十、 成形の手法「水びき」 電動ロクロによって成形することを水びき(ばいびきとも)という。 これは、粘土を水で濡らして滑りをよくして、引き上げながら成形する ことの呼び名である。 市販の粘土は全体が均一になっているが、手製の粘土や、一度使った 粘土を再利用するときは、よく混ざり合っていないので、荒練り、菊練 りとも一〇〇〜二〇〇回は練る必要がある。市販の粘土でも、数十回は 練る必要がある。 @荒練りとは、粘土を均一にするために練るもので、両手で押したり畳 んだりすることであるが、膝下から肩まで、全身を使うと良い。 菊練りとは、粘土の中の気泡を無くするために練るもので、これも膝 下から肩まで、全身を使うと良い。二〜三キロの粘土を円錐状にまとめ、 これをやや傾けて、右ききの人は右側面の部分から順次押しつぶしなが ら、菊の花びらのように練ってゆく。粘土の中に気泡があると、水びき 中に、その気泡が火傷のときの水ぶくれのようになって、器に欠点を生 ずるからである。万一水びきの途中で気泡によるふくれが生じたら、針 状の串を刺して、気泡をつぶすとよい。 したがって、電動ロクロで水びきをするときは、荒練り、菊練りとも 必要不可欠の作業なのである。 A電動ロクロで成形するには、まず二〜三キロの粘土を円錐形にまとめ て回転台の中央に置く。粘土の中の気泡を抜くためと、粘土を台の中央 に形よく据えつけさせるため、ほんの少し回転させながら両手で強くた たく。次に適度に回転させながら、水をいっぱいかけて滑りをよくし、 粘土全体を高くしたり低くしたりし、これを二三回くりかえす。これを 「粘土を殺す」ともいうが、これによって粘土の粒子が一斉に中心を向 くとされ、粘土が陶芸家の意のままになるのである。 次いで、頂部に親指を差し込んで、目的の器に引き伸ばしてゆく。こ の引き伸ばしは、抹茶茶碗程度の大きさの器なら、数回で成形しなけれ ばならない。何故なら、水びきでは絶えず水を掛けて滑りをよくするの で、何回も引き伸ばしていると、粘土が軟らかくなって形を保てなくな るためである。 また、作品は高く形作ることに心がけなければならない。 水びきでも「心技体」、つまり焦る心、手の力み、回転の速さが互い に調和していることが大切であろう。自転車なら(公道以外で)片手で も、またよそ見しても転倒しない程度の速度、ということであろう。 |