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15 八幡平地区の先祓舞

平成20年3月鹿角市教育委員会発行、鹿角市文化財調査資料91集
鹿角市指定無形民俗文化財「八幡平地区の先祓舞」
        「湯瀬神明社先祓舞」
        「谷内天照皇御祖神社先祓舞」
        「長嶺八幡神社先祓舞」
        「大里川原稲荷神社先祓舞」
無形民俗文化財記録作成調査報告書 五

……

 目次
はじめに
例言
無形民俗文化財記録作成調査委員会
目次

第一章 調査概要
第二章 八幡平地区の歴史と風土
第三章 先祓舞の記録
 第一節 湯瀬神明社先祓舞
     一芸能の由来 二芸能の内容 三先祓舞の所作 四先祓舞の道具・衣装
 第二節 谷内天照皇御祖神社先祓舞
     一芸能の由来 二芸能の内容 三先祓舞の所作 四先祓舞の道具・衣装
 第三節 長嶺八幡神社先祓舞
     一芸能の由来 二芸能の内容 三先祓舞の所作 四先祓舞の道具・衣装
 第四節 大里川原稲荷神社先祓舞
     一芸能の由来 二芸能の内容 三先祓舞の所作 四先祓舞の道具・衣装
第四章 近隣地域の先祓舞
第五章 芸能の保存伝承
第六章 文献資料
民俗芸能調査表

……

第三章 先祓舞の記録

 鹿角市八幡平旧宮川地区には、先祓舞といわれる芸能が、神社の祭礼時
に行われている。
 先祓いとは、渡御(とぎょ。神輿渡御の行列のことで、巡幸(じゅんこ
う)とも。)の先導を担い、順路を祓い清めてゆくことである。
 すなわち先祓舞は、主として青少年たちが華やかな衣装を身に着けて、
太鼓、笛、手平鉦の拍子に合わせて、渡御の道順に従い、神社境内や、氏
子区域各所を練り歩きながら舞われてゆく芸能である。
 旧宮川地区の先祓舞が兄川舞と別称されているのは、米代川上流に位置
する、岩手県八幡平市の兄川稲荷神社の祭礼に伝わる「先祓い」の舞が導
入されたことによる。舞の演目は普通十二からなる。
 秋田県内では、このような先祓舞のような芸能は他に見あたらず、鹿角
地域の特色的な舞といわれている。

 ちなみに先祓いの舞の元々の由来はその昔、天孫降臨(てんそんこうり
ん)に際して猿田彦(さるたひこ)が天孫の道案内のために部下達に剣と
剣とをぶっつけながら舞い踊らせ、悪魔たちを追い払って道を切り開いた
という故事に基づく舞であるとされている。
 
 なお、ここで指摘したいのは、「赤平(あかひら)稲荷神社先祓舞」の
ことである。
 赤平稲荷神社先祓舞は、湯瀬神明社先祓舞・谷内天照皇御祖神社先祓舞・
長嶺八幡神社先祓舞・大里川原稲荷神社先祓舞とともに鹿角市指定の無形
民俗文化財であった。無形文化財に指定されたのは、昭和六十一年年一月
十六日であった。

 赤平稲荷神社先祓舞の概要は、次のとおりである。
 岩手県安代町の兄川稲荷神社から伝えられたといわれ、アニガマイ、ア
ニガオドリともいわれる。昭和二十年頃一時中断したが、同五十四年に古
老たちの指導により、復元された。
 赤平稲荷神社の例大祭である八月十五日、渡御に先だって、神社境内で
「二ツ打ち」が演じられる。渡御が始まると「五ツ打ち」が舞われ、続い
て神輿は別当宅、御旅所の台座に安置され、その前で「れーろ」以下の舞
12種が演じられる。
 笛、太鼓、手平鉦の囃子にあわせて演じられる舞は、賑やかでテンポが
早く、手数も多く軽快であり、近隣集落の先祓舞のなかでも最も原形を保
っているといわれている。小憩の後、赤平、蛇沢、熊沢の三集落を巡回し
て、再び別当宅、次いで神社へと戻り、奉納を終える。
 
 この赤平稲荷神社先祓舞について、熊沢老人クラブの青沢ユミ氏によれ
ば、その演目は、
一、一ツ打ち
二、二ツ打ち
三、拝む
四、拝まない
五、苗取り
六、ジャンジャンジャキン
七、トカトカトロヒー
八、テーシャン
九、立車
十、ササイ
十一、キネ取り舞
十二、下打ちの舞であったという。
 
 しかしこの赤平稲荷神社先祓舞は、現在は舞われておらず、したがって
鹿角市指定無形民俗文化財から除外(指定解除)されてしまったことは、
非常に残念なことである。
復活されることを切に望みたい。

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