カナダGPラップタイム分析

勝負のポイントはミヒャ給油前後の走り

2002年は、GPX誌が休刊になり、ラップタイム分析が残念なことに見れなくなりました。そこで、TAGHeuerのデータから、自力で分析してみました。3つの図、「ラップごとのタイム」(3強6人)、「ミヒャとのラップごと秒差」、「ラップチャート」を見ながら、レースの勝負どころを考えていきましょう。

(2002.6.16)

1つ目のポイント「ミヒャ給油前の走り」

ルビとモンは2ストップ策を取りました。勝つためには1回目のピットストップまでに1ストップのミヒャに20秒のリードがほしいところでした。1位ルビは14周目で3位ミヒャに8秒のリードでしたが、セーフティカー(SC)が出たために帳消しになりました。もしSCがなかったとしてもルビは25周目でミヒャに15秒リードだったでしょう。

ルビがピットインした26周から37周までの間に、ミヒャはルビをさらに17秒引き離しました。これはルビがデビにつかえていたのではなく、軽くなったミヒャのペースが速かったからです。もしSCがなかったとしても、ミヒャは38周目のピットアウトでルビの前に出ていた可能性があります。ルビがわずかに前だったとしても、ルビは2ストップ目の54周までにピットマージン(26秒差)を稼げなかったでしょう。

それと、ルビの序盤のペースは、1分17秒前半から18秒前半の間で波がありすぎました。ミヒャはトップに立った26〜37周で1分16秒前半で安定して速かったのです。ミヒャはモンに対しても25秒差をつけました。これが勝負の1つめのポイントです。

2つ目のポイント「ミヒャ給油後の走り」

一方、モンはセーフティカーが出た時に1回目の給油に入りました。2ストップ制約下なら、この決断は正しかったです。モンはピットアウトでデビの前に出ました。もしやりすごして23周目くらいまで引っ張っていたら、ルビのようにデビの後ろになっていたでしょう。

モンは19周目にキミ・ラル2台抜きを演じましたが、抜いた後から30周目までは彼らより遅い18秒台でした。それは序盤と同じペースです。

モンはミヒャがピットインした38周目から50周目まで16秒台で懸命に走りました。ミヒャも給油後は1分17秒中盤で応酬し、モンのリードを11秒差までにとどめました。もしミヒャが序盤と同じ18秒台のままだったら、モンの2回目のピットアウトで僅差になっていたかもしれません。ここが2つ目のポイントでした。

デビも給油前後の驚異的な走りが2位を生む

さて、デビが2位になったことにも2つのポイントがありました。1つは、先行するキミの前に出たこと、もう1つは、ルビを抑えたことでした。

45周目にキミが先にピットインした時、キミとデビの差は4秒。デビは49周目にピットインするまでに16秒中盤で必死に走り、キミの前に出ました。デビの45〜47周目は急にペースを上げています。

2つ目は謎です。というのは、デビが給油後になぜ17秒台で走れたのかということです。デビの序盤は19秒台であり、キミの給油後も19秒台でした。デビの給油後の走りは、ミヒャ給油後よりも速い驚異的なペースだったのです。デビは限界の走りをしていたのでしょうか。いずれにせよ、マクの潜在的な力が見えました。予選の遅さを克服すれば後半戦が楽しみです。



6/14 日韓ともに勝ち、W杯決勝トーナメント進出