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鹿角市文化財保護協会「上津野」NO.31

十一、焼成温度と物の性質
 陶芸の分野に関して、三〇〇℃、八〇〇℃、一二五〇℃(〜一三〇〇
℃)の三段階の温度域は、特別の意味を有する。すなわち三〇〇℃前後
で不純物が燃えきってしまう、八〇〇℃で物の性質が変わる、一二五〇
℃で物の本来の性質が根本から変えられてしまう(有毒の物質でも毒物で
なくなる)。また前述したように、粘土を焼成してゆく段階において、低
温域から徐々に加温して三〇〇℃前後にし、その後は少し加温の速度を
強め、八〇〇℃辺りからは一気に火力を強めて一二五〇℃の高温域にす
るのである。
 
 因みに、「陶」とは養う正す化す造すことで、人間の性格は根本から
ら変えられてしまう語として、しばしば援用される。「陶」を含む単語
を拾ってみると、薫陶、陶化、陶冶(陶鋳)、陶染(感化)、陶甄(とうけ
ん、人を善道に治下)、陶然(心地よく酔う・陶潜)陶酔、陶鬱(鬱陶しい)
などが挙げられる。古来窯の火入れにあたって、焚口にお供物を献じて
神に祈る習慣がある。一二五〇℃の窯の中は、神々の主宰する世界なの
である。
 付言すれば、自然界の粘土鉱物のほとんどは、@800℃前後で、熔けた
り、焼け締まるものと、A1250℃前後で、熔けたり、焼け締まるものと
に分類されるといわれている。

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