(二)例大祭 例大祭は、七月十六日である。 例大祭の祭式は、午後二時頃から始まるので、昼過ぎからは宮司や湯瀬 温泉まつり関係者、舞人たち、また湯瀬集落の人たちや一般参拝者などが 次々に集まってきた。 舞人は小学生からと決められており、幼児は参加できないのであるが、 大張り切りでいる幼稚園児もいる。 時刻、例大祭の祭式が始まった。舞人たちは社殿前に整列して、舞人代 表に合わせて拝礼した。 続いて境内では、舞人たちによる一連の先祓舞が奉納される。例大祭で も社殿では祭式が、境内では先祓舞が同時進行の形で行われる。太鼓を先 頭にして、境内を右回りに輪を描くように舞い廻る。 笛吹きや手平鉦たたきは、輪の外に立つ。 先祓舞の演目の節目に、花代(神酒などの奉納)を披露する口上があっ た。 ここ湯瀬神明社先祓舞の花代披露の口上は、そのときどきに秀でていた と認められる、舞人たちの所作や演技、演奏を個別に指定して行われる。 祭式が終わり、神輿渡御の行列が整列すると、渡御の触れ大太鼓が打ち 鳴らされた。この触れ大太鼓は、渡御の道順の要所要所で打ち鳴らされる。 渡御とは、神輿(神輿の中にはご神体が奉安されている)が、氏子区域 にお出ましになることをいう。 太鼓打ちを先頭に舞人たちは、行列を先導して舞い進み、渡御はしずし ずと移動してゆく。 行列の順序は、おおむね次のとおりである。 一、太鼓を先頭に舞人たち 二、天照皇太神宮旗や紅白などの神旗を持った幼児 三、寒銭箱 四、宮司 五、祓串 六、神籬(ひもろぎ) 七、ご神体が奉安されている神輿 八、神社の氏子総代など湯瀬温泉まつりの役員や関係者 九、大太鼓、すなわち渡御の触れ大太鼓 十、お神酒と、お神酒をお酌する巫女役二人 うら若き巫女たちは、神輿に向って祈りながら見守る沿道の参詣人に対 して、お祝いのお神酒を振舞う。 渡御中の先祓舞の演目は先祓いであるが、湯瀬ホテル、湯瀬体育館、湯 瀬郵便局、姫の湯ホテル、その他花代を上げられた家屋敷の前では、一連 の先祓舞が舞われた。 途中、湯瀬ホテルと姫の湯ホテルの玄関前広場では、渡御は一時休息す る。 この休息のとき、当該建物の所有者などからヤキトリ、アイスクリーム、 ビール、冷たいお茶や飲み物、スイカやトウモロコシなど季節のものが盛 りだくさんに、ありあまるほど供応される。 またこの間、当該建物の中では、宮司によるお祓いや祈祷なども行われ る。 やがて渡御は、神社へ無事遷幸し、社殿内では祭式が執り行われた。 境内では、「納めの後祓舞」が舞われる。そして、最終には、杵取り舞で ある。この杵取り舞は、飛び入りという。 輪の中に杵が置かれている。浴衣姿の青年が、豊作祝いの輪の中に入り 込む。舞人たちは、舞を休止して見守る。この青年は、足の甲で杵を持ち 上げようとして、再三再四、幾度となくすり足をして挑むのである。そし て、最後に杵の中程に足を潜らせて、えいっ……。 先祓舞の奉納をすべて終了した。舞人たちは、履き古した草軽を競って 境内のご神木の枝に投げ懸ける習わしになっている。何度投げてもご神木 に懸からないときは、年長者に依頼することもあるようである。 汗だくの舞人たちは、迎えにきた家族と共に帰宅の途についた。 |