二、草g家住宅 同町生保内字下堂田にある草g家住宅は、昭和五十年国指定の重要文 化財である。南向きの主屋がまず建てられ、後に主屋の南西のところに 土間が追加して建てられ、曲屋となっている。建築年代については、か つて主屋を修理した際、破魔矢に天保(一八三〇〜一八四四)の年号があ ったと伝えられている。 造りの立派な、当時の豪農を彷彿させる邸宅である。主な建築材は杉 材である。それも木目が粗いので、人口植栽された杉であるように思わ れる。また「だいどころ」の床板も杉材で、ピカピカ輝いている。 屋根は萱葺であるが、萱の厚さもオガラの厚さも普通の民家の二倍も あるのであろうか、誠に重厚な感じがする。 訪れたときは、当主草g稲太郎氏が所要のため不在につき、ご令室か ら建物の懇切丁寧な説明をしていただいた。 南面する主屋の間取りは、西側から東側へ順次上位の部屋となる、即 ち下位の西側には「だいどころ」があり、続いて「なかのま」、「した のま」「かみざしき」の上位の間となる。 即ち「だいどころ」にある囲炉裏を囲んで着座する位置は、主人は上 位の間を背にして座るのだという。 因みに鹿角辺りの居宅では普通、訪問する人は、入口から入って、東 向き家のときは左に向きを変え(西向きの家のときは、この逆)、上がり かまちの前に進み出て、座敷に正面して座している主人と相対して用を 足す間取りとなっている。つまり主人は、座敷の囲炉裏を囲んで上位の 間を背にし、上がりかまちの方を向いて座る。これはあたかも、主人は 一家を代表して、上位の間に奉安してある代々の祖先(霊)を侵入者から 守護し、かつまた、先祖代々からの重責を背負って、侵入者と相対する ことの意味にもとれる。 さて、草g家を訪問する人は、土間の方の入口から入り、上がりかま ちの前に立ち、「だいどころ」に座っている主人と相対することとなる。 主人は、上位の間を背にして座っているので、客人に対しては横を向い て応ずる姿勢となることになろう。 土間の主目的は、馬屋である。説明によると、当家における生業は農 家である故、そのなかで最も大事にされるものは、馬であった。したが って、大切な馬を飼う馬屋が南側に間取りされたのだとのことである。 南端に位置する馬屋の屋根は入母屋で、妻に狐格子、つまり大きな明 り取りがある。昔屋根裏でわら仕事でもしたのであろう。説明の合間を ぬって急いで外へ出てみると、なんと趣のある造りであろうか、草g家 住宅を見学するときのポイントの一つであると認められる。 |