◆21.如来神力品
この章では、釈尊が地涌の菩薩に一切の教えを要約して授与し、末法に於いてはこの地涌の菩薩によって法華経が弘まることが述べられています。要約とは次のことです。一、如来の一切の所有の法二、如来の一切の自在の神力三、如来の一切の秘要の蔵四、如来の一切の甚深の事五、皆この経において宣示顕説するの五つです。日蓮聖人はこの五つが一切の教えをまとめた法華経の功徳として私達のために受け入れやすい形で示されたものであるととらえられました。そして所有の法とはあらゆる仏さまが悟られた内容を(法)としてまとめられたものである。自在の神力とは仏さまのもつ慈悲の力を私たちが受け入れられるように(妙)の字に集約されたもの。秘要の蔵とは仏さまの功徳を(蓮)の字にあらわし、甚深の事とは仏さまが人々を救済されるはたらきを(華)の字に示され、宣示顕説とは、これらが法華経という教えの中にすべてあらわしていると説かれました。つまり「妙法蓮華経」というお経の題目そのものに、一切の仏さまの悟りや智慧、そして慈悲とはたらきがこめられているというわけです。その五字にすべてをこめたものが、神力品で上行菩薩をはじめとする地涌の菩薩に対し、本仏である釈尊が付嘱されたのです。私達がお題目を唱えるというのは地涌の菩薩の一員として釈尊から付嘱されている姿なのです。この付嘱がおわると、法華経の信仰があるところは園の中、林の中、その他どこでも塔を建てて供養しなければならないと説かれます。なぜならば、一切の付嘱をされた法華経の教えが信奉され実践されているところは、仏さまが悟りを開かれ、教えを説かれ、涅槃される第一級の道場だからです。最後に仏さまの滅後に法華経を説く人の徳がうたわれています。
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