購入日誌

 

2003年2月21日
「時は来た」

いつもの出張からの帰り道、携帯が鳴った。
赤いランプの着信は、日産レッドステージ・H氏からを告げる合図。
特に居留守を使う理由もないので、通話ボタンを押す。

   H氏日産サティオのHです。
 なんしぃあ、どうも。こんにちわ。
H氏は広島弁バリバリのカーライフアドバイザー。その特徴的な喋り方はみんなに親しみを与える。
   H氏あの〜、そろそろお車のご購入、検討されてないですか?
 なんしぃあ〜、そうですね〜。
   H氏3月までに購入されますと、優遇税制が適用されますんで、この機会にどうかよろしくお願いします。
      キャンペーンもやってますんで、どうか足を運んでみてください。
 なんしぃわかりました、行けるかどうかわかりませんが…。
   H氏よろしくお願いします。
そういって電話は終わった。
 バックステージを知らない皆さんが聞かれると「なんて強引なセールスだ」と思われるかも知れない。
実はなんしぃ、昔H氏にとんでもないことをしている。
あれはもう7、8年前にもなるが、当時デビューしたばかりのS14シルビアを買うつもりで商談を進め、
あとは契約印を押すばかりという段階になって破棄してしまった。(そのときに購入したのが、1stマシンのCR−Xである)
そんな負い目を負いながら、その後もH氏から車を買うことなく過ごしてきた私。
その後もH氏との付き合いが家族ぐるみで続いた。
 元々我が家はその日産とは初代サニーバネットからの付き合いで、現在は母がモコ、弟がR34スカイライン
親父がセレナという最強のお得意様である。
そんな背景も、過去に過ちを犯したなんしぃの償いとかそうでないとか…。
 まあ、そんなこんなでトヨタ車を乗り継いできた私は、次は日産車を買わなければならなかった。
…いやいや、元々は日産車は好きで、トヨタ車は(基本的に)嫌いなのだ。
特にトヨタ車の足回りは「車造る気あるの?」と思うほど出来が悪く、アルテッツァはまだしも
MR2は横方向の剛性不足で、飛ばす気になりませんでしたなぁ…。
(でも最近のトヨタ車は良くなってきましたね、カルディナとか。)
とは言え、今の日産車は欲しい!と思う車がありません。唯一いいなと思うのは、C24セレナ。
え?それじゃ、なんしぃは次はセレナ!?
…いえいえ、10行前を見直してください。うちの親父が買っちゃってるんです。
なんしぃが「日産車で欲しいのはセレナだね!」って言ったら買われてしまいました、昨年。
その他のラインナップを見直すと…
 マーチ・キューブ・ウィングロード・プリメーラ・リバティ。
上記が経済的臨界点です。それ以上はいくらなんでも買えませんし、欲しいと思うものがない。
強いてあげるとスカイライン。でも7割がネームバリューでの挙手です。

そんな複雑な心境の中、うちの弟がスカイラインの車検に出すということなので
便乗して日産に赴くことを決意したのであった。

 

 

2003年2月22日
「ファーストコンタクト」

お昼前に家族とともに日産に行く。
週末ということもあり、ショールームにはお客さんでごったがえしていた。
正直、このお店でここまでお客さんが入ったのは見たことなかった(爆)。


 それはさておき、同行していた弟はスカイラインの車検手続きを済ませ、H氏と対面。
早速H氏は営業活動に入る。
   H氏今、マーチとキューブは試乗キャンペーンをやってますから、どうぞ試乗されてください。
マーチもキューブも試乗したことはない。しかし購入するのであれば一度は試乗してその車の取り回しや動力性能、
使い勝手はチェックしなければならない。
マーチはショールームで何度か乗り込んだことはあったが、キューブは初めての対面。
とりあえずキューブの試乗を行うことになった。

 先代キューブは以前乗ったことがあり、そのときの印象は「重い」の一言であった。
車重がベースであるマーチより200kg程重く、エンジンはマーチと共通。
平坦地でのゴー&ストップはまだしも、坂道ではアクセルべた踏みでなければ上らなかった。
先代マーチをベース急遽造ったということで、全体的なハードの煮詰めが甘かったのか。
そんな印象を思い出しながら、新型キューブを走らせた。

 まず一番最初に感じたのは、バスのような乗車感覚
切り立ったフロントウィンドウとコラムシフトはそんなイメージを植えつけてくれる。
でも、心配していた非力感は無く、思った以上に軽快なフットワーク。発進加速では雑誌のインプレのように若干ダルさを
感じるけど、我慢できるレベルだ。
それより好印象だったのは特徴的なP型インパネとソファののようなシート。
また外観からは感じることができない広さとパーソナリティ。
クーペやスポーツカーはもうだめだなぁ、と思っていたが、コレだけ個性的だと所有欲も沸いてくる。
マーチが本命だったが、キューブも射程県内に入れることとなった。

 試乗を終えてディーラーに帰ってくると、早速見積書を作ってくれた。
とりあえず「仮」ということなので値引きや下取り価格は入っていないが、キューブは210万円。う〜ん、スモールカーと
言っても高いのねん。同一グレード・同一装備でもマーチは20万円ほど安い190万円。
 ここでポイントになってくるのが、マーチとキューブの標準装備の差である。これにより俗に言う「プライスバリュー」、
つまり価格相応の装備があって満足できるか?というのが判別されるのだ。
マーチの「14e」とキューブの「EX」を比較すると、
マーチ専用装備
キューブ専用装備
カーテンエアバッグ
オーディオ
アルミホイール
と、お互いのキャラクターがはっきり分かれている。
 キューブは若者をターゲットに開発された車なので、最初からオーディオレスの設定なのだ。その代わり、マーチには無い
アルミホイールが最初から付いてくる。
単純に価格の高低から判断すると、明らかにマーチが買い得感が高い。
しかし、その価格差をカバーするほど優れた「質感」と「個性」がキューブの魅力。
これは非常に悩む…。 しかし、即決する必要な無いので二つの見積書を持って自宅で検討することにした。

 

 

2003年2月23日
「丸から箱へ」

二日連続で日産に赴く。
そのスタイルや乗り心地の悪さでキューブを認めてもらえてなかった嫁を
先日試乗しなかったマーチに乗ってもらい、キューブの良さを解ってもらうのが目的だった。
(いや、確かにマーチのほうも個性的ですが、キューブと比べるとまともな車に見えます…)
とりあえず試乗を終えて、うちの嫁も何とか納得。
ここでマーチは切り捨て、キューブ一本で商談に入ることになった。

 キューブのグレードはBXSXEXの3タイプ構成。
BXはビジネス向けのモデルで、快適装備が不足。はっきり言ってこれを買う人はいないだろう。
購入ターゲットはSXからで、ここからはスピーカーやキーレスエントリーが標準装備。ただしホイールはスチールホイールで、
マーチでおなじみのインテリジェントキーやコンライト(オートライト)は装着されない。エアコンもマニュアルコントロールだ。
しかし上級のEXと比べると価格差は約20万。自分仕様のキューブを作るにはちょうどいい。
しかし、やはりアルテッツァからの乗換えとなるとEXをチョイスしたい。
どうせ購入後はアルミも換えるわけにもいかないから、購入時に奮発だ!
…ということで、グレードはEX・2WDに決定。
(4WDは必要ないので却下)

 さて、ここからが本格的な商談の始まり。具体的なオプション装備をセレクトして車両価格を割り出す。
そこからが値引き合戦となるのだ。
ちなみに今回はDVDビデオを観れるナビを装着することが最低条件。キューブは全車オーディオレスなので、
後付対応となるのだが…。キューブには「DVDナビパッケージ」というのがあり、ザナヴィ製のインダシュDVDナビが
18万円で装着することができる。試乗車にもこのナビが装着されており、機能的に不満なさそうだが…。
DVDビデオが観れない…(泣)。
 ということで、N’FIT(一般オーディオメーカー製の日産推奨モデル)ナビを装着。
またこのときにアルテッツァの下取り額も算定してもらった。平均下取り相場では100万円のアルテッツァだが、
玉突き事故に遭遇していることもあり、見積り額は85万円。渋い顔は隠せなかった。
貰い事故とは言え、事故はやはり「百害あって一利なし」である。

 とりあえず本日はこれで見積もりを出してもらい、下取り価格を含めた支払い総額は130万円。
やはり初日感想と同じく、高いぜ…。
 愛車アルテッツァのステアリングを握り、帰途に着く。
「こいつとも、別れなければならないのか…」
そう考えると、アクセルを踏み込む右足に自然に力が入るのを感じた。

 

 

2003年3月1日(午前の部)
「オーディオに凝る」

今日は具体的な値引き額を算定し、条件が良ければハンコを押す。
そう心に決めて起床。
本来であれば競合車をぶつけながらじっくり攻略するのが値引きのセオリーと言うものだが
今回はここのディーラーでしか購入できないので、弁術で値引きを引き出すしかない。

というわけで、まずは購入車種とグレードを再確認。
キューブ1400EX・2WD。マーチはすでに除外だ。
ボディカラーは全8色あり、内装色も3色の中からチョイス可能なので
嫁の意見を聞きながらその選定に入る。
ボディ
アイボリー
ホワイト
ビーンズ
エアブルー
ダイアモンド
シルバー
パプリカ
オレンジ
ブラック
ビームグレー
ホワイトパール
内装

マーチと比べるとボディカラーは少なめだが、それでも8色。
最近の傾向とは言え、バリエーションは多いほうだ。
一番人気はやはり□ホワイトパール。しかし特別塗装色で3万円の価格アップなので却下。
パプリカオレンジもキューブには合わない?ということで却下。
ビーンズとビームグレーも個人的に気に入らないので却下。
ここですでにボディカラーはアイボリーホワイト・エアブルー・ダイアモンドシルバー・■ブラック
の4色に絞られてしまった。
よくよく見ると、同じ系統の色が重なって存在する。8色あるけど、バリエーションは白系・黒系・青系・赤系の4系統じゃん。
今度は内装色の選定に入る。こっちを決めたら自然にボディカラーも決まってくるだろう。
内装色はエクリュ・モカ・グラファイトの3色で、色によってシート素材も異なる。
エクリュは最近に日産車に良く使われる色だが、汚れが目立ちそうなので却下。
グラファイトはシート目が粗く、ほこり等が溜まってしまいそうなので却下。
ということで、内装色は「モカ」に決定。いやー、これはあっさり。
これにボディカラーを合わせていくと…アイボリーホワイトしかないじゃん。

ボディカラーの次は、オプションの選定。
ポイントとなるのはカーナビ。純正品は3年間保証がついて価格もお手ごろだが、社外品と機能面から比べると何だか
割高な感じがする。ということで、近所のカー用品店で市場調査をすることになった。
高速でデータの書き換えが容易なハードディスクタイプも出揃っているが、やはり高価なのでここはDVD方式に的を絞って
みると、純正品と同じタイプでも価格は4〜5万円は安い。ただし保証は1年間のみだから、ここらへんは割りきりが必要か。
そこで一番目に入ったのは、カロッツェリアの「楽ナビ」 だ。
出たばかりの新商品で、TVでユニークなCMが頻繁に流れている。担当員の話を聞くと、同社のフラッグシップモデルと
機能的な差はほとんどなく低価格に抑えられているのが最大の売りのようだ。
リアディスプレイがセットになった「キッズモニセット」でも22万円というのは日産純正品で装着しようとしたらこんな価格では
存在しない。
というわけで、オーディオ周りはカロッツェリア一式で決定。

カーナビ&オーディオの選定が終わったところでオプション品の再計算を行う。
はじき出された数字を見て、一声。
「これであとは値引きの上乗せを狙えばOK!」

 

 

 

2003年3月1日(午後の部)
「英断のとき」

昼食を終えて、日産に出廷。判決を下す刻(とき)が近づいてくる。
大きなバックを持ちながら登場したH氏は、いつもより若干顔が引きつっているように感じる。
H氏「それでは、お願いします。」
と、試合のゴングが鳴り響いた。

まずはじめに、最初に出してもらった見積書の内容からオプション内容が変わっているので
その旨をお伝えし、見積書の再作成を依頼。
カーナビとプラスチックバイザーをカットし、代わりに寒冷地仕様を追加した。
10分ほどしてH氏は戻ってきた。何だか困った顔をしている。
H氏「すいません、こちらのミスでキセノンヘッドライトとフォグランプがセットで
メーカーオプションにあるのが発覚しまして、ディーラーオプションからフォグランプを引かせて
貰ったのですが、5万円を切ってしまったんですよ。」

…皆さんには何のことだかさっぱりわからない内容だと思うが、
車を購入するとき、一般に「オプション」というのは
・メーカーオプション
・ディーラーオプション
の二つに分かれており、前者は工場出荷時に装着するものである。取得税の対象になり、購入後に装着したくても装着
できないものが多い。なんしぃはキセノンヘッドランプ(6万円)をメーカーオプションで選択し、フォグランプ(2万9千円)を
ディーラーオプションで選択していた。が、これら二つがセットオプション(7万5千円)で存在しているのが判明。
おんなじ物がつくのであれば安いほうが良いに決まっている。
ということで、ディーラーオプションからフォグランプをカット。すると今度はオプションが5万円を下回り、キューブ購入者向け
キャンペーン「オプション5万円プレゼント」が適用されなくなってしまった、と言うわけだ。
オプションリストをもう一度見直し、5万円を超えるように調整する。
最終的に5万2千5百円!…つまりオプション計は2千5百円となった。
アルテッツァの下取りが88万円、車両総額が188万9千円で総支払額は100万9千円となった。

「ところで、その…値引きなんですが…」
そろそろ頃合か?と思い、なんしぃは商談の真骨頂(?)へと話を持ち込む。
キューブは登場以来、月に1万台以上売れる日産の戦略車。
「値引いて売る」などという販売になっておらす、値引きは渋い。
H氏「今回のアルテッツァの下取り額はディーラーオプションの購入額を
考慮した形で出しているものなので…厳しいですね。 」

結局査定額は変わらず、車両本体から値引いてもらうよう説得する。
H氏「とりあえずこの9千円をカットして100ジャストでどうですか?」
なんしぃ「う〜ん、もう少し何とかなりませんか?」
H氏はさすがに困った顔をして
「…そーですね〜、ではナビ取り付け代の2万円をサービスします。」
これで98万円だ。ここまできたらもう一声…。
なんしぃ「98だと半端なんで、95とかになりませんか?(にまっ)」
しかし、H氏の首は縦に振られなかった。やはりこれ以上は苦しいか?
H氏「それはちょっと…。じゃ、一万だけ引きます。その代わりナビ取り付け代はお願いします。」
…ということで、97万円でサインとなった。ナビ取り付け代を考慮すると99万円だが
持ち込み取り付けだし、そこら辺はしょうがないか。
その代わり、希望ナンバー登録をサービスしてもらえることになった。Hさん、ありがとうございます。