任天堂 2006/07/13
「bit Generations」シリーズの1作。一応レースゲームということになるのだろうか。
機体はドット、背景は黒字にライン。上下が固定された横スクロールのコースを駆ける、
非常にシンプルで抽象化されたデザインがまず目を引く。
走った軌跡には機体と同じ色のラインが残る。ラインは1周すると消えているが、
残っているうちは重なることが出来ない(交差は可能)。つまり後続の動きは制限される。
ただし、他機の軌跡に沿って走るとスピードが上がる。
自機は他機と比べると初速は遅いので、主にこれを利用してトップを目指すことになる。
操作は少し独特。アクセルは無く自機は常に右方向へ画面に水平に移動している。
上下ボタンを押している間のみ斜めに移動。「ハンドルを切る」という感覚とは異なる。
ステージ上には加速や減速のパネル、アイテム、ぶつかると耐久力が減る障害物などがある。
耐久力はターボの使用回数も兼ねていて、ゴール前のピットインで(時間はかかるが)回復可能。
耐久力が無くなるとその時点でリタイア。ステージ自体は短めで、1レースが大体2分弱で終わる。
表向きはレースゲームであり、ポイント制5連戦のグランプリと、
好きなコースでタイムアタックするモードが基本となっているが、
実際のところ他機は対戦相手と言うよりステージ上のギミックに近い。
前述したようにスピードの設定からして自機と対等ではないし、耐久力も無制限。
その半面、他機は自機では可能なターボやアイテムの使用が不可能だし、軌跡を利用した加速もしない。
当然、対人戦も不可能である。むしろ対人を前提としていないからこその設定だろう。
もう一点、一般のレースゲームと比べて特徴的な要素がある。
車でも飛行機でも、それらを元にした架空の乗り物であっても、
モチーフが存在する以上、ゲームシステムはそれに縛られてしまうが、
本作の機体は正体不明のドット。ステージもなんだかよくわからない空間でしかない。
こうなったら何でもあり。ゲームシステムに合わせて好き勝手な動きをさせることができる。
つまり、100%「システムありき」のゲームを作ることができる。新しいレースゲームの可能性を感じさせる。
(他のゲームの話になってしまうが、例えばマリオカートDSにおいて
直線ドリフトで加速するのを単なるテクニックだと割り切れない人がいるのは、
「車」という現実的なモチーフにとらわれてしまうからであろう。)
レースとは別に専用のコースでカプセル(?)を集めるスコアアタック用のモードがある。
こちらでは自機だけでなく最大5体の機体を同時に操作する、本編とは全く違うゲーム。
他機を制御するコマンドはグランプリを攻略するごとに解禁されるので、
一通りクリアしたプレイヤーのためのエクストラモードと言える。
なお、bitシリーズのお約束として、本作もミュージックは秀逸。
ファミコンっぽいピコピコ音をうまく使っている。
BGMだけでなく効果音もステージごとに変えるこだわりが良い。
タイムアタックやスコアアタックという、長く遊べるゲームの基本を押さえつつ、
完成度の高い新感覚ゲームとしてまとめられた一本。
最終更新日:2010/10/20
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