2000年第1クォーター総括

2000年シーズンも、第1クォーターが終わり、各チームの勢力図が見えてきました。それらの成績を見ていきましょう。

予選成績

マクラーレンの1−2は昨年同期と変わりませんが、フェラ−リとの差が縮まりました。シューマッハは0.6秒差から0.3秒差と、レースで勝負できる範囲に近づいたと言えます。

2強に続くのがジョーダンとジャガー。フレンツェンは昨年よりマクラーレンとの差が縮まっています。ジャガーはハーバートの不振が足を引っ張っています。さらに、ウィリアムズとBARが追います。この2チームはNo.1とNo.2の差が大きくなっています。

中団に進出したアロウズは、停滞ベネトンと互角以上の勝負。プロスト、ザウバーは昨年より向上しているものの、躍進アロウズには抜かれてしまいました。ミナルディも健闘しており、全体的に差が縮まっている状況と言えましょう。

順位 ドライバー チーム エンジン 平均タイム (昨年1Q) PP グリッド列 対チームメイト
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11
1 ハッキネン MCL MER 1 23.781     3 3 1                   4 0
2 クルサード MCL MER 1 24.074 +0.294 +0.266   2 2                   0 4
3 M・シューマッハ FER FER 1 24.137 +0.357 +0.642   1 2 1                 3 1
4 バリチェロ FER FER 1 24.171 +0.390 +1.113 1 1 3                   1 3
5 フレンツェン JOR MUG 1 24.603 +0.823 +1.352   1   2 1               4 0
6 アーバイン JAG FOR 1 24.922 +1.141 +1.049       1 2 1             4 0
7 トゥルーリ JOR MUG 1 25.074 +1.294 +1.972       1 1   2           0 4
8 R・シューマッハ WIL BMW 1 25.110 +1.329 +1.937       1 1   2           2 2
9 ビルヌーブ BAR HON 1 25.158 +1.378 +1.867         1 3             3 1
10 フェルスタッペン ARR SUP 1 25.455 +1.674           1     2 1       2 2
11 フィジケラ BEN PLY 1 25.468 +1.688 +1.775       1   1 1     1     3 1
13 デ・ラ・ロサ ARR SUP 1 25.702 +1.922 +3.520             1 1 1   1   2 2
12 ブルツ BEN PLY 1 25.731 +1.951 +1.979             1 2     1   1 3
14 バトン WIL BMW 1 25.797 +2.016         1   1       1   1 2 2
15 アレジ PRO PEU 1 25.824 +2.043 +2.324               1 2 1     3 1
16 ゾンタ BAR HON 1 25.945 +2.165           1       2   1   1 3
17 ディニス SAU PET 1 26.024 +2.243 +2.565           1   1     2   3 1
18 ハーバート JAG FOR 1 26.100 +2.319 +1.980               1 1 1 1   0 4
19 サロ SAU PET 1 26.292 +2.511             1 1     1   1 1 3
20 ジェネ MIN FON 1 26.557 +2.776 +4.683                   2   2 3 1
21 ハイドフェルド PRO PEU 1 26.576 +2.795                   1 1 1 1 1 3
22 マッツァカーネ MIN FON 1 27.388 +3.608                       1 3 1 3

 

 

ライバルチーム比較

PPタイムを100%として、各選手のPPタイムとの比率をグラフ化しました。ライバルチームごとに推移を見ます。

マクラーレン VS フェラーリ 2強の接近戦

2強の差は昨年同期(下図)に比べ、開幕から僅差です。この差だとレース戦略で逆転可能な範囲と言えましょう。


ジョーダン VS ジャガー 期待外れの両チーム

昨シーズンの活躍から、2強に迫るのではないかと期待された両チームですが、今のところ十分な結果を残していません。

しかし、昨年序盤のデータとはさほど違っておらず、ポテンシャルを秘めた両チームがこれからどう巻き返していくかが見ものです。


ウィリアムズ VS BAR BMW対ホンダも拮抗

第三勢力のウィリアムズとBAR。エンジンではBMWとホンダの争いになります。ともに優秀なNo.1と若手のNo.2を擁します。


ベネトン VS アロウズ スーパーテック同士も僅差

スーパーテック・エンジンを積む両チームは、非常に近い成績です。アロウズはプルロッド式フロントサスペンションが効果あったかもしれません。


プロスト VS ザウバー VS ミナルディ 下位3チームが混戦に

プロストとザウバーは昨年と成績が変わっていません。一方、ミナルディはかなりの向上が見られ、3者が近づくことになりました。


 

最高速度ランキング

予選での最高速度の高い順に並べました。空力セットアップの違いはあるものの、エンジンパワーの違いが如実に出るところです。マクラーレン・メルセデスが頂点です。

アロウズ・スーパテックとBAR・ホンダがストレート・エンドの伸び重視で上位に来ました。ビルヌーブをレースで抜くのは至難のわざです。フェラーリ、ジョーダン無限ホンダが続きます。

ジャガー・フォードはやや馬力不足。プロスト・プジョーも同様。ザウバーとミナルディはワークスの型落ちで劣ります。

順位 ドライバー チーム エンジン 指標(±km/h)
1 クルサード MCL MER +4.7
2 ハッキネン MCL MER +3.9
3 フェルスタッペン ARR TWR +2.5
4 ゾンタ BAR HON +2.3
5 ビルヌーブ BAR HON +2.2
6 バリチェロ FER FER +1.6
7 トゥルーリ JOR MUG +1.6
8 R・シューマッハ WIL BMW +1.6
9 M・シューマッハ FER FER +1.1
10 デ・ラ・ロサ ARR TWR +1.0
11 フレンツェン JOR MUG +0.8
12 フィジケラ BEN PLY +0.7
13 バトン WIL BMW +0.5
14 アーバイン JAG FOR +0.0
15 ブルツ BEN PLY +0.0
16 ハーバート JAG FOR -1.5
17 ハイドフェルド PRO PEU -1.5
18 アレジ PRO PEU -1.7
19 ディニス SAU PET -4.0
20 サロ SAU PET -4.5
21 マッツァカーネ MIN FON -5.4
22 ジェネ MIN FON -5.9

 

レース走行距離

チャンピオンシップ・リーダーのM・シューマッハが最も走行距離が長く、安定しています。チームメイトのバリチェロは全力走行時の油圧系トラブルを克服できない状況です。マクラーレンは1,2戦のエンジントラブル多発から持ち直してきました。ウィリアムズとBARが信頼性があるのに対し、ジョーダンとジャガーはギヤボックスのトラブルが解消できていません。アロウズは信頼性がまだありません。最も悲惨な状況はプロストです。

順位 ドライバー チーム エンジン 完走回数 走行距離(km) スピン 事故 エンジン ギヤ クラッチ 燃料系 油圧系 排気系 サス ウィング
1 M・シューマッハ FER FER 4 1208                    
2 フィジケラ BEN PLY 4 1198                    
3 R・シューマッハ WIL BMW 3 1120           1        
4 マッツァカーネ MIN FON 3 1090       1            
5 ゾンタ BAR HON 3 1072 1                  
6 トゥルーリ JOR MUG 3 1066               1    
7 ビルヌーブ BAR HON 3 965       2            
8 クルサード MCL MER 3 959     1              
9 ブルツ BEN PLY 3 940     1              
10 サロ SAU PET 3 911                   1
11 バリチェロ FER FER 2 906             2      
12 バトン WIL BMW 2 859     2              
13 ハッキネン MCL MER 2 834     2              
14 ディニス SAU PET 2 821       1           1
15 ハーバート JAG FOR 2 814       1 1          
16 フレンツェン JOR MUG 2 790       3            
17 フェルスタッペン ARR SUP 2 761     1           1  
18 ジェネ MIN FON 2 759   1 1              
19 アーバイン JAG FOR 2 720   2                
20 ハイドフェルド PRO PEU 2 708     1       2      
21 デ・ラ・ロサ ARR SUP 1 689   2 1              
22 アレジ PRO PEU 1 618     2       1      
          1 5 12 8 1 1 5 1 1 2

 

 

1位・2位周回数のシェア

3勝を上げたM・シューマッハが、1位周回数でも半分近くを占めています。3PPのハッキネンは、オープニングラップを3回とりながら、後半に逆転を許すケースが多く、彼本来のポールから序盤に大差をつけて勝つペースができていません。

 

2位周回ではバリチェロがトップ。M・シューマッハが続き、フェラーリがレース展開を支配していることがわかります。

 

 

レース結果

M・シューマッハが開幕3連勝で大量リードしますが、マクラーレン勢が信頼性を取り戻して追います。

順位 ドライバー チーム エンジン 得点 レース順位 各ランキング
R1 R2 R3 R4 予選タイム 最高速度 最速ラップ 走行距離
1 M・シューマッハ FER FER 34 優勝 優勝 優勝 3位 3 9 1 1
2 クルサード MCL MER 14 R 失格 3位 優勝 2 1 6 8
3 ハッキネン MCL MER 12 R R 2位 2位 1 2 2 13
4 バリチェロ FER FER 9 2位 R 4位 R 4 6 3 11
5 R・シューマッハ WIL BMW 9 3位 5位 R 4位 8 8 5 3
6 フィジケラ BEN PLY 8 5位 2位 11位 7位 11 12 8 2
7 ビルヌーブ BAR HON 5 R 5位 16位 9 5 12 7
8 フレンツェン JOR MUG 4 R 3位 R 17位 5 11 4 16
9 トゥルーリ JOR MUG 4 R 4位 15位 6位 7 7 9 6
10 バトン WIL BMW 3 R 6位 R 5位 14 13 10 12
11 サロ SAU PET 1 失格 NS 6位 8位 19 20 11 10
12 ゾンタ BAR HON 1 6位 9位 12位 R 16 4 14 5
13 ブルツ BEN PLY 0 7位 R 9位 9位 13 15 19 9
14 アーバイン JAG FOR 0 R R 7位 13位 6 14 13 19
15 フェルスタッペン ARR TWR 0 R 7位 14位 R 10 3 18 17
16 ディニス SAU PET 0 R NS 8位 11位 17 19 7 14
17 ジェネ MIN FON 0 8位 R R 14位 20 22 15 18
18 デ・ラ・ロサ ARR TWR 0 R 8位 R R 12 10 16 21
19 ハイドフェルド PRO PEU 0 9位 R R R 21 17 21 20
20 マッツァカーネ MIN FON 0 R 10位 13位 15位 22 21 20 4
21 ハーバート JAG FOR 0 R R 10位 12位 18 16 17 15
22 アレジ PRO PEU 0 R R R 10位 15 18 22 22