Formula One Data

天候 ウェットレースの確率

2001年サーキット別降水確率つき

2001.2.19

ひとつのレースだけでなく、チャンピオンシップをも左右するのが天候です。2000年は史上最もウェットレース率の高い年で、最速マクラーレンが敗れた原因のひとつとも言えました。F1の歴史上、天候はどうだったでしょうか。

 

2000年は史上最もウェットレースの多い年でした。35.3%です。17レース中、6レースがウェットとなりました。ただし、最初から最後までウェットというのはなく、すべて途中の天候変化によるものでした。

マクラーレンとフェラーリが互角の争いをする中、天候変化を読んだ戦略とシューマッハの腕で王座が動きました。

2000年に続いて多かった年は、1981年の33.3%、1993年の31.3%です。

 

これを10年ごとに集計すると右のようになります。

1950年代から1980年代まで、5〜12%台で推移していますが、1990年代になり、20%と跳ね上がりました。

かつて、レース開始前に雨が降ると、スタートが延期されました。現代では、全世界にTV中継される都合上、スタートの延期は許されず、予定時刻にスタートするようになりました。

とはいいながら、近年ではヨーロッパも異常気象の影響があるようです。

 

過去51年間、663レースの通算では、右のとおりです。

 

天候変化の内訳では、ウェットからドライに変わるレースが半分を占めています。そういうレースでは、どこでタイヤを変えるかという判断が重要となります。

ドライからウェット、ドライ一時ウェットというのは、滑りやすい路面をコントロールする腕の見せ所となります。

 

 

サーキット別の天候

2001年の開催順に、サーキットごとの過去の天候状況を見ていきましょう。

開幕戦オーストラリアGPの開催地、メルボルンのアルバートパーク・サーキットは、1996年の初開催以来、レースで一度も雨が降ったことがありません。開幕戦はマシンの未熟成から荒れることが多いのですが、天候に関する限り、ドライと読んでいいでしょう。

第2戦マレーシアGPの舞台、クアラルンプールのセパン・サーキットは、過去2回の開催(10月)ともドライでした。しかしながら、東南アジアのモンスーン気候の場所にあり、3月に繰り上がったことから、どうなるか予断を許しません。

 

第3戦ブラジルGPは1990年以来、サンパウロのインテルラゴス・サーキットで行われています。ここは91,93,96年にシャワーが降りました。ここ4年ほどドライが続いていますが、2000年の予選で雨が降ったように、ウェットの可能性も十分あります。

93年は最強ウィリアムズでトップ走行中のプロストが豪雨の中、スピンでリタイヤしています。96年はデビュー2戦目のウィリアムズに乗るビルヌーブがスピンでリタイヤしています。

 

第4戦サンマリノGPは1981年以来、イモラ・サーキットで行われています。ここへ来て降水確率が上がってきました。91,93,95年に雨が降っています。最近5年間は降っていません。

91年はフェラーリのプロストがフォーメーションラップ中にスピンでリタイヤという失態を演じました。95年はベネトンのシューマッハがトップ走行中にスピンでリタイヤしています。

 

第5戦スペインGPは1991年以来、バルセロナのカタルーニャ・サーキットで開催されています。雨は91,92,96年の3回で、ここ4年はご無沙汰です。

92年はパトレーゼがスピン、クラッシュし、最強ウィリアムズがシーズン初めてリタイヤしました。96年はウィリアムズのヒルがスピン、クラッシュしています。フェラーリのシューマッハが腕で勝ちました。

 

第6戦オーストリアGPの舞台、A1リングは、高原に位置します。1997年の開催以来、雨は降っていませんが、改造前の名前エステルライヒリング時代に75〜78年に4年連続で雨が降った記録があります。また、最近でも1998年は予選が雨で、ベネトンのフィジケラがPPを取りました。

 

第7戦モナコGPは伝統のモンテカルロ市街で行われます。ここで1984年は新人セナの驚異的追い上げで有名です。1996年はシューマッハがクラッシュし、リジェのパニスが優勝しました。1997年はシューマッハが雪辱をはたしました。

 

第8戦カナダGPの舞台はモントリオール、ジル・ビルヌーブ・サーキット。ここは雨がそれほど多くないものの、降ったときは長く続き、難しくなります。2000年はシューマッハが優勝し、ハッキネンは力を発揮できませんでした。

 

第9戦ヨーロッパGPは今年もニュルブルクリングで行われます。ドイツ、アイフェル山地にあることから、どうしても雨が多くなっています。ここ2年連続で雨が降っています。マクラーレンのハッキネンは、そのために足元をすくわれました。ドライなら1997年のPP、1998年の優勝というように得意としているのですが。

 

第10戦フランスGPは1991年以来、マニ−クールで行われています。ここも雨が多い印象があります。前線の通過しやすい土地だそうです。1999年は予選・決勝とも雨で、PPがバリチェロ、優勝がフレンツェンでした。

 

第11戦イギリスGPは、1950年にF1が初めて開催された伝統のシルバーストン・サーキットです。2000年は4月開催でしたが、天候不順から再び7月に戻されました。

最近では1998年にハッキネンがスピンしてシューマッハが優勝。その前は1988年にセナが優勝、プロスト棄権というのがあります。雨は10年に1回くらいです。

 

第12戦ドイツGPは、ホッケンハイムが舞台。記憶に新しいのが2000年、雨の中のバリチェロ初優勝です。過去の例からいうと、ここは雨の確率は低くなっています。23回の開催で雨が降ったのはあと1988年だけです。

 

第13戦ハンガリーGPの開催地、ブダベストのハンガロリング・サーキットは、1985年の初開催以来、一度も雨が降ったことがありません。ここは雨はまず心配しなくていいでしょう。

 

第14戦ベルギーGPは、最もチャレンジングなサーキット、スパ−フランコルシャンです。ここは最も雨が多いところでもあります。山岳地帯に位置するため降水確率は50%近くに及びます。多くのドラマを作ってきました。最近6年間でフルドライのレースは1999年だけです。あとはすべてウェットがらみです。

 

第15戦イタリアGPは、伝統のモンツァ・サーキット。ここは50回の開催で1976年のたった1回しかウェットになっていません。ほとんど雨は心配しなくて良いでしょう。

 

第16戦アメリカGPの舞台となった、インディアナポリス・モータースピードウェイ。2000年はウェットからのスタートとなりました。1950年代にインディ500がF1カレンダーに加えられていたことことを加えると、右のようになっています。インディ500はオーバルだけなので、今では雨だと危険なため延期になりますが、F1は開催されます。

 

最終戦日本GPは、鈴鹿で14回行われました。最近の雨は93,94,95年、そして2000年です。

1988年と2000年に共通するものは、セナとシューマッハがPPをスタートで失い、雨が降り始めて逆転トップに立ち、優勝してチャンピオンになるということでした。

鈴鹿の雨は見ている方はつらいですが、レースは断然面白くなります。