シナリオ
「ビルディング・ウォールを越えて」
Beyond the Building Wall
Michael O'Brien著
NPCの能力値については、かけがえのない助けをDavid Baur、David Cake、John
Medway、Peter Metcalphから得た。
以下はThe Tales of the Reaching Moon誌13号に掲載されたMichael O'Brien氏の(マルキオン教徒を主に扱っている珍しい)シナリオです。許可の下に翻訳、掲載されています。
背景設定として、
Wyrm's Hold
http://www2u.biglobe.ne.jp/~BLUEMAGI/WyrmsHold-j.htm
Port of Nochet
http://www2u.biglobe.ne.jp/~BLUEMAGI/PortofNochet-j.htm
の訳があります。(テュマーリン家の自治領はテュマーウォルではなくゼラですが、まあ異名かもしれないし、見逃してください。)
導入
このシナリオでは、プレイヤーのキャラクター達はさまざまなマルキオン教徒の雰囲気を味わう機会が得られる。開明的な、あるいは非常に保守的なロカール派、単一神教徒の一団、アエオル派の背教者から暗黒アーカット派に至るまで!(ダックも一人出てくる!)しかし、このシナリオの舞台は聖王国で、プレイヤーキャラクターはどんな背景、経歴からでも参加することが可能である。
交易戦争
交易王たち
国際都市ノチェットは、鏡の海を取り巻く都市の中で最大である。その港はものの流通がもっとも激しく、繁栄している。1581年の海の開放以来、ノチェットはセシュネラから、遙か東方までの利潤を生む水輸の重要な中継地となった。二つの交易王の家門、ノロスのド・テュマーリン家とパソスのカプラティス家は、事実上、海上交易の統制権を分け合っていて、この都の太母たちの認可したいろいろな独占権を巡って小競り合いを続けている。双方の商人家門ともにロカール派マルキオン教に属しているものの、しばしば苦い意味で
宿敵同士であり、互いに離れた壁に囲まれた区域で生活し、都の他の区域や本国の政府からも切り離されている。
カプラティス家のノチェットと周辺地域への関心は純粋に商業的なもので、その一方でド・テュマーリン家は自分達の交易による利益を長期的に、帝国建設の助けになるように利用している。ド・テュマーリン家のヴァンスレイン司教はこの都で、(噂によると、太母の娘達の一人を含む)いくらか改宗者を見いだしたが、宣教活動はほとんど不成功に終わった。ほんの数年前には未来への展望は素晴らしいものだったのだが。
ロカール派の傭兵にして冒険者でもある「虎の心の」リチャード卿が、跡継ぎのないままに先王が亡くなった後、ロカール派教会の名のもとにヒョルトランドの玉座を手に入れていたのである。ヴァンスレイン司教は(ヒョルトランドから改名された)マルコンウォルの新司教に就任し、計画的宣教活動を大衆を改宗させるために行った。しかし3年しか経たないうちに、1620年、ルナー帝国がヒョルトランドに侵攻し、リチャード王は捕虜になり、彼の軍勢は滅ぼされるか、離散し、ロカール派教会はノチェットへの撤退を余儀なくされた。
ガース伯爵の物語
ガース・ド・テュマーリン、「ワームの砦」の周りの領土を数年前、放棄することを強いられた男は、リチャード王配下の騎士達のひとりだった。彼は1620年に王とともにルナーに捕獲された。帝国は彼の身代金に500金輪貨という途方もない高値をつけた。もう既に重い負債を抱えて、ガース伯も彼の家族も、それだけの金を集める力はなく、彼は三年間、ターシュの牢獄でしおれていた。しかし1623年、カプラティス家が意外にも彼の身代金を払ってしまい、ガース伯は解放された。
しかし身代金と引き換えに、カプラティス家にワームの砦の権利を譲渡する契約にサインしなければならなかった。
新交易路
カプラティス家の「ワームの砦」への関心は純粋に商売上のもので、ルナー帝国のヒョルトランド侵攻以来、カーシーを通しての帝国に向かう交易路はホワイトウォール周囲のヴォルサクシ族の叛徒の活動により、ひどく妨害されている。くじけずに、カプラティス家は代わりになるルートを探したのである。グレイズランドを越える選択はすぐに却下された。草飼う民の領域を通る商隊は莫大な代価を払わなければならず、さもなければ若い命知らずな連中に疑いなく襲撃されることになる。彼らの族長は、高価な贈り物でもなければ、若者を抑えることなどできないと主張するのである。
ダック族のはしけはルナーの積み荷を運んで、「ドラゴンの流れ」を川下りし、「ワームの砦」を越えてノチェットまで行っていたが、1613年の「スターブロウの乱」以来、ダックのはしけの船頭たちは無法者になってしまい、多くのルナーの船は多くがこの経路を試みて、途中で奇妙にも沈んでしまう。
代わりに、カプラティス家は「ドラゴンの流れ」に沿っているが、ダック達の報復をこうむらない陸上の交易路を拓こうと望んでいる。残念なことに、川を離れたルートをとるほど、影の高原のトロウルや、ビルディング・ウォールの向こうにいて、放棄された農地を徘徊している山賊や無法者の集団による襲撃の危険が増すことになる。
この理由から、カプラティス家はこの地域のどこかに安全な避難所を求めている。そこからロカール派の騎士たちが通過していく商隊を護衛するために、乗り出していけるようなところである。そしてこのことが、彼らがガース伯から「砦」を買い取った理由である。
カプラティス家とド・テュマーリン家
カプラティス家とド・テュマーリン家の関係は中世後期のヴェネツィアとジェノヴァの関係に似ていなくもない。現在セシュネラ王に対抗して、友好関係にある彼らの母国のノロスとパソスと同じく、双方の側ともに極端に敵対的な態度をとるつもりはない。近年の双方の大きな西方人の家門のノチェットの都における情勢は以下のとおり
:
カプラティス家
現在(1623年頃)カプラティス家の方が優位にあり、川の都側の波止場を支配下に置いている。そしてカーシーに向かう穀物を除いて、全ての海上の穀物輸送を独占している。彼等はアーラタの自治区で暮らしていて、そこは保有しているドックと都の巨大な防壁の間に挟まっている。カプラティス家の商業上の盛運に、アーラタの自治区は極めて手狭であるにも関わらず、アーラタは太母と都の市場に戦略的に手の届く範囲にある。
アーラタは君主階級の長老達の評議で指導され、伝統としてその頭はドンと呼ばれる。しかし現時点では頭はドンナと呼ばれる女性で、年老いたドンの若い未亡人であり、認知されたパソス公爵の私生児でもある。このことはロカール派の司教をいきり立たせているが、ドンナはノチェットの太母と手を組んでいる。
カプラティス家の典型的性格は実利的で率直、精神的な問題には関心が乏しく、ロカール派としてはあからさまに開明的な態度を示す。
ド・テュマーリン家
川の対岸にド・テュマーリン家は自分達の波止場を持っている。彼等はカプラティス家より長くノチェットで取引していて、かつてアーラタと穀物の輸送の独占権を持っていた。しかし彼等は20年前に権利の競り合いでカプラティス家に負けて、川の対岸に移動を強いられた。彼等が築いたこの郊外の自治区はテュマーウォルと呼ばれる。テュマーウォルは明らかにアーラタよりも広く快適で、建物については司教のいる美しい西方様式の聖堂がある。
そうだとしても、ド・テュマーリン家の一員ですら、この都の商業活動のほとんどが行われるところが、アーラタの手前にある市場区域であることは認めざるを得ない。このことにより、ド・テュマーリン家はついには穀物の独占権を失ったが、それ以来、彼らは多くの小規模な利権を得ることに成功し、その中にはロンシ地方との全ての取引を独占することや、名高いエスロリア製の緑色の陶器を輸出する権利を含んでいる。
テュマーウォルは家門の家長であるアラバルト・ド・テュマーリンに治められていて、司教で従兄弟でもあるヴァンスレインに補佐されている。ノチェットのロカール派の教区は穀物の独占権をド・テュマーリン家が失った後すぐ、彼らの教唆によって制定された。教区の司教はテュマーウォルにいて、この地位にある者は常にド・テュマーリン家から出ていた。同じロカール派に属していることから、司教はカプラティス家に対する精神的指導力を主張している。
ド・テュマーリン家の典型的性格は傲慢で威圧的、しかし宗教的に敬虔である。彼らのロカール派の流儀は伝道主義的な匂いを帯びていて、より世俗的なカプラティス家が反発を感じるところである。
探索の使命
「ワームの砦」の支配者の称号をガース・ド・テュマーリンから買い取ったからには、カプラティス家は自分達の主張を確立し、砦に交易拠点を設立しなければならない。そのためにはビルディング・ウォールを越えて探索隊を送らなければならない。プレイヤーキャラクター達はカプラティス家の探索隊の護衛として雇われることになる。「ワームの砦」に打ち込まなければならない杭はどれも長いが、それはカプラティス家がルナー帝国向けの信頼できる拠点を設立できれば、相当な利益を見込めるからでもあるし、利害関係を持つ人々の個人的野心のせいもある。
カプラティス家の探索隊
君主階級
ギラム・カプラティス(野心的、ひねくれた、強情)はアーラタの老いたドンの私生児であり、彼の最近の死はギラムの君主階級における地位を幾分不確かなものにしている。ギラムは自分の身分を保つために、ワームの砦の冒険で成功しなければならないことを知っている。彼はアーラタのドンの位への主張に固執しているが、彼は現時点で恥知らずに、(形式上は義母に当たる)うら若いドンナと結婚し、ドンの位を奪うなどという計画は淫らな欲望として相手にされないということを弁えている。しかし、「ワームの砦」を通過する新しい交易路をひらくことができれば話は別かも・・・・
魔道師階級
テオベルト神父(実利的、節操のない、計算高い)はリチャード王のマルコンウォル戦役のときにアエオル派教会から転向した。彼はリチャードの失墜の後に、ノチェットに避難し、彼はヒョルトランドに戻る術はないことを悟った。テオベルトがロカール派教会に加わったのは純粋に個人的利益のためで、しかし流浪の日々、彼はロカール派の司教や他の聖職者に「蛮族の」経歴ゆえに冷たくあしらわれてきた。しかし、抜け目のない策士であるがゆえに、(不幸なことに負ける側についてきたということはあるが、)彼はカプラティス家にとって有益な(公然と誉められるたぐいのものではないが)資質を僧侶として見出されている。
騎士階級
ド・ヴォイ(訳注:ヴォイはセシュネラの伯爵領のひとつ)ぺグレン卿(無作法、独断的、自信にあふれる)は実のところセシュネラのどこかの田舎から出てきた農夫の息子である。ぺグレンは自分が騎士階級の出だと主張しているし、このはったりは都合に応じて、本国から遠く離れているノチェットのカプラティス家には見過ごされている。ここでは技量のある西方人の騎士が来ることは滅多になく、額面通りのものとして取られざるを得ないのである。ぺグレンは自分の運勢をギラムのものに結びつけている。ギラムは自分の君主階級の身分が保証されれば、ぺグレンに騎士階級との結婚を保証すると約束しているのである。
家僕たち
身分に応じて、ギラム、テオベルト、ペグレンの三人とも召使いを連れている。全員男である。
シスカルド(無口、礼儀正しい、勤勉)ギラムの勤勉な男の召使いは、全てのロカール派でない人間を忌み嫌う。しかし全員のために料理する。
リュートプランド(気難しい、責任感の強い、忠実)はギラムの小姓で、彼の鎧具足、武具、騎馬の世話をしている。
バーマスト(不機嫌、怒りっぽい、狡猾)は主人と同じくヒョルトランド人だが、テオベルトと違って、彼の侍従は西方化した改名をしておらず、まだ実際はアエオル派である。
エスタン(注意深い、積極的、英雄崇拝)は従僕というよりは従士(スクワイア)に近く、彼はいつの日か、主人のぺグレン卿と同じく騎士のふりをするかもしれない。
異教徒たち
カプラティス家は砦を占拠するのに必要な、補給物資を運ぶロバの世話をする三人のエスロリア人のラバ飼いを雇っている。モルブ、ディヴィット、スティーフは全員典型的な(虐げられ、おどおどした、反応の鈍い)エスロリア人の男で、本質的に戦闘には向かず、ビルディングウォールを越えた経験はない。
雇用
さまざまな背景からプレイヤーキャラクターたちは、ワームの砦を交易拠点とするカプラティス家の企てに参加することが可能である。ロカール派としては、カプラティス家は目立って実利主義的であり、彼らの異なる宗教や文化への寛容性は大陸じゅうで交易王としての成功の理由のひとつになっている。物資は本拠地からあまりにも離れているので限られていて、もしカプラティス家が同朋の間で信頼し得る雇われ人を見つけることができないのなら、必要な人材をより広い範囲から探すのにほとんど気のとがめを感じない。
もともとの交渉はノチェットの港湾区のそばのアーラタ地区で、雇われ人を探し始めた、テオベルト神父の口から行われる。カプラティス家は抜け目なく、手付け金はそこそこに抑え、成功の報酬に気前の良い約束をすることで良いサービスを引きつけることができるのをわきまえている。プレイヤーキャラクターにとって良い動機となるのは、カプラティス家の持ち船での西方(パソスや、さらにはソグの都までの!)への無料の渡航権の保証だろう。
プレイヤーキャラクターはドン・ギラムをその地まで護衛し、いかなる歓迎されざる住民をも排除し(噂では砦は時々無法者や草飼う民の背教者に利用されているということである)、カプラティス家の隊商を待機するために雇われることになり、続く数週間雇用期間は続くことになる。ロカール派の騎士の一団が隊商と同行することになるのだが、彼らはいまだにパソスからの船上にある。ドン・ギラムは彼らを待っている時間はなく、PCたちが必要とされる理由となっている。
君のキャラクターが関わることになる理由
プレイヤーキャラクターは、以下のグループのひとつあるいはいくつもから参加して良い:
同朋のロカール派:この者は明らかなカプラティス家の郎党でもないのなら、望んで雇われたのだとしても良い。
アエオル派マルキオン教徒:ヒョルトランドのアエオル派はリチャード王の短い治世の間にひどく迫害された、カプラティス家は、ド・テュマーリン家の司教の行動から慎重に距離を置いていた。したがって、アエオル派のPCは疑い深くなっているだろうが、冒険に参加するようカプラティス家に唆されることはありえる。
その他のマルキオン教派:カプラティス家は個人的な資質を信条の相違よりも優先させているが、目立って狂信的に信心ぶかいところを見せる者に対しては注意深く対処する:過去の経験からこういう連中は問題の原因となるということがわかっているのだ。(注記:このことはマルキオン教徒でない者にはあてはまらない。異教徒の信仰や信心の明らかなしるしを見た時には、カプラティス家の者は面白がったり、おかしく思ったりする。)プレイヤーキャラクターは、どのマルキオン教の宗派から加わっても良い。
ルナー:カプラティス家は「ワームの砦」の権利を認める「博識」ファザールの署名がある文書を持っている。このことから、ルナーの傭兵を雇うのはカプラティス家にとって有益になりうる。
エスロリア人、草飼う民:これらのPCはビルディング・ウォールを越えた地域の土地に従いて知識を持っていそうであり、実利的なカプラティス家は非常に有用であるとみなすだろう。
その他の非人間種族を含む冒険者:もし本当にまともな雇い人を得ることに困ってしまったら、カプラティス家は、いわゆる放浪の冒険者や、果ては非人間種族すら雇うのにやぶさかでない。こういうことになるのは最終手段であり、ドン・ギラムは彼らが良い振る舞いをするように強要する手段を見つけようとするだろう。
エスロリア越えの旅
冒険はPCたちがカプラティス家の一行に加わり、ビルディング・ウォールを越えてワームの砦に旅するところから始まる。この旅の最初の部分は、世界でもっとも豊かで人口稠密な地域のひとつである、肥沃なエスロリアの農地を通ることになる。地元のエスロリア人たちは自分たちの土地を騎馬で通り過ぎる西方人の奇妙な一行を疑いの目で見るだろうが、このような不安定な時代には、異国人を見ることに慣れている。少なくともカプラティス家は近年の記憶にある野蛮なよそ者どもの、「海の狼」や、ディターリ人、ソランティ人、グレイズランド人のような襲撃者ではないのだから……。
ビルディング・ウォール自体はぎざぎざしたサンゴの壁のように持ち上がっていて、壁が場所を占めるために田園地帯から押しのけられた、根こぎになった樹木の残骸や、はては建物までが、かつて偉大であったファラオの力を思い出させるよすがとなっている。
カプラティスの一行は「新たなる水晶の都New Crystal City」の向こうにある壁のない所から、ビルディング・ウォールを抜けることになる。「都」は太母たちの恐るべき「斧の娘」たちに護衛されている。ドン・ギラムは言葉少なに「神を敬う国では、この国のように気の弱い女々しい連中でなく、男らしい男たちが防壁を守るものだ。」と見くびりながらも、彼は「斧の娘」たちに礼儀正しい卑屈な態度で向かい、彼らのそばでは振る舞いに気をつけるように一行のものたちに警告する。
壁の向こうで
ビルディング・ウォールの向こうでは、地域の違いは容易にわかる。エスロリア人はここには住んでいないが、少数のディターリ人や「草飼う民」の無法者が壁の近くに野営している。かつては豊かだった農地が見捨てられていて、廃墟となった建物や雑草の生え茂った畑などが、進むにつれてしだいに特徴のない、広がる草地へと変わっていく。
ビルディング・ウォールからはワームの砦へはおよそ一日の旅である。(45マイル(訳注:約29キロメートル))ドン・ギラムは次の日の早朝にワームの砦に着けるように、目的地の近くでキャンプすることを計画している。
ワームの砦は、ランネル川沿いの高地にぼうっと聳え立っている。石でできた石塊ブロックがぐるりを取り巻いて、奇妙な巨人の歯並びのような景観になっている。煙が砦の内側から立ち昇り、砦が占拠されていることを示している。
RQ:<追跡>ロールの成功で、蹄の大群の跡が砦の周囲の地域全体に見られることがわかる。このことはPCたちがグレイズランド人の無法者が砦を占領しているのではないか、という疑いを抱かせるかもしれない。
HQ:追跡能力trackingのコンテストをデフォルト値で行う。類似能力には代用修正を適宜加える。成功で蹄の大群の跡が砦の周囲の地域全体に見られることがわかる。このことはPCたちがグレイズランド人の無法者が砦を占領しているのではないか、という疑いを抱かせるかもしれない。 |
野盗たち
カプラティスの一行の最初の任務は現在占拠している連中:トゥワング「伯爵」と彼の部下の「獣の谷」の背教者たちのギャング団を追い払うことである。このギャング団は最近、ビルディング・ウォールからドラゴン・パスに向かう旅人たちに「税を課する」ことを始めた。そして彼らの首領である、「すばやき蹄の」トゥワングと呼ばれるセントールは、自分が新たなワームの砦の「伯爵」であると、最初の伯爵以上に僭越な主張を行ってきた。
この野盗たちは砦の中そのものに住んでいて、内部では彼らがガース伯爵の雨よけのいくつかを粗雑に再建している。崖の途中にある鉱山の穴への吊り梯子はずっとまえに綻びているが、トゥワングは数人の捕囚をロープの先に結んで吊りおろしている。
トゥワング「伯爵」とギャング団
「すばやき蹄の」トゥワングはカリスマ性のある若いセントールで(自慢好き、野心的、向こう見ず)許可がなくて発情したとがで、自分の群れから「駿馬の王」に追放された。彼はその後で山賊行為により、獣の谷からも追放され、彼を慕う少数の雌の群れとともにランネル川流域まで逃れた。「石の十字架」の向こうに行けば、彼の首には懸賞金がかけられている。トゥワングは最初の名前を(訳注:twangは弓弦が鳴る音)驚異的な弓の腕前から得たし、二番目の名前は俊足により得た。
トゥワング伯爵のギャングは季節ごとに規模の変化する獣の群れだが、定着している仲間のなかには以下が含まれる:
四頭の若い駿馬はよく訓練され、完全に首領を畏敬している。ドルノール(冷酷、野心的、精力的)、クランクス(忠実、頼りがいある、想像力に欠ける)、チュラフ(向こう見ず、自分の意見にこだわる、音楽的)、ムレド(融通の利く、勇敢、馬鹿)
シセーロ(冷笑的、現実的、慎重)は逃亡奴隷のセントールで、冷酷なルナーの主人によって去勢された。トゥワングより年長で賢く、良い指導者ではあるが、その不幸から群れを指導する立場にはいない。彼は軽はずみなトゥワングに賢い助言を与えている。
老いたサテュロス(サタイア)のロウエ(好色、虚栄心の強い、ずる賢い)と信じられないくらい太った牙なしタスク・ライダーのムティオーグ(嗜虐的、無愛想、怠惰)。両方とも異なる理由から極めて捕虜にとって危険な相手であり、彼らの手の届かない崖の中の空洞に捕虜が置かれている理由である。
ホルスとスロウ(獣じみた、空腹な)は双子のマンティコアで、仲間と言うよりペットに近い。
アガパントゥス(好戦的、臆病、嘲弄的)はダックの戦士で、フマクトの「剣」であると主張している。
雌馬たち(守りに入った、受動的)、トゥワングの六頭のセントールの妻とその小馬たち。
シセーロの策略
一行が近くまで乗り込んでくると、ブロックの間のモルタルの隙間に姿を現すのは一人のルナーの将校であるように見える。この男はシセーロで、ルナーのところから主人の鎧を盗んで逃亡したセントールである。腰から上しか見えないし、特に彼は新ペローリア語を流暢に話すこともあり、見事な兜の羽飾りもあって、シセーロは確かに非常にルナーの将校らしい風体をしている。
それにふさわしい言葉遣いで、シセーロはPCたちに、この砦は今やルナー帝国の前哨地である「春分と秋分の砦Fort Equinox」であり、PCたちは速やかにこの場を立ち去るべきであると告げる。(君はモンティ・パイソンに出てくる嘲弄的なフランス人の調子を参考にしたいと思うかもしれない。)シセーロは「ミリンズ・クロス第一赤竜騎兵団」の「赤尾の」シセーロ隊長と名乗る。
RQ:<人間知識>で、赤竜騎兵団がルナー騎兵の精鋭で、恐るべき突撃で恐れられていることがわかる。<観察>技能の決定的成功もしくは飛び抜けた<動物知識>で、このルナーの指揮官の姿勢になにか不自然なところがあることに気づく。そして傍には一人もルナーの兵士はおらず、実際、誰も目の届くところにはいないのである。
HQ: |
そして傍には一人もルナーの兵士はおらず、実際、誰も目の届くところにはいないのである。
シセーロはPCたちの行動をできる限り遅らせようとしているのだが、それはトゥワング「伯爵」と彼の野生の牡馬たち(ドルノール、クランクス、チュラフ、ムレド)が襲撃に出かけてしまっているからであり、今朝までは戻ってきそうもないと分かっているからである。(1d4-1時間のうちに彼らはやってくる。)彼は回りくどい「交渉」を持ちかけてくるし、シセーロは素晴らしいまでにルナーの軍事訓練に詳しく、さまざまなルナーの将校や官吏について知っているために、シセーロのぺてんはとても説得力のあるものに聞こえる。
RQ:彼は丘陵の裾野より近くまで寄る者全てに《精神破壊》を投射すると警告する。
HQ:彼は丘陵の裾野より近くまで寄る者全てに(ルナー魔術=類似の精霊攻撃?)を投射すると警告する。
また、シセーロは赤竜騎兵団の大隊がまるごと後ろに控えていて、彼の命令の元に進軍する準備ができていると告げる。ちょうどその時、喝采の声が砦の内側から上がる(砦の全ての集まった住民が軍勢のざわめきに似せようと努力する)。
RQ:<聞き耳>ロールでいななく馬の声のなかに、蹄が敷石を打ち付ける音を聞き分けられる。
HQ: |
偵察
ドン・ギラムはルナーが砦を占拠していることを、交わした取引に対する裏切りと見なしながらも、敵対して行動することに及び腰である。しかしルナーの指揮官が一人しかいないということに困惑し、彼はPCたちに溝を密かに通って丘に登り、砦の中を見ることができるか確かめるように命ずる。シセーロの視界の外れを迂回して入ることはとても簡単なことである。しかしサタイアのロウエや、太ったタスクライダーのムティオーグや、ダックのフマクト信徒、アガパントゥスが壁の周辺のあちこちに潜んでいてそういうことが起きた場合のために気を配っている。
PCたちにとって考えられるもうひとつの選択は、ランネル川沿いの崖をよじ登ることだが、この提案は急な流れの川を泳いで、30メートルの高さの険しい崖を登らなければならないことになるので、速やかに退けられる。
RQ:しかし一行の場所からでも、〈視力〉ロールで崖面に沢山の坑道が開いていることが分かる。
HQ: |
砦の攻撃
いったんシセーロのペテンが明らかになるやいなや、ドン・ギラムは砦の襲撃を命令する。グループのひとつが斜路の数少ない守り手に向かっていく一方で、もう一方のグループは違う方向から壁を乗り越えるために登る。ドン・ギラムとサー・ペグレン、テオベルト神父は騎乗したままでいたいので斜路の守りの襲撃を率いる。それ以上についてはPCたちに襲撃の細かいことについてうまく作戦が立てられるか任せること。
首領のトゥワング抜きでは、他の無法者たちの全面攻撃に対する反応は簡単で、逃亡してしまう。トゥワングの雌馬たちは彼らと仔馬たちが這い上がって列石の間を縫ってためらいがちに丘を下り、溝を越えて自由になる、逃げられる地点を知っている。もしそうできたらその後彼らは全速力で平原に入り、最速の騎馬でもなければ彼らをつかまえられなくなる。ホルスとスロウ、マンティコアの組だけが他のギャングたちが逃げ出した後、死ぬまで戦う。
トゥワング「伯爵」の出現
PCたちが攻撃にとりかかるちょうどその時が、劇的にトゥワング伯爵とその他のセントールの無法者が姿を現すのにちょうど良いかも知れない。トゥワングは、愛しいつがいの雌馬たちや仔馬たちの安全を確保するために、斜路を通って砦に乗り込もうとする。(彼は他のギャングのメンバーの心配はほとんどしない。)砦の中には列石の周囲や中に、ランスの突撃や騎乗しての戦いを行うのに十分なだけの空間がある。トゥワングは大してワームの砦に愛着を持っていない。逃亡を行うときに、(映画監督が馬に冷酷でいることができた時代に西部劇でやっていたように、)少なくとも一頭のセントールが英雄的に、死を拒むために崖から下の川の流れに飛び込む。
野盗たちのうちで、ダックのアガパントゥスとタスクライダーの太ったムティオーグの二人だけが素早く逃走することができない。もしPCたちが非人間種族に対するロカール派の偏見を克服するようドン・ギラムを説得できるなら、怒りっぽいダックに関しては、変節してカプラティス家の有力な戦力の追加になる気はある。
慮囚たち
結び目のつけられたロープのひと巻きの一方が砦の崖のそばの巨大な石のひとつに結び付けられている。そこの下の鉱道のひとつにトゥワングの三人の捕虜がいて、トゥワングは身代金を当て込んでいた。もし彼らが砦は解放されたことに気づくと、大声で助けを呼ぶ声を上げる。ここへ下る崖の面は特に険しく、洞窟から登るのはきわめて難しい。(横穴は35メートルの崖の11メートル下ったところに開いている―流れの強い流れに落ちたらどうなるかは後述)
トゥワングの捕虜たち
「川笑いの」ヤナースタン:(明朗な、正直、感謝している)グレイズランド人の戦士で、生かしておかれたのは彼の属するグレイズランド人が、しばらく前にトゥワングたちがグレイズランドの領土に襲撃に行っていた間に、トゥワングの雌馬の一頭を捕らえているからである。トゥワングは捕虜の交換を望んでいた。トゥワングのギャング団は知らなかったが、ヤナースタンは彼の部族の族長のいとこで、捕虜の雌セントール以上のものと交換される値打ちがあったのである。(訳注:彼についてはDavid Dunham氏のページに記述があります。http://www.pensee.com/dunham/glorantha/grazer/yanastan.html)
ノチェットのニヒーロ:(衒学的、男性優位主義者、詮索好き)ワームの砦の最初の調査にとりかかっていたランカー・マイの学者。司祭になるための学位論文のデータを集めるために砦に戻ってきたのだが、最初の厄介ごとのしるしでグレイズランド人の護衛戦士たちに見捨てられてしまったのである。彼は自分の捕囚の日々をほとんどヤナースタン(彼が雇った当てにならない戦士たちとはまったく違うグレイズランド氏族なのだが)との議論で費やしていた。
ヴロス・ハーマ:(むっつり、陰気、無口)尾羽打ち枯らしたフマクト信徒。ジョンスタウンでニヒーロの個人的護衛として雇われた。もしPCたちが提案するなら、ヴロスはいらただしいこの学者を一蹴して、カプラティスの集団に雇われる気はある。(さもなければ、彼は後でガース・ド・テュマーリンと騎士たちの役に立つ助言者として現れることになる。)
エレカンスト:(秘密主義、冷笑的、信用に値する)「単一神教」(訳注:ラリオスの暗黒異端派の一派)のフマクト信徒。ラリオスのセイフェルスターからトロウル族の影の国に向かう途中だった。彼は捕獲者の一人が射たひどい矢傷を頭部に負っていて、近頃は熱病のような幻覚の中に出たり入ったりしている。しかしニヒーロの施した医術のおかげで彼は生きながらえている。
大きな秘密:エレカンストはラリオスのコバクルウンという秘密結社の一員である。この結社はフマクト、ゾラーク・ゾラーン、アーカットの帰依者たちを惹きつけるところがあり、熱心な反混沌主義の結社だが、(大部分のアーカット信徒と同じく)啓発者には敵対していない。捕虜とされて以来、彼は目覚めている多くの時間をヴロス・ハーマと、話したり宇宙におけるフマクトの地位についての真実を議論することに使っていた。彼は自分の正体をヴロスには明かしていない。彼はフマクティのPCとの似たような議論に関心を示すだろう。 |
慮囚たちは助けられたことに非常に感謝していて、公正に扱われるなら、「川笑いの」ヤナースタンを除いて、全員が留まるように説得される気はある。「賢者」ニヒーロは調査を続けたいと願い出るだろうし、ヴロス・ハーマとエレカンストは傭兵団に貴重な戦力の追加になる。ヴロスはトゥワングが自分で使うために奪った彼の剣を取り戻すことに関心を払っている。そしてエレカンストは彼が言うには非常に価値がある、黒曜石の護符をなくしている。
捕虜たちのうち、草飼う民のヤナースタンはもっとも長い間(三季節)囚われの身になっていた。彼は非常に弱っているし、トゥワングがヤナースタン自身の安全のために鉱道に彼を入れるまで、ムティオーグやロウエに拷問されたり襲われたりしていた。彼は自分の群れのいるところに戻れるように馬を借りたいと申し出てくる。ドン・ギラムは彼を行かせることにやぶさかでないが、彼の商売人としての心がただで馬をあげることに異議を唱えている。ドンに近隣の草飼う民と良い関係を保つことの利益について説得するのは、PCたちに委ねられている。ヤナースタンはその馬と(ほかの贈り物を持って)ひと季節のうちに戻ってくるように約束をさせることは可能である。
住み込み
今やワームの砦は彼らのものである。カプラティス家の一団が住み着くことが可能となった。トゥワングのギャング団は略奪するというだけのものは置いていかなかったが、いくつかの腐りかけた油料種子の袋があり、カラスムギは良質の馬の飼料となるかもしれない。そして二匹の巨大だが、(影の国から迷い込んできてトゥワングの弓で射落とされた)半分解体されたハム甲虫が残されている。
ギャング団の貧弱な貯えは砦の舗装された区域のなかの緩んだ敷石の下に隠されている。
RQ:<捜索>-25%もしくは<製作:石工>でロール、成功で獣人たちの財産発見
HQ: |
内容は:
銀貨1025枚分の合金の硬貨
銀貨240枚分の各種宝石、貴石類
精霊の呪縛された杖(ワンド)
小さな黒曜石のカイガーリス(訳注:カイガーリスは、カイガー・リートールにまつわるトロウル族の聖石。もっとも有名なものは「影の踊り」の「鉛の城」にある)
RQ:精霊魔術《視覚化Visibility》呪文封印が施された杖(ワンド)
「黒きアーカット派」の魔道《神聖魔術感知》の呪文封印が《強度5》で施されている小さな黒曜石のカイガーリス
HQ:分配された分に応じて<財産>に+wwを加える。
精霊[HQにおける異界視力の呪付]が施された杖(ワンド)
魔道呪文[]が封印された小さな黒曜石のカイガーリス |
カイガーリスはエレカンストのものだし、ドン・ギラムは西方由来の全ての硬貨や宝石類(全体の30%程度)を主張する。ドンは精霊魔術のこめられた封印には関心を示さない。
砦の探索
今やPCたちはカプラティスの召使たちがキャンプの準備をしている間に砦を調べられる。ドン・ギラムがまず最初に丘の西側をキャンプの場所に選び、非人間の野盗たちのキャンプのあったところを避ける。「獣どもの棲家にビバークするわけにはいかん。」とのこと。
RQ:PCたち全員に<世界知識>をロールさせて、丘の西側が極端に風雨にさらされていることを理解させられるようにすること。また、ドン・ギラムを、信仰よりも快適さのことを優先させるように<言いくるめ>るようにさせること。
HQ: |
調べる価値のあるところは崖の中腹の鉱道も含まれる。それらの中になにがあるのかは君(ナレーターもしくはレフェリー)に委ねられる。大部分の鉱道は空っぽかもしれない。
@ドラゴニュート製の宝物。もしかするとうたた寝している「夢のドラゴン」も!
@ガース伯爵の秘密の宝。(今では大部分腐っている)堅パンの食糧備蓄や、武具甲冑、もしかすると戦馬用のプレートメールのバーディング一式すら揃っているかも!
@はぐれ者のハーピーやその他の空飛ぶ混沌の妖魔に使われていた、混沌の祭壇。
@ガース伯爵の騎士達の埋葬の間。もしかすると幽霊にとりつかれている?
@半分完成した水槽。その水は飲むのに適しているか?それとも疫病や毒で汚染されているか?包囲されたときにきわめて重要。
ドラゴン魔術
もし「賢者」ニヒーロが留まるように勧められていたのなら、PCたちは彼から、ワームの砦の全ての逸話を聞くことができる。(「グローランサの休日:ワームの砦」を参照のこと)彼には丘の頂点にある巨大な石柱で実地で試してみたい理論が少々あり、そこはエスロリア人の兵士たちが焼かれたところである。彼はPCたちに、ドン・ギラムに丘の上に登って実験をする許可を貰ってくれるように頼んでくる。そして手伝ってくれる人がいるならなお良いだろうとのこと!
ドン・ギラムは自分の砦に異教徒がちょっかいを出すことにあまり乗り気ではないが、もしニヒーロがそこに登ることを許されたら、彼は研究を始めてしまう。その日を通して、また夜遅くまで、ニヒーロは大きな石柱のかすれたルーンの汚れをこすり落とし、新しいルーンを描くことに勤しむ。この行為は(誰かが壊れた古いラジオを調律しようとしているかのように)時たまの奇怪な閃光と、絶え間なく続く騒音とともに続けられる。
いくつかの段階で、幽霊のようなドラゴニュートの群れが明滅しながら数秒の間実体化して、静かな儀式を執り行う。
RQ:彼らに干渉することは《視覚化》呪文が投射されない限りできない。(トゥワングの隠し財産のなかの呪文封印を思い出すこと)呪文は効果時間内だけドラゴニュートたちのうち一体を実体化する。(RQ基本ルールセット:斥候もしくは戦士ドラゴニュートの能力値を用いること)
HQ:彼らに干渉することは[ ]魔術が投射されない限りできない。(トゥワングの隠し財産のなかの呪文封印を思い出すこと)呪文は効果時間内だけドラゴニュートたちのうち一体を実体化する。(Anaxial
Roster:斥候もしくは戦士ドラゴニュートの能力値を用いること) |
この物質化した一体も儀式を続けるし、周囲の環境には無頓着である。もし物理的に干渉されれば、このドラゴニュートは邪魔されなくなるまで攻撃し、続けていた儀式に戻る。
最後に夕暮れ近くになって、丘陵は突然エネルギーの閃きと明るい光に包み込まれ、数秒の間、ワームの砦の外壁の周りに輪を作る。ニヒーロは興奮して丘を駆け下り、防壁を魔術的に防御する方法を見つけたと主張する。しかしみんなが地面にうずくまったり恐怖で怯えたりしていること、馬たちがたまげて逃げ去ろうとしていることに気づいてしょげるかもしれない。ついには、ニヒーロの危険なドラゴンの魔力に対するちょっかいがドン・ギラムの本来寛容な気質にすら限度を越えたものとなり、ドンは改めて命令するまで、ニヒーロが丘に戻ることを禁止する。
暗闇
RQ:テオベルト神父は10メートルの範囲の《魔法円Protective Circle》呪文を《耐傷》<強度4>、《耐魔》<強度2>、《耐霊》<強度2>と<合成>で投射する。3日間の持続<時間>がある。
HQ: |
夜になり、一行は《魔法円》の中で眠るべく腰を落ち着ける。ロカール派の連中は魔法円の一方の主君のまわりに集まり、他の連中は離れたところに固まる。ペグレン卿はPCたちに夜の見張りを手配するように命じる。
RQ:それぞれの見張りの順番が回るごとに、それぞれに<視力>技能のチェックを行うようにすること。成功した最初の者は巨大なダーク・トロウルが砦の離れたところにある列石の周りを大股で歩き回っていたところを目の端で捉えたと誓う。朝になると、<追跡>技能でトロウルの足跡があることが分かる。
HQ: |
(真相:このトロウルはエレカンストで、隠秘的で複雑な理由によりトロウルの姿を取ったのである。)
地平線の騎士たち
翌朝、見張りについている者(他の誰かが命じられていない限り、ヴロスかエレカンスト)が南方から大人数の騎乗した一団がビルディング・ウォールの向こう側からやって来るところを見つける前に、なんとか一行はシスカルドの作った美味な朝食を終える機会がある。《遠目》呪文を使っているか、鋭い目(高い<視力>技能)を持っている者は金属のきらめきや盾の反射を見て取ることができる。騎士だ!
ドン・ギラムはその光景からパソスから早めに着いた騎士たちだと推定し、元気づけられる。「仲間たちよ、もうすぐ君たちの仕事は終わりになる。」彼はPCたちに快活に声をかける。彼はペグレン卿とPCたちに彼らを迎えるように命じる。エスタンも自分も行っていいかと熱心に頼みに来る。
もちろんのこと、この騎士たちはドン・ギラムの部下ではなく、彼の一番の敵、ド・テュマーリン家の者である!ガース・ド・テュマーリン伯爵はカプラティス家との取引を否定し、自分の砦の返還を求めている。すでにひどい負債を抱えていても、彼は土地を持っていないロカール派の騎士たちの一団を、成功と引き換えに土地を与える条件で魅惑したのである。
ペグレン卿とPCたちは、向こうの本隊から離れてこちらと対面するために急行してくる騎士たちに近づいていくことになる。ペグレン卿は自前の<視力>技能の確率で、彼らがド・テュマーリン家の配下であることを識別する。もしロール失敗すると、彼らが敵対的であることを示す最初のしるしは、彼らがランスを構えて突撃する場面である!続くのは追撃に熱心な騎士たちを尻目に、破れかぶれに砦の安全圏に飛び戻ることになる。出来事を少々活気づけるために、君はエスタンが自ら騎士たちのふところに突進していくようにするかもしれない。そうなるとペグレン卿も義務上、彼について行かなければならないだろう。もしPCたちもエスタンの助けに回らなければ、この若い従士と、果てはペグレン卿自身すらド・テュマーリン家に捕らえられてしまうかも知れない!
ド・テュマーリン家の戦力
君主、ガース・ド・テュマーリン伯爵
(傲慢、短気、不屈の)60歳近くになって、ガース伯爵は健康を損ない、戦場に出るには歳を取りすぎている。カプラティス家とした取引を否認し、ワームの砦を取り戻そうとする努力は彼の最後の賭けであり、伯爵はそのことをわきまえている。ガース伯爵はもはや剣をふるわず、ブリソス人のタラール階級を真似ようと(そして願わくば伸びた寿命を得ることを)願って、代わりに宝石の散りばめられた笏を持っている。(もちろん本当に偶然なのだが、いやらしいメイス(槌矛)のような役割をも果たしている。)
司祭にして神父、ペデリック
(嗜虐的、[ガース伯爵に対して]卑屈な、[その他の者全員に]侮蔑的な)ガース伯爵の個人的な教戒師である。かつては「黄金の槍教団」(訳注:ベイリフェス王朝の異端審問会の本元)の異端審問官でもあり、アエオル派のヒョルトランド人を改宗させる、失敗に終わった血みどろの運動の責任者のひとりでもある。ルナーによる捕囚の期間に、彼は許容されたロカール派の異端、「敗者の世界運動」の帰依者となった。この主義は苦痛と肉体の損傷を通じて浄化と「慰め」を得ることができるという教えである。しかしペデリックの場合、苦痛や肉体の損傷はたいていの場合、(低い階級の)他の者に与えられるものであるように見える。
騎士、ド・ピーロスのアーリ卿
(うぬぼれ屋、傲慢、威勢の良い)ピーロスPeelos(ウェネリア沿岸の交易港)の交易王の下の息子。アーリ卿は自分の「田舎者」の生まれを良くわきまえている。単一神教徒として育てられたものの、彼は出世とパソスに戻ってからの土地の拝領に希望を持って、自分の運命をロカール派のテュマーリン家に託すことを決めている。
ロカール派の強盗騎士たち
(勇敢、無感覚、忠実)ガース伯爵とつきあうようになる前は、土地をもたない強盗たちとほとんど変わらなかった。今では彼らは自分たちの社会的汚点をすすぎ、彼らにいくらかの精神的満足を与えてくれる伯の指導を大事にしている。ガース伯爵はこのような騎士たちを1ダース引き連れている。名前は:「ゴーゴンペイストの」タイタス卿、「パイスダロス人の」プリアモス卿、「湖の」タークィン卿、マルハウス卿、などなど。
農奴の歩兵たち
(反応の鈍い、従順)貧弱に武装しており、ペデリックの鞭で動く。
立ち退き要求
ド・テュマーリン家は砦の前に留まり、矢の届くちょうど範囲外の草地の斜面にキャンプをしつらえる。ペデリック神父が歩兵たちを鞭打つところを見て取ることができる一方で、大部分の騎士たちは陽だまりの中でゆったり構えている。
しばらく後、タラール階級を真似て、ガース伯爵が歩いて傾斜路に近づく。片手にメイスを持ち、もう一方の手に書類ひと束を持っている。アーリ卿と他の何人かの騎士が彼の後ろに騎乗してついてくる。彼は自分をしかるべく迎えるようドン・ギラムを呼び出す。テオベルト神父、ペグレン卿とPCたちに付き添われて、カプラティス家の指導者が傾斜路の頂上に姿を出す。
続くのは劇的なシーンで、ガース伯爵が自分がカプラティス家とした取引を否認する場面である。彼は取り決めが強制のもとになされたもので、したがって無効であると主張する。彼の主張を強調するために、彼は書類を引き裂いて、風に舞い散るままにする。ドン・ギラムは「博識」ファザール将軍自身の副署のもとに、自分たちが法的に正しい契約をしたと反論する。
ガース伯爵はつばを吐いて、ルナーは自分の土地においてなにも言う権利は持っていない。自分の土地はマルコンウォルのリチャード王の名の下に与えられたものだと告げる。ガース伯はそれからある書類を取り出して、これは取引の否認を認可する書類で、ロカール派のノチェットの教区司教−ヴァンスレイン・ド・テュマーリンによって記されたものだと告げる!彼はドン・ギラムに、砦を明け渡すまでに次の日が昇るまでの時間をやる、さもなくばその後は武力で砦を奪うつもりであると告げる!
闇の中の精霊
(訳注:このシナリオが昔書かれたものであることに注意、正統派のマルキオン教徒は魔道界からのエレメンタルや忘却の霊しか使えない。類似の苦痛を呼び出す魔道の魔的存在があるのかは不明)
ド・テュマーリン家に典型的な背信行為で、彼は攻撃の前に不意打ちをかけようとする。
RQ:真夜中ごろに、ペデリック神父は苦痛精霊のひとつを解き放ち、誰かに憑依させるべく砦に送り出す。この精霊は自然に、《魔法円》の外の見張り場のひとつを攻撃する。(これに反撃して、エレカンストは自分のシェードのひとつを召喚することができる−このことで全ての者がおどろくかもしれないが−そしてシェードを敵のキャンプに送り込み、「黒いアーカットのあいさつだ。」悲鳴がその後ド・テュマーリンのところから聞こえてくる。エレカンストは満足げにうなる。)
HQ:真夜中ごろに、ペデリック神父は[]のひとつを解き放ち、誰かに憑依させるべく砦に送り出す。この精霊は自然に、[]の外の見張り場のひとつを攻撃する。(これに反撃して、エレカンストは自分のシェードのひとつを召喚することができる−このことで全ての者がおどろくかもしれないが−そしてシェードを敵のキャンプに送り込み、「黒いアーカットのあいさつだ。」悲鳴がその後ド・テュマーリンのところから聞こえてくる。エレカンストは満足げにうなる。) |
ニヒーロはもう一度ドラゴン魔術を使って魔術障壁を作ることを提案する。もしギラムが同意するなら、ニヒーロはテオベルトの《魔法円》をドラゴニュートの列石を用いて強化することができる。効果範囲を砦の外壁全体を覆うものに変える。
明け方
ガース伯爵の立ち退き期限は過ぎてしまうが、明け方には襲撃が来ない。そのかわり、ド・テュマーリン家はPCたちが一日じゅう、気を張り詰めているように、溝越しにあざける声を投げかけたり、ときたま馬で牽制攻撃をかけて溝の中に入り込み、防御されていないところから丘に乗り込んだりして、速やかに去っていく。その間に、ド・テュマーリン家は城攻め用の二連発の巨大な弩弓(訳注:アーバレスト)や、防御用の柵をランネル川の砦の対岸にしつらえたりしている。彼らは崖の上から顔を出したり、鉱道の中に降りようとしたり、川からバケツを使って水を汲み上げようとする者を狙い撃ちすることを楽しむ。
襲撃
襲撃は夕暮れにやって来る。狡猾な伯爵は防御側を疲れさせ、防護呪文の効果時間が切れるように12時間余分に待ったのである。攻撃は二段構えで、アーリ卿と彼の下の騎士たちが馬上から傾斜路に突撃する間に、ガース伯爵は歩兵たちを率いて迂回し、崖の縁まで進む。
RQ:守り手は夕日が目に入ってしまい、攻撃成功率が10%減ってしまう。
HQ:守り手は夕日が目に入ってしまい、攻撃成功率が1減ってしまう。 |
この戦闘の間、伯爵と歩兵たちは防壁の上に登ることになるので、味方の弩弓に撃たれる可能性がある。
襲撃の結果
私はカプラティス家とPCたちがうまくド・テュマーリン家を撃退すると推測する。もし君が悪人たちが勝つものとしたいのなら、次にここで起こることは君の判断に任される。
この冒険がどのように演じられるかによって違ってくる。守り手側はドラゴニュートの魔力で強化された《魔法円》や、解放された捕虜たちによって助けを得ているかもしれない。ド・テュマーリン家は騎士たちだけを実戦に投入する。テオベルト神父は歩兵たちが怖気づいたときに、鞭で彼らを駆り立てなければならない。
もし状況がPCたちにとって悪いほうに進んだら、ニヒーロは亡霊のドラゴニュートを壁の輪の上や周りにもう一度呼び出すことができるかもしれない。《視覚化》呪文とともに攻撃されれば、彼らは自分たちをおびやかす全てを攻撃する。そしてPCたちはド・テュマーリン家の連中を誘導する試みで楽しめる。エレカンストはもう一度トロウルの姿になって、騎士たちか歩兵たちを攻撃し、目覚ましい成果をあげるかもしれない。
ワームの砦の攻城戦
ド・テュマーリン家は傷をなめるためにキャンプに戻るが、騎兵たちを使って砦の交通を閉鎖することは忘れない。ガース伯爵は砦に水の供給の問題があることを知っているので、守り手を喉の渇きで追い出すことができると期待している。
カプラティス家は限られた水の供給しかないが、飲み水は(ギリシア神話のタンタロスのように)すぐ傍の崖の下の川にある。そして砦の下にある半分完成した水槽も考えに入れられる。不幸なことに、水槽への唯一の出入り口は崖を伝っていくことであり、6メートル下にある。ニヒーロはまだ見つけてないのならば、この水槽についてPCたちに教えられる。PCたちは弩弓の矢や重装備の騎士たちをかわしながら、水を手に入れるための方法を見つけなければならない。
RQ:可能な解決法としては、テオベルト神父のアエオル派の嵐の魔術を頼ることも含まれる。
HQ: |
一騎打ちの決闘
ガース伯爵がカプラティスの連中を乾上がらせて追い出す手段が利かないことに気づくと、彼は新しい解決法を持ち出す。一騎打ちの勝負で決めることである。古めかしいものになってはいるけれど、ロカール派の者にとって争いを解決するのにいまだに法律上正当なものである。ガース伯自身の明らかに健康を害した状態から、彼は双方の陣営が代表となる戦士を送ることを提案する。アーリ卿がガース伯の適切な選択である。(もしアーリ卿が始めの襲撃で殺されていたら、低位の騎士たちの一人が代表となる。)ド・テュマーリン家はドン・ギラムに態度を決めるのに2時間を与える。
ずるい計略!
ペグレン卿とテオベルト神父と話し合った後、ドン・ギラムは申し出を受け入れることに決める。しかしこれは単なる計略である!連中の関心が代表戦士(チャンピオン)たちの勝負でそれている間に、テオベルトは残っている昔のアエオル派の日々に学んだ特殊な魔術を使おうとする。密かにPCたちを砦の外に飛ばし、助けを外から呼ばせようというのだ。テオベルトは自分の異端のアエオル派魔術の使用を、こう巧みに理屈付ける。「聖ロカールは間違いなく私を許したもう。なぜなら私は共通の幸福を増進するために、最後の大いなる力をふるい、私の以前の穢れた生き方を綺麗に追い払うのだから。」(この台詞はPCたち自身がロカール派でなく、すでに異教で汚されていることでより説得力を持つものになる。)
ドン・ギラムはカプラティス家の封印が施された書簡をPCたちに渡す。彼はPCたちに、長いことこの砦を持ちこたえるだけの物資がないことを告げ、ガース伯爵がもう一度襲撃を試みれば、砦は間違いなく落ちると言う。PCたちは助けが得られると思えるところならどこにでも行って良い。そしてできるだけ速くワームの砦に戻らなければならない。
アーラタが助けを求めるには一番だが、そこまで行くにはド・テュマーリン家の封鎖を破らなければならない。グレイズランドを北へ、あるいは影の国を南に回り道するのは危険だし時間を食いすぎる。もうひとつの選択は、獣の谷を通って北上し、ダックポイントのルナーの砦を頼ることである。ルナーはカプラティス家のワームの砦の保有を認めているが、砦を守るためにルナーの援助を得ることは説得力のある言葉が要る。
もしPCたちが「川笑いの」ヤナースタンが帰るのを許していたら、もうひとつの選択はヤナースタンが属していたグレイズランド氏族を探し出すことである。ヤナースタンはPCたちに借りがあるし、草飼う民たちはおそらく一番近いところにいる。
ワームの砦からの脱出
チャンピオン
ドン・ギラムは代表の戦士が要る。ペグレン卿がもっとも適当な選択だが、ドンはむしろ自分の信頼する騎士を傍に置いておきたいと望むだろう。ギラムはチャンピオンとして働くというPCの申し出を誰のでも受け入れるだろう。もしこのPCもロカール派の騎士ならば良い選択になるし、そうでなくとも、異教徒をチャンピオンとしてアーリ卿と戦わせるのはド・テュマーリン家のうぬぼれを侮辱するのにふさわしい。もしフマクト信者ヴロス・ハーマがまだいるのなら、彼はもう一人の適切な候補だし、PCのチャンピオンの介添え人として働くことを志願することもありうる。
誰か選ばれるにせよ、覚えておくべきことは、チャンピオンを引き受けるキャラクターが決闘の間に抜け出そうとしている他のPCたちと一緒に行くことはとても無理だということである。もしプレイヤーたちのうち誰も、残りの冒険の間、他の者から別れていたくないのなら、君はプレイヤーの一人に決闘の間、ペグレン卿か、ヴロス・ハーマを演じることを認めることができる。
どちらの陣営もこの一騎打ちの結果については大して考えていない。ドン・ギラムは自分のチャンピオンが負けたからといって砦を明け渡すつもりなどないし、単にガース伯爵が最初の約束を破ったことからはじまったことで、約束を破った者にする約束などなんら考慮するいわれはないと言うだろう。同様に、ガース伯が負ければ、ペデリック神父はカプラティス家に破門を言い渡し、異端の教えを奉じ、(チャンピオンがロカール派でないのなら、無理もないのだが)異教の魔術を用いたかどで責める。もちろん、異端にする約束など無意味であり、無効なのである。
両方の陣営が、一騎打ちの結果で失うものなどないと考えているものの、もし自分の側が勝ったら、あとの高いレベルでの争いで決着をつけるのに有利な材料が加わると言うことは分かっている。
決闘
ドンはチャンピオンに、他の連中がうまく抜け出せる時間を与えるため、決闘をできる限り長引かせるように命じる。
RQ:テオベルト神父は彼のフリーINTの限界まで、自分の持っている魔道呪文ひとつによる援護を提供する。
HQ: |
テオベルトは準備しなければならないアエオル派の嵐の魔術のために魔力の残りを取っておかねばならず、それ以上は提供できない。
決闘は昔エスロリア軍のキャンプ場があった、ドラゴン魔術で焼かれて不毛と化したところで行われる。ロカール派の習慣に従い、両方の陣営がもう一人騎士を介添え人としてつけることを許されるし、召使が一人づつ立ち会う。ド・テュマーリン家はプリアモス卿をアーリ卿の介添え人としてつけるが、PCたちはプリアモス卿が有名なパイスダロスの黒い騎士たちのひとりであることに驚くかもしれない。彼の先祖は数百年前にパマールテラから海を渡ってセシュネラに来たのである。
決闘はもちろん馬上で始まる。そして一方もしくは両方が落馬すれば地面の上で行われる。ロカール派の習慣に従い、決闘はどちらか死ぬか、一方が敵の方が強いことを認め、慈悲を求めるまで続く。騎士道に忠実な騎士は自分を守れない打ち負かした敵を許すことを期待されているが、敗者はできる限りはやく、敗北を認めることを期待される。
アーリ卿の敵がロカール派の典範にふさわしく振舞うほど、アーリ卿はより公正に戦うことになる。つまりもし彼の敵もロカール派ならば、アーリ卿の振る舞いは騎士らしくなる−もし落馬すれば、もう一度馬に乗ることを許すし、もし武器を落とせば拾うまで待つことにもなる。つまるところ、アーリ卿は培わなければならない評判があるわけである。
しかし、もし敵が例えばオーランスの蛮人ならば、彼は汚い手を使うし、敵が地面に降りて慈悲を求めていても、汚い一撃を見舞うかもしれない。
RQ:アーリ卿は(<強度8>、<時間2>の)《耐傷》で防護されていて、彼の槍は(<強度8>、<時間2>の)《深傷》で強化されている。両方ペデリック神父が投射した。ペデリックは計画的に、アーリ卿の剣よりも、この毒のついた槍のほうに術をかけることで、この騎士が槍の方を使う事態に強いられることを望んでいる。それにもかかわらず、アーリ卿は槍をロカール派でない敵にだけ使い、必要なら自分で剣に<強度6>の《深傷》を投射する。
アーリ卿は異教徒の敵にたいしては単一神教で学んだ《盾》呪文や、精霊呪文を使う誘惑に駆られるかも知れない。また、彼はできれば魔道の《魔酔》呪文を試してみたいかもしれない。彼はほとんどの異教徒がフリーINTをほとんどか全く持っていないということを知っているからである。いったん標的が《魔酔》にかけられたら、アーリ卿は後ろに回って毒の槍で背中を突き刺す前に、犠牲者をいたぶって楽しむ。
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ペデリックはカプラティス家のチャンピオンを苦痛精霊のひとつで攻撃する理想的な瞬間を求めて、決闘を観察する。理想的な瞬間は、敵が倒れて、重傷を負ったり、意識不明になったりしたときや、アーリ卿が《魔酔》呪文の投射に成功したときである。
脱出
ドン・ギラムは一騎打ちの決闘を傾斜路の上の石から観察し、隣にはテオベルトの長衣を着たNPCのひとりが立っていて、神父になりすましている。(「賢者」ニヒーロが一番の候補だが、間に合わせであごひげがいるにしても、エスロリア人のロバ引き、モルブも似たような体格をしている。)チャンピオンが砦を出る前に、ドン・ギラムは彼に、自分が聖マードンの祝福を叫んだとき、「なにか特別なことをして注意をひきつけろ」と命じる。
その間、テオベルト神父は砦の裏の、崖のてっぺんの近くに、脱出準備を整えているPCたちとともに隠れている。最初の問題は、崖の真下にガース伯爵が配置した二人の石弓兵を始末することである。彼らについて言えば、砦攻めの始まって以来、二人ともかなり油断しているし、柵の横の草の生えた岸で日なたぼっこをしている。
RQ:(両方に対して50%の成功率。もし標的が柵の後ろにいるのなら、頭部への狙った射撃のみ可能)
HQ: |
射撃武器の弾幕が上手に狙って繰り出されたら、石弓兵を両方とも追い出すことができるかもしれない。もちろん、最初の矢が放たれた時点で、先を争って遮蔽に飛び込むだろうが。
石弓兵を始末したあとで、(少なくとも、連中が盾の後ろでちぢこまっている間に)テオベルトは彼の最後の残されたアエオル派の嵐の魔術を消費して、「見えざる神」オーランス(訳注:あるいは聖ウォーラス)、光持ち帰りし聖人たち、聖アエオルの助けを求めて呼ばわる。テオベルトは巨大なシルフを呼び出して、PCたちを運ばせ、崖から飛ばし、流れを越えてランネル川の遠く離れた岸に着けるよう命ずる。このシルフは馬までは運べない。(重すぎるし、シルフに乗ることを拒絶するし、盲目的な恐慌に陥って、他の乗り手や、自分自身やシルフ自身すら傷つけてしまう。)
ド・テュマーリン家には包囲突破を見つける可能性があるが、それはカプラティス家のチャンピオンが彼らの気をそらすためになにをするかにかかっている。
RQ:決闘が始まってから、シルフは10+1d10ラウンドの後に離陸する準備が整う。
HQ: |
そして準備が整うやいなや、乗ったPCたちとともに舞い上がる。ドン・ギラムはチャンピオンに叫ぶ。「神聖なるレプレインの聖マードンが君に力を与えますように!」
RQ:ド・テュマーリン家の気をそらすためにチャンピオンがなにをするかによって判断し、《視力》ロールをそれぞれの四つの階級に対して行うこと。5%、10%、20%、もしくはそれ以上をチャンピオンがなにをしたかによって成功率から引くこと。たとえば、チャンピオンが単に元気いっぱいに戦いの雄たけびをあげるだけしかできないのなら、5%引く。(もしくは引く数はゼロ。)しかし、(砦の反対側の)南を指さして「おい見ろ、クリムゾン・バットだ!」と言うとか、アカデミー賞のオスカーが獲れそうな死にゆく演技をするなら、もっと寛大に成功率から引いてあげること。
HQ:ド・テュマーリン家の気をそらすためにチャンピオンがなにをするかによって判断し、<視力>ロールをそれぞれの四つの階級に対して行うこと。1、2、4、もしくはそれ以上をチャンピオンがなにをしたかによって難易度を下げること。たとえば、チャンピオンが単に元気いっぱいに戦いの雄たけびをあげるだけしかできないのなら、1引く。(もしくは引く数はゼロ。)しかし、(砦の反対側の)南を指さして「おい見ろ、クリムゾン・バットだ!」と言うとか、アカデミー賞のオスカーが獲れそうな死にゆく演技をするなら、もっと寛大に難易度から引いてあげること。
君主:ガース伯爵
RQ:<視力40>
HQ:
魔道師:ペデリック神父
(成功率の減少を半分にすること。ペデリックは元々猜疑的で、裏切りにいつも神経質だから)
RQ:<視力35>
HQ:
騎士:プリアモス、タイタス、タークィン、マルハウス等々
(彼らの首領、アーリ卿に注意を向けているので、ふつうの成功率の減少に加えて、10%余分に引くこと)
RQ:<視力50>
HQ:
農奴:歩兵たち
RQ:<視力35>
HQ: |
もし脱出が見つかれば、アーリ卿は決闘を抜けて、騎士たちに追撃するように命ずる。もしカプラティス家のチャンピオンと介添え人が決闘を続けようとすれば、ド・テュマーリンの騎士全員が加わってしまう。もし彼らを止めようとしたら、ド・テュマーリン家の連中は無視して決闘場を離れ、カプラティスのチャンピオンにかなりあやふやでいかがわしい勝利を主張する立場におく。もし石弓兵がまだ動けるのなら、彼らは頭上を飛ぶシルフを狙い撃ちできる。
RQ:通常の成功率でアーバレストの二連射。その後、(シルフが最高速で移動するので)成功率を半減して、中クロスボウの二発。この巨大なシルフは70ポイントのヒットポイントを持っているので、石弓兵がちょうど殺すこともありうる。その場合、中にいる全員が30メートル下の地面に落ちてしまう。(どしん!)全ての成功した射撃は50%の確率でエレメンタルの中のランダムの一人に、半減したダメージを与える。
HQ: |
三つの選択
PCたちはカプラティス家の印があるドン・ギラムの手紙を持っている。ドンは三つの援助を求める可能性を提供する。しかしPCたちが他の助けについて考えるなら、君は即興でどうなるか考えなければならない。ドン・ギラムの提案はどれも短所と長所がある。
(ノチェットの)アーラタに戻る。
この選択は助けを得る上で一番可能性があるが、アーラタにたどりつくには、PCたちはまずランネル川をまた渡らなければならない。そしてド・テュマーリン家の警戒網を突破するかやり過ごさなければならない。ペデリックのいやらしい苦痛精霊が二体、ランネル川と新川の合流地点と、砦、5マイル上流までの間を馬に乗ったド・テュマーリンの騎士たちとともに見回っている。
ビルディング・ウォールの向こうの空白地帯を横切ることはグレイズランド人の戦士たちや山賊のところに飛び込む危険があるし、新川ぞいや道なりに行くことは、「影の国」のトロウルに出くわす危険がある。しかし、いったんビルディング・ウォールを越えれば、文明化されたエスロリアの農地を旅するのは比較的安全だし、危険とは無縁である。アーラタに着いたならば、カプラティス家の指導者たちは不実なド・テュマーリン家に対抗してドン・ギラムを助けるのに非常に熱心であることがわかる。ロカール派の司教に抗議するため、テュマーウォルに向かって船で使者が送り込まれる。もしかするとキャラクターのうち何人かはヴァンスレイン司教の前で、ガース伯爵を論難するかもしれない。
ヴァンスレイン司教はカプラティス家の抗議の陳情を、計算された軽蔑の表情で聴くだろうし、その後で、もし抗議したいことがあるのなら、自分みたいな単純な坊主が解決することなどできないから、「ガレー船団の公子」(Prince of Galleys)自身、ノロス公爵のムリアムのところに抗議を持っていくべきだと告げる!もちろん、ノロス公は都合の良いことに、西方数千マイルのかなたにいるのである…。
カプラティス家が動員できるロカール派騎士の頭数はまだ極めて少ない。(パソスからの船はまだ着いていない)PCたちは援護部隊を増強するために、外国人の傭兵を雇うように要求される。もしPCたちがド・テュマーリン家のスパイや支持者をうかつに雇えば、スパイたちは砦に戻る旅の上で当然何らかの裏切りをしようとするだろう。
ルナーを選ぶ。
カプラティス家はワームの砦での彼らの権利を認める、ルナーの書類を持っているものの、この方向に助けを求めるのは一番成功がおぼつかない。しかし、ド・テュマーリン家がPCたちをこの方向に遠くまで追跡することもちょっとありえない。なぜなら彼らは「獣の谷」の自然に反する獣人たちを恐れているし、PCたちがある地点で戻ってくると予測するからだ。
もっとも近いルナーの軍営は150マイル北上した、サーター都市のダックポイントである。ここに着くには、一行は「獣の谷」を通らなければならない。もし「トゥワング伯爵」と十分なだけの数のギャングが逃げていたら、今が待ち伏せの絶好の機会だし、獲物が自分たちをワームの砦から追い出した張本人だと知ったら、さらに襲撃は二倍楽しいものになるだろう!(万一だが、もしかするとPCたちはトゥワングとギャング団を雇って自分の側につけることに成功するかもしれない。たくさんの戦利品の約束で十分だろう。なんでもありなんだし!)
ダックポイントの指揮官、「鼠の災いのRatsbane」アレハムは第二ファーゼスト歩兵連隊を率いている。いったんカプラティス家の名が出されると、彼と面会することは驚くほど簡単である。そしてPCたちは彼が自分たちの話を戸惑わずに受け入れることで驚くかもしれない。(「鼠の災い」指揮官は聖王国の交易運用の上前をはねて儲けているのである。しかしこの行為を、地域の自由交易の後援者と自分をみなすことで正当化しているのだ。)このルナーの指揮官はドン・ギラムを個人的に知ってすらいて、彼の健康について訊いてくる!
彼はドンの手紙を渡されたとき、それを手にとるが、PCたちにどれだけの戦力が必要か問う前に、ざっと斜め読みするだけである。彼の配下の精鋭歩兵百人隊か?ルナー魔術師の一団か?今なにもすることがなくてダックポイントにいる赤竜騎兵大隊の半数を送るのはどうか?彼は従卒にお客にワインを少し出せと言い、副官を呼んで部隊を展開するように命じ、椅子に戻ってドンの手紙をもう少し注意深く読む。もちろんのこと、事態は長いことそううまく転がっていかない…
突然、このルナーの指揮官の土色の顔が目立って青くなり、どもりながら謝罪の言葉を口にしはじめる。残念ながら自分が部隊を送るのは不可能のようだ!ドン・ギラムの手紙にはカプラティス家のワームの砦の権利を認めるルナーの書類について書かれているが、サインしたのは他でもない属領地将軍、「博識」ファザールその人によって署名されている!不幸なことに、ファザール将軍は長い政敵の「聡明なる」タティウスによって生み出された事件によるとげとげしい雰囲気により左遷されてしまった。
「鼠の災いの」アレハムは彼の上官であるタティウスを怒らせるようなことをするのはなんとしても避けたいと思っている。タティウスは最近、恥辱をこうむった前任者にまだ忠誠を尽くしている指揮官たちを粛清することにとりかかっているのだ。
アレハムはまだ説得することができるが、山賊に毛が生えたくらいだが、ルナーのために最近は働いているターシュのブッシュ・レンジャー部隊を派遣させることまでしかできない。ファーゼストの歩兵隊や、赤龍騎兵を派遣することなどは今や単なる笑いぐさとなってしまう。彼はこの好意によってカプラティス家からの莫大な謝礼を期待し、もっとも高い位か、重要なPCがこの謝礼のかたとして、人質になって残ることを要求する。
(もしPCたちがルナーと取引することに失敗すれば、彼らは「ハンニバルの襲撃隊」なる傭兵隊が最近ダックポイントに来ていることを知るだろう。さらに調べれば、この傭兵隊が喧嘩好きのダックの部隊で、隊長は非常に珍しいテシュノスの戦象に乗っているということを知るだろう!)
グレイズランドの国。
PCたちは「川笑いの」ヤナースタンと彼の氏族を探しに、グレイズランド人の領地に入ることを選ぶかもしれない。ヤナースタンと彼の一族はまだ近くにいて、摩天峰の裾野に広がる草原で草を飼っているからである。PCたちが最初に(カプラティス家がそもそも対抗して、ワームの砦に交易拠点を構えたいと思った理由である)ごろつきで独身の若者の戦士たちに出会うのはありそうなことである。騎乗していないヴェンドレフの一団(訳注:「地べた這い」と訳すか?一般には東のオーランス人を指す)を攻撃するのは、彼らにとって抗いがたい誘惑なのである。
もしPCたちが彼らをあしらうのに失敗したら、ヤナースタンの氏族が丘の上に現れて、助けに来る。実のところ、彼らは分け前の戦利品に引かれてこの場にやって来たのである。しかし、もしヤナースタンが彼の救助者を見出したら、彼は不良の若者たちに控えるように命じる。(もちろん、もしPCたちがヤナースタンを帰らせる前に冷酷に扱っていたら、彼の配下の戦士たちは喜んで悪漢どもに手助けして殺戮に加わる。)
もしPCたちを助けるためにヤナースタンの手がいることになれば、彼の借りは返されて、ヤナースタンがカプラティス家を助けるために来るよう説得するのは余計難しくなる。
ヤナースタンは助けを欲しがっているカプラティス家を助けることに乗り気ではない。
彼が説明するには、もし自分が砦を守るためにPCたちを助けることになると、次は彼の父の代のように、「土を食べて」生きる農民ども一切合財がやって来てそのあたりに住みついてしまうだろう。そして彼の赤ん坊の息子が馬に乗るようになったときには、もう彼の民に草を飼う場所はなくなっているだろうと。
ワームの砦を使う上で、カプラティス家に関心があるのはキャラバンの宿場としてだけであり、前に「土を食べて」生きる農民たちを連れてきたのはド・テュマーリン家である。彼らが勝つということになれば、砦を占拠してまた周囲の土地に居座ることになるのだと、ヤナースタンを説得するのはPCたちにかかっている。
ヤナースタンは説得することができるが、見返りとして特別の権利を要求する。砦の外壁から半日までの範囲の区域で、彼の氏族が馬の群れに草を飼わせることを認める特権である。PCたちはそれを許せる立場にはないし、ヤナースタンに、ドン・ギラムが後でその協定に同意することを自分たちが確信していると分からせなければならない。
もしヤナースタンがPCたちを助けることに同意したら、彼は4ダースの数の戦士団(ほとんどが独身男の悪漢どもだろうが)を集めて、ワームの砦に戻るし、PCたちが乗れる馬を貸してくれる。
砦への帰還!
どんなことをするのであれ、PCたちはある種の援軍とともに、ワームの砦に戻ることになる。時間がどれくらいたっているかによって、続く事態は異なる。
3日以内
地平線に敵の援軍を見ても、ガース伯爵はまだ勝てると考えている。補給はまだ十分あるし、援軍は帰還の急ぎの強行軍、もしくは馬上で疲労していることを知っているのである。彼は敵の援軍を近くまでひきつけた後、奇襲で攻撃し、始末しようとする。伯爵は自分の全兵力を集めて、(時間があれば、弩弓の向きを変えて)いちばん高いところに場所を占めようとする。
敵が近づくにしたがい、彼はロカール派信徒の休戦の合図をしながら馬を前に進める。(武器の刃先の方を手に持つ−彼の場合、メイスを逆さまに持つ。)ガース配下の騎士たちは彼の後に続く。
RQ:<視力>ロール。騎士たちは休戦の合図をしていない。
HQ: |
突然、ガース伯爵は武器を持ち変えて、柄の方を正しく持つ。これを合図にして、騎士たちは彼を追い越して稲妻のように坂を下り、敵の援軍を坂の傾きの力の加わった瞬間に攻撃することを望む。
ド・テュマーリン家の能力値を参照し、魔術で適正に強化を行うこと。
RQ:《馳せ足》呪文を突撃する馬に投射し、《深傷》呪文をランスや剣に投射する、などなど
HQ: |
これは破れかぶれで捨身のガース伯の勝とうとする最後の試みであり、失敗すれば、恥にまみれてテュマーウォルに戻らざるを得ないということを彼は知っている。
ガースとペデリックはもしそうできるなら、戦闘には加わらず、歩兵を参戦させずに留めておく。もし状況に迫られれば、ペデリックは鞭で歩兵たちを前進させようとし、彼らがしくじれば恐ろしい脅しや呪いを叫ぶ。
ド・テュマーリンの騎士たちは半分やられてしまうか、ガース伯爵が動けなくなれば敗走する。騎士たちが逃げてしまえば、ペデリックがどう脅そうが歩兵たちも続いてしまう。ガース伯爵は、状況が絶望的だとわかれば、馬に乗って、ペデリックか彼にまだついてくる誰とでも一緒に逃げ出そうとする。
もしガース伯爵を捕まえれば、ド・テュマーリン家は彼の行動にたいして一切知らないと言い、彼のために身代金を出すことを拒絶する。カプラティス家はポーフェイン公爵に裁判させるため、彼をついにはパソスに送り返してしまう。
4日から7日
ガース伯爵は速やかに補給の欠乏に見舞われ、援軍の到着で最後の希望も断ち切られる。彼は騎士たちにキャンプを引き払い、撤退するよう命ずる。もしひどく攻撃されたり、刺激されたりしなければ、ド・テュマーリンの一団は整列を組んで去り、エスロリアの安全だが狭苦しいテュマーウォルの領土に戻ることになる。ガース伯爵の赤らんだ顔は怒りの稲妻をはらんでいるし、ペデリックの顔は嘲笑を含んでいる、醜くゆがんだ一瞥をよこす。(ペデリックは来たる自分の帰還まで地域にとりつくよう、数体の忌まわしい苦痛精霊を解き放つ。)
ガース伯爵は健康を害していて衰えていくにもかかわらず、当然の権利として自分のものと見なしている砦と土地の回復を目指して陰謀をたくらみ続ける。そして彼が死ぬ日まで、ワームの砦のカプラティス家の仕事の障害、あるいは完全な脅威であり続けるだろう。
8日目
援軍はガース伯爵が二回目の攻撃にとりかかっているちょうどさなかに到着する。守り手たちの勇気にもかかわらず、ドラゴニュートの防御の魔術すら覚悟を固めたド・テュマーリン家を押し戻すには至らないかのようである。PCたちは自分たちの兵力をすぐに進めて、流れを変えなければならない!
9日以上
ワームの砦は陥落している!敗北して落胆したカプラティス家の一行と帰還の途中のどこかで落ち合うことになる。傷を手当てするためにアーラタに戻り、勝利に酔うガース伯爵の失墜を企む。
もし援軍が十分に強力なら、ガース伯爵と配下の者どもが腰を落ち着ける前に、ドン・ギラムは砦に戻って強襲するよう説得されることもありうる。
未来?
もしワームの砦がカプラティス家の手の内に留まれば、二週間の後に、西方から船で来た騎士の一団が大きな隊商(キャラバン)とともに砦を訪れる。ここを通る交易路によって生み出される莫大な利益の見込みとともに、交易拠点を確立する事業が始まる。ドン・ギラムはPCたちの仕事に感謝していて、十分に報酬を与える。
ガース伯爵はテュマーウォルに腰を落ち着けて傷を癒し、いつの日か戻って当然の権利として自分のものと見なしているものを取り戻すために企みを続ける…。
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