十八、焼成雰囲気 焼成雰囲気には、酸化炎焼成(OF)と還元炎焼成(RF)の二つが ある。 @酸化炎焼成(完全燃焼)で仕上がった作品は色彩が鮮やかであり、還 元炎焼成(不完全燃焼)で仕上がった作品は深い味わいがある。還元炎 焼成では、温度が九〇〇〜九五〇℃辺りになったら、電気窯ではプロパ ンガス炎を混入、薪窯では追い焚きをする。 A自然界では、例えば鉄は酸化の状態、銅は硫化(〜酸化)の状態で存 在する。したがって鉄は錆色(酸化炎のときの色)、銅は緑色系(酸化 炎のときの色)を呈する。それを還元炎で焼くと、本来の色、つまり鉄 は青色〜灰色〜黒色、銅は赤色〜赤銅色に発色する。 B還元炎焼成の伝説 陶芸関係者の話や陶芸関係参考図書などから、私なりにとりまとめた 還元炎焼成にまつわる伝説について述べる。 昔中国のある国王(皇帝とも)は、優秀な陶工をかかえて、青色系の 良品を焼かせていた。 あるとき、陶工が窯で焼成中に、一匹のイノシシ(ブタとも、シカと も)が窯に迷い込んで焼けてしまった。 ところが、その窯出しのとき、青色であるべき器の中に、鮮やかな赤 色の器が一つ見出された。 この赤い器を国王に差し上げたところ、国王はその素晴らしさにこと のほか喜び、陶工に対して数々の褒美を賜った。そして曰く、 「この妖しい赤い器をもっと焼くように」と。 陶工は一生懸命研鑽して焼成を試みたが、一向に赤い色の器は出来な かった。 思い悩んだ陶工は、盛んに焼成中の窯の中に、自らの身を投じた。 しかして、その窯出しのとき、全ての器は、見事な赤い色を呈してい た。 この伝説が「鈞窯」の起こりであり、還元炎焼成の発見伝説といわれ ている。 |