのおたのしみ?)
Q2
フマクトは、オーランスが「光持ち帰りし者たちの探索」をしている間何をして
いたのでしょうか?
A2、
GS(グレッグ・スタフォード):
フマクトは自分自身の神話を行っていた。大暗黒の中、フマクトは死者と生者を
きりわけていた。彼は死者の赴く地界を作り出した。それゆえフマクトはオーラ
ンスがイェルムに謝罪しアラクニー・ソラーラの網を作りだしたとき、地界すな
わち彼自身の世界にいたのだ。
Q3
オーランスはフマクトによって斬られたので、地界に旅立つことが出来たのだと、
フマクト自身が言っているという噂を耳にしたのですが、本当でしょうか?
A3
GS:
その通り。
フマクト=「死」。
オーランスは地界へ行った=「死」。
では問題は「どうやって死は渡されたのか?」
オーランス(と他の光持ち帰りし者たち+ラウーサのような他の神々)はみな、
オーランスはすすんでそうしたのだという。
フマクトは「俺が弟を殺したのだ」と言う。
どちらが正しいのか?
ああ、もしフマクト=「死」で、オーランスが地界へいった=「死」ならばもち
ろん、
フマクト=オーランスが地界へ行った。
どうしてそれがおこったのか:「それは貴方の神がどちらかかによる」。
Q4
昔の資料では、“第1の月の息子の霊感”はフワーレン・ダール
シッパだったのに、それがいつしか女神グラマーに変わってしまい
ました。なぜでしょうか?
“月の息子の霊感”が、→ ヤーラ・アラニス → ホン・イー
ル → ジャ・イール と続くのを見ると、「第1」はフワーレン
の方がふさわしく思えるのですけど‥‥‥?
A4
GS:
そんなこと言ったかな。思い出せない(私も……(Zeb))。私にとっては、第一の
霊感は“常に”グラマーだった。その情報は私が言ったものではないと思う。
Q5
ヴァンチの政治形態、著名人、産業、主要な宗教(特に農民)など。
A5
GS:
ハラルド・スミスがそれについて一番知っている人物だろう。ここにその情報は
ないね。それをもっとアクセスしやすいようにしようとしているところだ。どう
したらできるか聞いてみる。
(注:ハラルド・スミス氏はセアード(とイムサー、ヴァンチなど……)のエキ
スパート。New
Lolon Gospel #1,#2
は彼の作品。わたしもそうしてほしいが、
今は手に入らないだろう)。(2001年12月:その後のHaraldとの通信で、彼がいまだ
にこの地域の神話に手を加えていることを知り、もはやこれに出ている神話もかなり
非公式のものになっているようだ。(他の地域との調整もあるだろうし。)機会があ
ればお教えしたいです。)
Q6
交易語の読み書きはあるのか?
A6
Storm
Tribe p 113 を参照。
Tallya
が本質的に交易語の書き言葉だ。
人々はおそらく自分自身の話し言葉を交易語にしていると思うし、そうありつづ
けていたと思う。だから交易語で地方の言葉が書かれていることはありえると思
う。Tally
はカルト・シークレットだけどね。
(私はグレッグにヘンドリキ族のラーンステイ社会とサーターについて聞いた)
ラーンステイ=信仰できない「高き力」あるいは神秘的な概念だ。
しかしながら、聖地のなかにはラーンステイに供犠を捧げて特殊な力を得ること
ができるところがある。しかし、それはカルトではなく、入信者はいない。
ヘンドリキのカルトは例外だ。ヘンドリキは特殊ケースで、通常のカルトではな
い。彼のカルトはとてもユニークで、ゆえに彼は特殊だ。彼のラーンステイのカ
ルトとのつながりはラーンステイの重要なイベントがこの地で起きたことに由来
する。私が前に述べた「特殊なケース」のひとつだ。
グローランサには少なくとも2つのヴォイド・ホールがある。マガスタの渦とサ
イフォン川の穴だ。どちらも川が「虚空を充たすために」流れを逆流させる、と
いう同じコア・ストーリーがある。これがこの物語の「宇宙的な性質」だ……水
はなにもない場所に流れ込んでいるように見えるという(グレッグはヒョルトラ
ンドの大きな地図を見せてくれた。サイフォン川を覆うように(文字通り)大きな
「足跡」が
あるのを見ることができた……)
Q7
嵐語は読み書きがあるか? またある場合、サーター語とどちらの方が広く使
われているか?
A7
GS:
嵐語=「大気の神々の言葉」。
嵐語の表記形は存在しない。しかしながら、ランカー・マイの「高レベルの」文
字は神々の言葉を書き記すために使われていたという。
彼らの二重の筆記は「一般的な」ものと、「嵐の文字」(Storm
Script)と呼ばれ
るものからなる。「一般的な」ものはランカー・マイの司祭が他の人々に習うこ
とを許しているもので、オーランス人たちのあいだで最も一般的だ。この一般的
な筆記また(ときおり)儀式で使われる聖なる言葉を記すために使われるため、
嵐語にも使われているかもしれない。しかし、それは実際の嵐語をおおよそ訳す
ような仕事にすぎない。本当の嵐語はしゃべらなくてはならない。したがっても
し嵐語を知らないのならば、書き下した言葉は意味がわからないだろう。それは
漢字を使った言葉を、英語で書き下したようなものに似ているかもしれない。
彼らの文化において、ランカー・マイはほとんど読み書きを他人に許すことはな
い。
以下は私の質問。
(ところで、嵐語、火炎語、大地語、海語、Diamondspeech
とはなんだろう?)
神々の「部族」はそれぞれ自身の自然の音を持っている。水の部族は水と大洋、
そして深淵の静寂の音。それらの音はみな意味を持っており、その意味が神々の
言葉だ。水の神々は海語を持つ。しかし、それは神々の言葉であり、筆記語では
ない。
これも私の質問。
(ダラ・ハッパとテシュノスの火の神々は同じ言葉をしゃべっているのか?)
究極的にはイエス。しかし、究極の語彙は神々の究極の儀式においてのみアクセ
スできる。それらの究極の儀式に至るには地域の言葉をつかわねばならない。そ
こで、我々は炎の神々にダラ・ハッパ・バージョンの火炎語ではなしかけ、最終
的には究極の炎の音だけを聞けくようになったそのとき、テシュノスの神々と同
じ言語を耳にし使っているということになるだろう。
Q8
エスロリアにイェルマリオ信者はいるか?
A8
ええ、少数。
Q9
いわゆる
Manga
化に興味はありますか?
A9
GS:
見てみたいね。
フランスのダック漫画をみたことはあるかい?
Q10
RQ2の「ビチュリアン・バロシュの旅行記」を読むと、物質界でヒーローク
エストを行っている場面がありますが、HWでは異界でのヒーロークエストの
みが語られています。これは第二版で改訂される予定はありますか?
A10
GS:
うん、できるだろう。ちょうどいまヒーロークエストについての作業をちょっと
おこなっているところで、このヒーロークエストの側面を表現することになるだ
ろう。
Q11
「ハルマストのサガ」を出版したりする予定はないんですか?
A11
GS:
書き終わったらね。現在、未完成のかたちのものが
GTA の Hero
サイトで見る
ことができる。すでに書いたぶんのほとんどについては変更されることはないだ
ろう。それを完成させるにはいくつかの抜けている部分を埋めなくてはならない。
Q12
出版予定がある「グローランサ・エンサイクロペディア」はどのくらいできて
いますか?
A12
GS:
「エンサイクロペディア」は、おそらく決して完成しないものだろう、たぶん。
しかしこの本を作るために作業の正しい部分を集めたいと思っている。エンサイ
クロペディアのうちの大きな部分は
GTA
メンバーにオンラインで利用できるよ
うになっている。(正直にいうと、似たようなタイトルの本がグレッグ氏の書棚
にあるのを見た……)
Q13
バラザールのイェルマリオは精霊信仰(誤った信仰)である、という意見は正
しいのでしょうか?
A13
GS:
これは、現代のイェルマリオ信仰についての解釈にあたっていない。私は以前こ
れを精霊信仰の方法を使ったイェルマリオ信仰を「誤った信仰」であると言及し
たことがある。これはいま文章にしてしたくない例外ルールだから、出版するも
のではそう明言する予定はない。
(まりおん注:なんかうまく訳せないなー)
Q14
ローマはササン朝ペルシアということですが、
Unspoken Word #1
を読むと多分
にローマ文化のように思えます。これは、セアード文化がローマ風な文化で、ル
ナー帝国全体の政治体制・文化などがペルシア風であるということでよろしいで
しょうか?
A14
GS:
他の人がどう帝国を見、自分の本でどう表現するるかをコントロールすることは
できない。ローマ帝国はルナー帝国とよく似た特徴をそなえているかもしれない。
しかし、わたしの視点としては、中東の方がより一層適当であるといえる。出発
点として、ルナー人にはローマ人に一般的であった標準化の方法論がない。あき
らかに帝国とは組織だが、それは集められたつぎはぎのもので、トップダウンの
政治的取り決めではない。
他の軍団についての注:ルナー帝国にはローマ帝国がもっていたような協調はな
い。またレギオン(legion)も使っていない。
Q15
来日の予定はありますか?
A15、
GS:
11月のヒーローウォーズ日本語版の発売にあたって、日本に招待されているよ。
(2001年12月:彼は来た、見た、勝った(笑))
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