神楽舞第九番目「湯浴みの儀」 斎笹は、近くの社有林などに生えている笹の葉を刈り取って作ったもの である。五十本程度の笹の葉を束ね、棹は長さ一尺五寸程度に切り揃える。 一対が神域の手前の左右の木杭の、藁太総の下の位置に仮結びしてある。 この湯浴みの儀は、火伏せ、無病息災を祈願する。 続いて、湯浴みの儀を行う。 まず、神霊を現す斎笹二束を両手に合わせて奉持し、大釜に煮えたぎっ ている斎湯に浸し潜らして後、四面にそれぞれ一礼する。斎笹を浸し潜ら すときは、斎笹を左右の手に分けて持ち、葉の表を上にして浸し潜らし、 更に葉の裏を上にして浸し潜らすのである。 四面に一礼の後、大釜の間近に至り、湯浴みをする。すなわち斎笹を斎 湯に浸し潜らして、自ら勢いよくサッと頭から被る。熱湯の滴る笹の葉を、 頭巾を被った頭の上を前の方から転がすように後の方へと被るのである。 これを三度行う。全身が熱湯で覆われることになるが、火傷になったこと はないという。 いよいよ最終段階となる。斎湯に浸し潜らした斎笹を衆生に対して、あ らん限りの力をこめてザザーッと振り撒けるのである。これを四面の各面 に、斎湯に浸し潜らしては振り撒け、各一振りずつ行う。この振り撒けは、 豪快、かつ一瞬の出来事である。 終わって斎笹二束を両手に奉持して一礼し、斎笹を左右の木杭の許に置 く。 神事を無事奉仕し終えた舞人は、御前に正座して拝礼する。 この斎湯の振り撒けにおいて、火焚き場を取り囲む楽人たち、参拝者た ち、そしてカメラマンたちは、「あの沸騰している熱いお湯を掛けられた ら、火傷したり、折角の衣服が汚れないだろうか」と思ったり、一方では また、「斎湯が運良く自分に振り掛かるように」と願ったりとさまざまで ある。 神楽舞の奉納はすべて、滞り無く終了した。 |