History of Inconnu


英語版の原文は以下のサイトへ
http://www.brodar.org/stuff/inconnu



以下はダニエル・ハームズDaniel Harms氏の非公式設定を許可のもとに翻訳したもので、翻訳の間違い等は当方にあります。この設定はかなり古く、World of Darkness第一版におそらく典拠したものです。しかしアンコニュの設定は空白と公式版ではされており、またこの記事の大枠はそれなりに汎用性のあるものであると思います。



アンコニュ
Inconnu



ダニエル・ハームズ筆 (harmsdm@ctrvax.vanderbilt.edu)


筆者ノート

 以下の文書はわたしがアンコニュについての考察を、この夏の残りを通じて描き続けた結果生み出された。この論題について「暗闇の世界World of Darkness」の本に見つけ出せるものならどんなものでも組み入れるようにわたしは努力してきた。もしここの記述にWODの「正典」に反するようなことが書かれているなら、それはわたしがその本に目を通していないか、それに反駁する情報がある資料を見つけ出したからである。(これは特にフネドアラHunedoara城の記述について当てはまる)全ての反論、忠言、けんかのメールをカーボンコピー(CC)でharmsdm@ctrvax.vanderbilt. edu.のアドレスに送って欲しい。




前文

 正気を喪った聖人の手配で思いがけない出発を彼が迫られるニ、三週間前、わたしは南西支部のバアル教徒、リアン・コープランドと話をしていた。そして我々は血族の歴史と伝統に関わるさまざまなことについて夕方のほとんどを費やしたものだった。話題はミトラ教、後にロンドンの公子になった、ひとりのヴェントルー氏族の者にまつわるローマ帝国の秘教に移った。

「彼はロンドン大空襲以後行方を絶っている。しかしわたしは彼を考慮に入れていないよ。」リアンは言った。「結局のところ、彼は彼らがアンコニュになる前に、アンコニュの一員であったというだけだからね。」

「でもアンコニュのメンバーが公子になるのを許されたというのはどういうことだい?」わたしの注意力は散漫になりはじめ、わたしは覚醒したままでいようと努力した。

「そうだな、彼は「アナーク大反乱」の直後に彼らの仲間たちの目的が変わったことから、グループから抜けたのだよ。わたしは君がこのことを良く知らないと考えていいのかな?」

「誰も彼らのことについて話そうと望まないようだ。私はアンコニュのことを彼らの仔らとお互い同士から身を隠している長老達としてだけ描かれている「ヴラド・ツェペシ」の文献を読んだ…。」

「ああ、その通り、君が知っているとおり、君の友人であるサルコフはこのことに責任があるのかも知れない。有用な情報源だが、このことにかけては正しいとはとても言えない。」

 わたしは危うくサルコフについて訊ねるところだった、しかし話題を続けることを望んだ。「それにわたしが話をした「血族」の中にはアンコニュが実はジハドを操る張本人であり、アンテデルビアン達の僕だと言っている者がいるよ。」


「若者達の噂話がはじまったか!いいだろう、わたしは我々の歴史のこれほど重要なことについて君を無知な状態にしておくには忍びない…。その夜以来、わたしはリアンが喋ったアンコニュの、滅多に知られていないことに関連する文献の照会を行ってきた。この作業は彼らについては、いかに少ししか発見することのない事項であるか、ということを念頭に行われた。しかしわたしはその判断についてはここに挙げられる情報の読者にゆだねておく。(それに彼はバアル教徒であり、どんな情報のかけらでも提供されれば喜ぶだろう。)




起源

 後にそう呼ばれるところのアンコニュは、元々はヴェントルー、ラソンブラ、マルカヴィアン、そして少数のトゥルー・ブルーハーの連合であり、ローマ人の様々な党派を操っていた。お互い同士の些細な喧嘩に時間の多くを費やしながらも、彼らは自分の権力の地位を保つのに十分なだけの統一された集団を作り上げていた。これらの千年もの蓄積された経験を持つ将軍達や政治家達のひそかな援助により、ローマは地中海地域に並びない覇権を打ち建てた。アンコニュによって行われた最も重要な事業の一つは、第三時ポエニ戦争の後で引き起こされた、ブルーハー氏族の中心地であるカルタゴの破壊であった。アンコニュの勢力下でほのめかされる話では、ブルーハーが地獄の悪魔に関わることに手を出し、そのためにカルタゴは浄化するために破壊されなければならなかったとするものである。しかし、これの裏の論理にあるものはまずなによりも経済的なものであった可能性が大きい。原因がなんであれ、この都市の破壊は必然的に、数世紀ものブルーハー氏族とアンコニュの間の闘争を導いた。ポエニ戦争後、トレアドールは力でローマへと移住を始め、彼らの多くがアンコニュに加わった。

 キリスト紀元後の最初の一世紀、アンコニュには階級間で意見の食い違いが現れ始めた。厳密な意味で何が起こったのかは歴史の流れの中に失われた。しかし皇帝(カエサル)アウグストゥスの治世のしばらく後に、少数のマルカヴィアンの同盟者と共に、トレアドール氏族がヴェントルー氏族から「帝国」の支配権を奪い取った。権力を得たこの連合体はしばらく勢力を保ち、北方にあるツィミィーシ氏族の支配下にあったダキア地域を征服する仕事に手を染めることができた。このことから起きた長きに渡る抗争はアラリックと、ヴェントルー及びツィミィーシ氏族に率いられる蛮族の軍の前に、ローマ帝国が崩壊することに結論としてつながった。ローマの滅亡の後、ヴェントルー氏族は自分たちのグループを改革したが、トレアドール達は戻ってきたこの君主達に対する怨みを消さずに、彼らの元から去っていった。

「暗黒時代」の間、以前のローマの支持者達は退いて、かつてイタリアで彼らが享受していた中央集権化した帝国の宮廷をもう一度作り上げようとした。彼らは様々な人々を援助し、その中にはフランスのメロヴィング朝の血統も含まれていた。しかし彼らがかつての栄光に最も近い対象として見出したのはローマのカトリック教会だった。彼らの目的はしばしば欲求不満のものに留まったが、さまざまな形の人形使い達が計画のいろいろな状況で出没し、他の者の計画としばしば争いを起こしていた。あまりにも複雑怪奇な状況だったので、より新しく造られた「血族」がその活動を知るごとに、このような隠れた力について余りにも無知であることから、「未知」を意味する「イグノティIgnoti」(「卑劣なIgnoble」という意味をも含んでいる)という言葉が彼らのグループを表すのに最初に用いられ始めた。しかしこのグループの中には、「結社Order」と自分たちを呼ぶ者達がいた。サウロットに対する「同族喰らい」の衝撃がアンコニュを団結させたという者も他のところにはいる。このことは部分的には正しい。サウロットの死は「結社」に大きな精神的打撃として現れ、彼の死後はこのグループはより集権化した。しかしこれは主としてグループ内にトレメールに敵対する意見を生み出す結果に終わった。トレメール氏族の立場に打撃を与えようとする努力がなされたが、アンコニュは戦闘の荒れ狂う場所を拠点とするツィミィーシ氏族自体によってなされた、彼らを追い出そうとする決定に妨げられた。そして、アンコニュ自体の党派に、サウロットの死は実のところ「癒し手」自身の計画によってなされたのだという意見を持つ者たちが、復讐されるべきではないと考えていたことも努力の妨げとなった。しかし大方のところ、その時点ではアンコニュは自分たちの拠点である領地でトレメールを悩ませるのに非常に忙しかった。

 アンコニュに現代の体制と目標をもたらしたのはカッパドキウスの「同族喰らい」と共に起こったアナーク大反乱だった。生き残った長老達が見たものは自分のために権力をより得ようとする試みが、混沌と破壊をもって終わりを迎えたということだった。以前には滅多に起こらなかった「同族喰らい」が突如として偏在する脅威として現れたのである。このグループはますます物質的なものの追求に興味を失い、高度な真実に興味を見出し始めた。もっとも実利的な者でさえ、それが自分たちの存在を守るのに必要な唯一の道だということから、ジハドから遠ざかることを賢明だと考えたのである。

 アウグストゥス・ジョヴァンニの台頭もまた大きな注目の対象となった。トレメールと同じく、彼らは自分たちが殺した「創始者」の氏族を滅ぼそうと試みた。しかしながら、トレメールは数世紀に渡って敵の信用を傷つけ、悪魔とおとしめる宣伝活動を行なった。ジョヴァンニは「血族」社会にそのようなことができるほど関係を築いていなかった。そのために独力でカッパドキアン氏族を狩り立てる事を強いられた。そのために、彼らは遠方から血族達の氏族を見分けることが可能な特殊な儀式を用いていた。(ダニエル・ハームズ:わたしはリアンにその儀式がトレメールがサウロットを発見した儀式と同じものかどうか尋ねた。彼がわたしに言ったことは、トレメール氏族の魔術はより自然と結びついていて、アンテデルビアンの周囲に集まるエネルギーの集積を見分けることができるだけだったが、ジョヴァンニのその儀式は生命と死の循環により結びついていて、より容易に「異例なものanomalies」(吸血鬼達)を見つけ出すことができたということである。このことは彼ら(訳注:アンコニュ)にフネドアラ城を全ての侵入から封じる儀式を行わせるきっかけとなる革新的な術であった。新たに結成された「十二人評議会Council of Eleven」は世界中にこの派閥のあたらしい主義について伝えた。ロンドンの公子ミトラスも含まれる、以前属していたメンバーの多くが自分たちの現世的な力と血族社会の問題に関わることを断念できなかったが、同じ頃に、新たな伝言がブルーハーとトレアドールの共同体の一部に届き、賛同を得た。時が過ぎゆき、さらに多くの「古の者」達がジハドで勝ちを占めることに飽き飽きし、その傾向はアンコニュが今日持っている力に達するまで続いたのである。




加入資格

 何者もアンコニュに頼んで加入したことはない。時機が来ると、アンコニュはその個体に接触し、紹介の手を差し伸べる。受け入れられるには、志願者は、独り身になり、仲間からさらに操られることを避けるだけの知恵と力だけでなく、ジハドから自分が逃れたいという真実の望みを持っていなければならない。

 血統上のカインとの近さは、この「結社」で重要な資格の一つである。志願者は加入に第六世代かそれ以上の血の濃さである必要がある。もし「同族喰らい」がこの等級を上げる上でなされていたら、メンバーはその行為がいつ行われたか、その動機は何であったかを考慮に入れる。少しの「若さゆえの軽率な行為」は大目に見られるかもしれない、その一方で比較的最近に行われた行為はおそらく許容されないだろう。(単にアンコニュに加わるためだけに「同族喰らい」を行うというのはとりたてて悪いやり方である。)年齢は重要な因子だが(潜在的メンバーは少なくとも三百歳を越えていなければならない。)、カインとの近さは最も重要な要素である。

 しかしながら、これらの掟はゴルコンダに達した者の前には緩められる。このような血族は必須の成熟さと潜在力を持っていると見なされ、他のアンコニュのメンバーに深い敬意をもって遇される。たいていの場合、(訳注:ゴルコンダの)探求者はその探索の旅の上でアンコニュのメンバーのひとりと接触し、この組織はそうなった後にはその者に監視をつける。全ての「嘆息の儀Suspire」を成功のうちに完遂した者は加入するように導かれる。(リアンがわたしに後に語ったことによると、「力と内なる声の道Path of Power and Inner Voice」でゴルコンダに到達した者には掟には例外がもうけられるそうだ。(SHTTS 64-65ページを参照のこと)しかしそのような個体は常にあらかじめ評価がなされているものだそうである。)しかし探索に失敗した者が加入を申し出られることはない。

 さらにもう一つのアンコニュに加入する可能性のある集団がある…それは「嘆息の儀」の絶頂で、ゴルコンダに達するよりは人間になることを選んだ者達である。伝説によれば、このような人間は現れたとき、アンコニュに加わることを許されるそうである。しかし最近はこのグループに人間のメンバーはいない。(D・H…おそらくそのようなメンバーがいたことはないだろう。リアンは彼によると、ゴルコンダとは自分自身の天性を受け入れることであり、探索の終わりで人間になりたいとなど考える者はすでに失敗しているのだと力説していた。しかし、なんにせよ、バアル教徒にゴルコンダについてどれだけ知っているのか尋ねることに意味があるだろうか。)

 その個体がメンバーになるかどうかによらず、個人的に誘いをかけた二人もしくは三人のアンコニュに会う事になる。もし拒否されれば、アンコニュはその者の監視を続け、一世紀か二世紀の後にまた手を差し伸べ、同意すれば彼らはメンバーとして受け入れられる。しかし、良い環境で本当のメンバーになるには、その者はフネドアラ城塞に旅し、「十二人評議会」の前で全てのジハドにおける役割を断念し、この組織の外の血族に負う、もしくは与えられた誓いと同様に、全てのほかの派閥や氏族に対する忠誠を捨てるという厳粛な誓言を行う。「評議会」の氏族指導者達はいかなる「血の契りBlood Bond」も無効にしてしまい、フネドアラ城が引き起こす恐怖や忘却からの免疫力をあたえる魔法の印を授けるのである。



派閥の恩恵

 ジハドからの免除はそれ自体十分な利益と見なされ得るかもしれないが、この結社の長老血族との交流も重要な要素である。「十二人評議会」の直接的な指令(これは極めて稀なことである)がある場合を除き、この結社のメンバーは他の団員を援助する義務に縛られているわけではないが、アンコニュのメンバー間の友情が強いあまりに、しばしば非公式の相互保護の協定につながることはままあることである。それに加えて、この結社は情報をやりとりするだけでなく、もし十分な動機があれば、メンバーの他の者に《訓え》を授けることすらある。

 アンコニュのもう一つの利点は、そのメンバーの過去の行いの赦免である。アンコニュに加入する前のいかなる契りも重要でなく無意味であるとみなされ、その誓いによる責任を果たすように求められるいかなる者も、あるとしても、ほとんど地位を失わずに免除が許されることになる。しかしこの「結社」はたくさんの負債のある潜在的メンバーを敬遠する傾向がある。



責務 

 アンコニュのメンバーにとって耐える事を期待される、ましてや強制される掟は少しだけしか存在しない。「結社」のメンバーはジハドから離れていなければいけない。このことはこのグループの掟の中で最も重要である。アンコニュの者のアンコニュに加わっていない仔との接触すら短く公明正大なものでなければならない。アンコニュはまた吸血鬼種族の保全に身を捧げなければならない。しかしこのことはアンコニュのメンバーが自衛や…あるいは他の理由のためにでも吸血鬼を破壊してはならないというわけではない。「評議会」はそのような事態の時は、ジハドに関わらない原因が見出せるようであれば、当事者に疑いを保つ贅沢を許しておくことが多い。しかし他のアンコニュのメンバーの殺害は最も厳しい処置をもって扱われ、加害者は狩られて殺される。



アンコニュからの脱退

いち個体は除籍の要請か「十二人評議会」の追放令のいずれかによって「結社」を離れることができる。しかし多くの場合、アンコニュはほとんどそのメンバーの暮らしに介入しないし、それゆえに「血族」のある個体は数世紀の間孤立していながら、いまだにメンバーとみなされている。追放の唯一の可能な理由としては、外の世界の事象に関わることを続けているか、その「血族」のアンコニュ内の存在が修復しようもなくその組織、あるいはメンバーに損害を与えていると「評議会」にみなされる場合である。




組織

「十二人評議会」

 この評議会はクレートCret(訳注:後述、ヴェントルー)すなわちトレメール氏族監視者、そして十一体のもっとも経験を積んだ「血族」で成り立っている。評議会員は死ぬか辞任するまでその地位にとどまる。新しいメンバーは選挙されるわけではなく、「評議会」によって作られたリストの中から選別される。年齢は重要な要素だが、評議会員は自分たちの能力を補完する力を持つ者を探す。この地位が要求されることは滅多になく、多くのメンバーは自分の目的を果たすために、評議会に招かれても断ってしまう。

 評議会の責務には、今日では、監視者たちの報告を収集し、関連付けることや、正義を適用すること、トレメール氏族監視者をその責務において援助することも含まれる。評議会は必要ならば大いなる仕事をする能力を持っているが、今日の弱い役割でいるほうを好んでいる。彼らは「評議会」の偉大さは意志が強く、扱いにくい長老達を動かすことができる能力にあるのであり、自分たちのグループの集権化は多くの強大なメンバーを反発させてしまうと弁えているのである。




監視者

 しばしば志願されるこの役職はある都市、あるいは国家、もしくは五十体以上の「血族」が住んでいる地域があてがわれる「監視者」である。アンコニュの外にいる者は、しばしばこの役についている者をありとあらゆる場所にスパイを張っているほとんど全能の個体と見なしている。これはある程度の場合正しい。しかし、それぞれの監視者の習慣は非常に差があり、自分の領域の中でもほとんど注意しないあるいは関心をひかないものがたくさんある。実際のところ二人の監視者の領域が適当に重なり合ってもおかしくない。大方のところ彼らは自分の存在を秘密のままにしていくが、自分から公然と告知を行うこともあれば、見せかけの身元をみせて公然と「血族」社会に入っていくことすらある。後者の行動は「過失」を見張る「評議会」の目に厳しくさらされている。

 監視者の責務は単純である:「評議会」にいかなる不自然な出来事をも報告すること。このことは概して新たな「血脈bloodline」の出現や、大きな超自然的存在の侵入や、劇的な血族社会での権力の移動などを意味すると解釈されている。しかし正確な「不自然な出来事」の定義は当該の監視者に大きく委ねられている。しかし大きな出来事を見つけるか報告することの失敗は、「評議会」からの不興となって終わるかもしれない。

 余り良く知られていないことの一つは、アンコニュはさまざまな氏族に対して監視者を配していて、彼らの責務はその歴史や、政治や、噂などを研究することである。大方の場合、この監視者たちは該当する氏族のもっとも学識のあるメンバーである。トレメールや、セト人や、ジョヴァンニ氏族については、事情はかなり異なる。クレート、「十二人評議会」に座っているカリスマ性を持つヴェントルーは、トレメール氏族監視者の役を引き受けている。そして彼はしばしば自分の責務を他の評議会員に援助されている。ジョヴァンニとセト教団の監視者にはそれほどの価値はないが、それでも重要な役には違いない。評議会はサメディの血脈の者に自分たちの監視者を任命する根拠についての変則性について議論しているが、この問題は結論の出ないままでいる。


(DH…リアンはバアル教団の監視者は存在しないと主張しているが、わたしはそれに該当する者を見つけられなかった理由には、彼自身の失敗以上のものがあると考えている。)



派閥

 アンコニュは、他の団体と同じく、そのメンバー間に意見の違いを抱えている。しかし他の共同体と違うところは、アンコニュはきわめてばらばらであり、分権化しているためにそのような行き違いが分裂まで行き着かないことであり、せいぜい活発な議論と口論が交わされるくらいである。これらの派閥はその時点での事態に応じて、できたり消えたりする。しかし二つの派閥は数世紀も生き残っているし現代でも異なる政策を追及している。第一の派閥は「探求者The Seekers」という名称でしばしばくくられて呼ばれている。この派閥はゴルコンダの追求を血族の切望する最大の責務であると考えている。すでにゴルコンダに達している者やこの境地に達するべく自分の時間を全て費やしていない者は、アンコニュに属していない者でゴルコンダを探求している者を探し、彼らを助ける仕事を自分に課している。「探求者」にとって、「血族」の真の達成は全てのメンバーが自分自身の本性を受け入れるを学ぶことによって到来するのだと考えている。

 この疑問をかけられるもう一つの側は「浄化者Purifiers」たちである。この名称の縁起の悪いふくみにも関わらず、このグループのメンバーはきわめてその目的の遂行において善意にあふれている。たいていの場合、その競争者達に対してより理性的であり、彼らは科学と魔術を用いて、血族は自分たちの独自性を維持したままでその限界を克服することができると信じているのだ。

 数世紀前には、二つの派閥は比較的人数において平等だったが、「啓蒙の時代」以来、「浄化者」の人数は増し、実際のところ大部分の評議会員はその中に数えられている。しかし抑圧はアンコニュの性質ではないので「探求者」たちに対抗する行動が取られることはないだろう。




団員(メンバー)

「十二人評議会」のみが結社のメンバーの完全なリストを知っている。もしある氏族のメンバーが他のメンバーと接触を持ちたいと望めば、慣習的に評議会に陳情する。しかし他のメンバーがその者を望む者のところへと導くこともありうる。
 

アーリマン、バアル教団氏族、血の兄弟たち、不協和音の娘達、ジョヴァンニ氏族、サメディ、トレメール氏族:これらの氏族あるいは血脈に属するいかなる者もアンコニュにはいない。


アサマイト氏族:少数のみ加入している。そして十五世紀よりすくなくしか生きていない者はいない。全ての者は氏族に排斥されている背教者である。


ブルーハー氏族:カルタゴの記憶はいまだにこの氏族の者の記憶に強く残っている。しかし多くのこの都の敗北の後に血族となったものはそれにもかかわらず、この派閥の自由の標榜にひかれて加入することを選んでいる。


カッパドキア人氏族:ジョヴァンニ氏族が全てのカッパドキアンを破壊したと信じられている。しかし、もし彼らが生き残っているとしたら、アンコニュは彼らにとって隠れるのに最上の所であるかもしれない。


セト教団氏族:ふたりもしくは三人の変節者が(おそらく)自分たちの創始者の道を放棄して加入を認められている…若干の保留事項をおいてだが。


ギャンレル氏族:彼らの自然と血族社会から離れた孤高さへの愛好により、ギャンレルは最もアンコニュの精神に親近性がある。そして多くが他の氏族よりも数えられる。


ガーゴイル血脈:最初のガーゴイルがアンコニュに招き入れられたというのは可能性がある。しかし、そうだとしても、彼より低い世代のガーゴイルが彼を見たことは長い間ない。


キアシド血脈:少数のみ、この世捨て人の血脈がアンコニュに加わっている。


ラソンブラ氏族:その氏族創始者の破壊に応じて、多くのラソンブラが自分の優秀性を再評価する必要性を感じた。多くの「古の番人」であるラソンブラがアンコニュに参加し、多数が「天国の道Path of Heaven」の啓発の道にいまだに従っている。


マルカヴィアン氏族:マルカヴィアン達は、カマリリャやサバトに加わるのと同じくらい容易に?アンコニュに適応した。


ナーガラージャ血脈:この血族でアンコニュの世代条件に適合する者はわずかであり、それゆえに一体か二体が加わるに留まっている。


ノスフェラトゥ氏族:ノスフェラトゥ及びニクトゥークの両方がアンコニュに歓迎される。しかし加入の際にお互いへの敵意を捨てることを期待される。


ツィミィーシ古氏族:ラソンブラの親族達と同じく、アナーク大反乱はこれらの個性の多くに自分たちの優秀性を再評価する理由を与えた。オラデアOradea同盟の支配者達と共に暮らすのに不満な多くの者がこの組織に加わった。(この「ツィミィーシ古氏族」のインターネットにおける投稿記事によると、これらの者の大多数はその他の創始者の仔らに継承権が与えられた時に第五世代の「家」のメンバーとして認められた者たちらしい。(訳注:このあたり訳不明瞭。))


サルブリ氏族:全てのゴルコンダの探求に成功したサルブリ氏族はこのグループへの加入が許される。しかし彼らのそこに留まる期間は、彼らの仔が同族喰らいしてしまうのでたいていの場合短い。もしGMのルールがいかなる高い世代のサルブリも許さないとしているのなら、彼らは多くの場合アンコニュに属していそうである。(そして一般のメンバーの大部分に畏敬をもって扱われているだろう。)


トレアドール氏族:それほど多くのトレアドールはかつてほどアンコニュに戻ってこなかった。しかしこの氏族の者が「血族」の政治を自分たちの芸術の妨げになると考える傾向がつよくなるに従い、真の自由を獲得する唯一の道としてこのグループに加入しようとする者が増えてきた。予想しうることだが、「気取り屋」にこのグループに参加する者はほとんどいない。


「真の」ブルーハー氏族:この血脈の「黒手団」につながりのない相当数がその代わりにアンコニュに加わっている。もちろんメンバーは、トロイエTroileの子らとの抗争を放棄している…と(訳注:少なくとも)彼らは言っている。


ツィミィーシ氏族:ごく少数しかアンコニュには加わっていない。彼らの加入は「古氏族」に反対運動をされるし、いずれにせよこのセクトが加入条件として課す条件を満たす者はほとんどいないからである。少なくとも一人のツィミィーシの団員、ヴラド・ツェペシが知られている。


ヴェントルー氏族:大部分のヴェントルーにとって他者に対する支配権を得ることを断念するのは難しい。しかしそれでも驚くべき数のヴェントルーがメンバーとなっている。





啓発の道

 アンコニュは広い範囲の「啓発の道」の者を受け入れている。「人間性Humanity」や「獣の道Via Bestiae」(V:TDAを参照のこと)は特に人気がある。他によくあるのは「調和の道Paths of Harmony」、「名誉ある調停の道Honorable Accord」、「焦げた心 Scorched Heart」、そして(他のものにくらべて近来のことだが)「自己専念の道Self-Focus」である。彼らは「カインの道Path of Caine」とその先駆者達を嫌悪する傾向があるし、その「同族喰らい」を大目に見る傾向から「血の道Via Sanguinus」も嫌う。「テュフォンの道Paths of Typhon」もしくは「悪しき啓示の道Evil Revelations」の者が加入を求められたことはないが、それは彼らの存在が破壊的な影響を組織の他の者に与えるからであろう。




支配地域

《フネドアラ城についてのノート:

DH…フネドアラ城についての描写がthe World of Darknessの本(訳注:この「本」の意味が「暗闇の世界」のいくつものサプリメントに散見するアンコニュ記事のことを指しているのか、それともWorld of Darknessという世界全体をカヴァーしているシリーズを意味しているのか不明である。(第一版は訳者の手元にない。)に書かれていてそれはおおむね正しい。その歴史について触れたわずかなノートがここには記されている。

 
 まず第一に、ヴラド公のトルコ軍の駐留軍襲撃はフネドアラ城で行われたことはなかった…すくなくとも、それはフネドアラでは起こらなかった。この出来事はジウルジウGiurgiuでなされたと記述されていて、それはこの国を半ば横断したところで、トルコ領との境界にあった。

 第二に、この記事の年表は、サウロットの「同族喰らい」が「アナーク大反乱」と同じ時代に起こったように書かれているのと同じように間違っているように見える。この記事の論旨に沿うために、わたしは「串刺し公」ヴラドの時代に近い時代で、かつカッパドキウスの同族喰らいをアンコニュの主義に最終的な変革が加えられた理由として挙げることにした。》(訳注:フネドアラHunedoaraはトランシルヴァニアの実在する州(県?)の名前で、ここの記事に書かれているドラキュラに関わるフネドアラ城との関連は今一つ定かではない。肝心なことは、WODの筆者がしばしば故意に史実をねじまげてより興味深いものにしようと企てることだ。)


地下墓地Catacomb

「評議会」がその呪文をフネドアラ城にかける以前には、アンコニュはたいていの場合パリやコンスタンティノープルのようなローマの都市の地下にある地下墓地で会合を開いていた。(この組織は浸水とジョヴァンニ氏族の存在からヴェネチアの地下にあった昔の巣窟を放棄することを迫られた。しかし「ジョヴァンニ監視者」は残っている洞窟の一つに住みついていると言われている。)子のようなローマの地下墓地は低い地位にある血族人口に会ったり、土着のノスフェラトゥ氏族との親密な協定をむすぶのにもっとも都合の良い場所として見なされている。


ジュネーヴGeneva

 the World of Darknessの本に書かれている通り、ジュネーヴはアンコニュの者がフネドアラへ行くつもりがなかったり、行くことができない時に非公式の会合の場所として用いられている。スイスの公子である、ギヨームGuilliameはここを訪れる全ての「結社」の者を歓待する。ここを出入りする「血族」はここからたくさんの情報を引き出すことができる。しかしさらに価値のあることは、フネドアラ城や地下墓地などで出会うよりもより気持ちのいい雰囲気で仲間のメンバーと会う機会が得られることである。
 
 しかしスイスではなにもかも完璧だと言うわけではない。ギヨームはジュネーヴとチューリッヒの外は「血族」にとって領域外だと宣言している。彼の警告を無視する少数の者は二度と戻ってこない。最近、ギヨームが公子の座からまもなく放り出されると言う噂が散見するが、この長老の力と協定の力を知る数少ない者はかなりこの場所に信頼を置いている。しかしアンコニュ自体の中からこの脅威が支援されている可能性は、憂慮すべきである。



シャルカメンスShalkamense

 アンコニュの秘密の記録保管所。これらに出入りできるのは「評議会」の魔術を用いてのみ可能である。シャルカメンスShalkamense もしくは シャルカマインShalkamainとも呼ばれるものは、大洋の下にある魔術的な地域にひらかれた巨大な図書館である。他のカイン人がシャルカメンスのことをカインそのひとのやすらうところとして話すと、アンコニュは微笑して同意する、なぜならカイン、セツSeth、その他のアンテデルビアンによって記録された智慧のすべてがそこでは見出せると考えられるからだ…もしその者が迷宮のような収蔵書のどこを調べればいいか知っているとしたらの話だが。その書物の大部分は極めて古く第一都市や第二都市まで遡れるかもしれない。しかし時たまきわめて新しい本が古いテキストの中に楔のようにまぎれこんでいる。「ノドの書」の全文がこの中に眠っていることは考えられる…その断片を探し求めて図書館全てをしらみつぶしにする堅忍不抜さをもつ者にとっての話だが。


正しくこの書物庫がなにを所蔵しているのか調べるには数千年を要するのだろうが、度の程度の期間であれそこに留まる者の全ては一つの事実に同意する…ほかの何者かがそこにはいる。たいていの場合いくつか向こうの部屋でページを繰る音や、部屋を横切る冷気で感知できるのみだが。しかし収蔵書の中のものが脅威に晒された時におきることは記録にあたいする・アンコニュの多くがカイン自身がこの図書館の中に住んでいると噂している。シャルカメンスについての研究でユダヤ律法学Rabbinical loreでゼマルガドZemargadと呼ばれる場所とのつながりを見出す者はここで存在が感じられる者はリリスそのひとであると言っている。




汚染

 歴史城の記録からフネドアラ城が消えて以来、悪魔崇拝の汚染が「結社」の中心部に巣くっている。現代では、少数の評議会の者が、手を染めはじめた道に完全にまで身を屈している。大部分の者が自分のしたことを自己嫌悪している。しかし逃れる道を見出せないでいる。

 「結社」の残りも含めて、悪魔崇拝者の比率は他の組織よりも大きいが、それはメンバーに対して緩い統制しかしていないことと、サバトの異端審問会のような「内務を扱う」グループが欠如していることによる。それでも、「結社」内の精神的「啓発」の強調により、「悪しき啓示の道」を選択する者はきわめて稀である。

 最近、「十二人評議会」は「結社」の新入会者に施される魔術により関心を見せるようになっている。フネドアラ城に入る事を可能にする魔法の印を新しい者にいまでも与えるべきかどうかについて、彼らは意見の相違を抱えている。このしるしに関わるなんらの兆しも一般のメンバーには観察では現れていないが、こうすることが悪魔たちに組織の中により多くの拠点を得ることを許すことになるのを心配しつづけている。



バフォメットBahoumet(訳注:バフォメットは実際の歴史上、テンプル騎士団の祭る邪神としてでっちあげられた悪魔であり、彼らはそのかどで解散させられた。筆者がこの名を選んだ意図は不明)

 クレートと評議会がフネドアラ城を世界から消してしまう時に助けを求めたのがバフォメットだった。大量の人間の生贄と引き換えに、バフォメットはあらゆる時のあいだ、この城を周囲から孤立させる大いなる呪文をかけることを約束した。しかしこの生き物は戻ってきて、クレートとその仲間達に自分は一度の儀式で一年しか防護を守れないことを告げた。それ以来評議会は毎年バフォメットの儀式を行っている。

 バフォメットは赤い肌を持つ怪物や、石でできた喋る頭や、白い長衣を着た子供や、インクのように黒い染みや、巨大な鱗のある海の怪物や、そのほかのいろいろな姿で現れることができる(現れていた。)しばしば、彼の出現を同時に見た者が全く異なる姿について描写していたのである。クレートはバフォメットの真の姿を見出すことができるなら、アンコニュが彼との盟約を行う時に先手を取る助けになると考えている。そうなることはこれからもありそうにない。

 一体の悪魔としては驚くべきことに、バフォメットはアンコニュに毎年の生贄をのぞいてほとんど興味を示してこない。そして半世紀の間姿を見せていない。ある者は疑われていたよりもバフォメットが不安定な性質しかもっていなかったことを証明しているのだと言っているが、この悪霊が一撃を与えて、この「結社」全体を崩壊させる正しい時機を狙っているのだと考える者もいる。





メンバー

・バーソロミューBartholemew、キアシド(第6世代)(SHTTS)

・カッシウスCassius…ローマの地下墓地の領主で、いまだ生存している最長老のアンコニュのひとり。彼の氏族が1500年代にジョヴァンニと戦った時、彼はこの氏族について多くのことを学んだ。彼らの客観性に対する疑念がジョヴァンニ「監視者」として彼に任務を与えるのを妨げている。彼は最近香港に潜んでおり、東方の「血族」たちの帰還をそこで待機している。 (WOD1)

・クレートCret…「第二の都」で抱擁されたことを主張するヴェントルー。彼は強大な魔術師として知られ、ラメクLamech(訳注:カッパドキアン?)に比肩するくらい強大であった。フネドアラ城への到着までは、少数の例外を除いて全ての者に伝説的存在と見なされていた。

・ドンディーニDondinni(第6世代)…ジェノヴァの監視者。新しく生まれた血脈の専門家と見なされている。 (PG)


・エリヤElijah(第5世代ギャンレル)

・ギヨームGuilliame…ゴルコンダに達したスイスの公子。彼の国は他のメンバーに会いたいが、フネドアラに入りにくいか、不愉快な場所であると考える者に好まれる出会いの場所と化している。彼は「評議会」に加入したことはなく、評議会のグループとイデオロギー上の「反対」の存在として見なされている。

・マハトマMahatma…イスタンブールの監視者。 (PG)

・ネフェル=メリ=イシスNefer-meri-Isis (第4世代ヴェントルー)…セト教団監視者。彼女の氏族の仲間達に熱心すぎるとみなされている。(PG)

・レベッカRebekah…シカゴ監視者

・ヴラド・ツェペシVlad Tepes(第6世代ツィミィーシ)…この悪名高い領主はアンコニュの指導性のその始まりに多くの援助を与えたが、彼はアンコニュに加わるのを拒否した。彼はカマリリャに吸血鬼種族の存続の最初の希望を託したのである。後に、彼はサバトに加入したが、そこでも彼は節義の欠如を見出した。1848年に、アンコニュとの長い議論の後に、彼らはこのワラキア人をメンバーに迎えた。最近は彼は多くの時間をフネドアラ城で費やしているが、彼のゴルコンダを追求する新たな探求は彼の時間の多くを費やしているようである。「十二人評議会」は彼を念入りに観察していて、それが彼ら自身の贖罪となることを希望している。(COTI, WOD1)




ステレオタイプ

アサマイト:この血族の戦士団はなんと堕落してしまっていることか!少なくともこれは我々がトレメールに感謝してやることの一つだ。


ブルーハー:ポエニ戦争は我々の側の若き頃の無分別であった。しかし我々はそうしたことの裏の理由を忘れてはならない。彼らを公平に、しかし断固として扱わねばならない。

セトの信徒:彼らはいまだに彼らの創始者の道具なのか?問題ない。彼らを避けるか殺すことだ。


ギャンレル:彼らは年若き兄弟で、そのように扱われるべきだ。


ジョヴァンニ:彼らは我々から可能な限り離れている…しかしこれは彼ら自身の陰謀を隠しておくためにそうしているのだろう。


ラソンブラ:高貴だが没落した人々、彼らのアナークとサバトとの交際は不幸な選択であった。


マルカヴィアン:彼らの言うことはなんでもよく聞け、しかしほとんど信じないことだ。


ノスフェラトゥ:最も賢い氏族の一つ。内部抗争は悲惨なものだ。もし我々がどちらか一方を選ぶように強制されるのなら、それはニクトゥークに対抗するものになるだろう。もし強いられればだが。


トレアドール:彼らの芸術的な洞察力はカマリリャ内における彼らの権力の上昇とともに汚染されてきた。


トレメール:サウロットにはよい理由があったに違いない…そうだとわたしの兄弟達は言っている。いずれにせよ、彼らには注意深い監視がつけられている。


ツィミィーシ:この烏合の衆は自分が誰であるか忘れているようだ。彼らの自分たちの長老達への怒りは正当なものだが、彼らの行動はそうとは言えない。


ヴェントルー:彼らのあまりにも多くが自分たちの本質でなく、富と地位で自分自身をはかっている。


バアル教徒:我々の少数が彼らの手に落ちてきた。君が彼らに対抗する時は、速やかにかつ効果的に攻撃すること。


ガーゴイル:トレメールがやるであろうことの程度の証明となるもの。単純な生き物達だが、尊敬に値する。


キアシド:奇妙だが信頼できる。


ツィミィーシ古氏族:大方のところ、彼らは自分の伝統を維持している。彼らがおそらくそれほど長いこと生き延びられないのは不幸なことだ。


サルブリ:彼らをギャンレルと同じく扱うこと。しかしより注意を払って。彼らは最大の敬意を与えられるべき者達だ。


サメディ:それは本当かね?彼らを注意深く観察せよ。


真のブルーハー:大いなる智慧の持ち主。しかし彼らの同族に対する怒りは意味のないものだ。


アンテデルビアン達:氏族統合の象徴としては、彼らは値のつけられない価値がある。実在の存在としては、彼らは大いなる危険である。おしまいには彼らに我々は対決するよう強いられるかもしれない。幸運なことに我々の多くは彼らのことをより古い時代から知っている。


アナーク(訳注:叛徒の古形)達:彼らは理想を持っているが、《訓え》の修練を積んでいない。


カマリリャ:彼らには修練があるが、理想に欠けている。


サバト:子供達。我々の何人かは彼らのやったつまらない「野蛮の狩りWild Hunts」でやったことの復讐で彼らを狩り立てている、しかしこの活動は組織外の動きでやっているに過ぎない。


黒手団(東方派):神秘主義者の一団で彼らがサウロットに教えたのかもしれないし、彼らをサウロット自身が教えたのかもしれない。彼らは我々と同盟したいという意向をほとんど示していないが、彼らを説得できるかもしれない。


黒手団(西方派):我々は数世紀のあいだ彼らのことを調べてきた。しかし彼らの動機を理解するには至っていない…彼らのツィミィーシ氏族を破壊したいという望みを除いて。そして彼らの本拠地はどこだろう?


(アンコニュは東方及び西方双方の「黒手団」と交流した経験がある。しかし二つが再び連合したことには気づいていない。)


東方の血族達:彼らは未知の特質であり、それゆえに最大限の慎重さを持って扱われるべきである。我々の若者達が彼らに接触する前に、我々が彼らに接触できるなら、それが最善かもしれないだろう。


血の契り:アンテデルビアン達の鎖。彼らはいずれにせよ賢い者の道具である。


血族:我々はこの惑星上で最強の存在である。しかしそれにもかかわらず我々は注意深くあらねばならない。


賎民(訳注:人間):我々の一族と同じく大いなる脅威であるが、もし我々が「血族」達から隠れることができるのなら、我々は彼らを扱うのにてこずりはしないだろう。


魔術師達:彼らと付き合うのが少なければ少ないほど良い。彼らについて話すのはできるだけ少しにするべきだ。しかしいつでも彼らがなんでも知っているとみなすこと。


狼憑きたち:我々のいくばくかは儀式を通して、他の者は注意深い言葉と約束で、彼らを扱える。もし君が彼らを怒らせたら、消えること。


幽霊たち:たいていひどく軽んじられている種族…もし我々がそう呼びうるならば。我々がジョヴァンニ氏族をもっと良く理解するつもりなら、彼らをもっと研究するべきだろう。

ミイラ(マミー):万能札(ワイルドカード)。有益だが、彼らを信頼するべきではない。




「偽りの」アンコニュ

 多くのメトセラがいろいろな理由から、アンコニュに加わることを選ばないでいる。彼らは多くのこの組織のメンバーと同じ特徴を持っているが…血族の社会から離れて生き、荒野をさすらう、などである。多くの若年の血族はこれらの個体を「アンコニュ」と呼んでいる。多くの場合、これらの古の者はそれを正そうとせず、この名称が彼らに与える敬意と安全を好む。一方でアンコニュはこのような習慣を妨害しようとはしない。こうしておくことはこの派閥をより強力に見せるし、それにさらに謎めいた帳をかける役割を果たすからである。


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