陶芸と私 一、 はじめに 陶芸とはやきもの作りのことで、粘土を任意に成形して、一二五〇℃ の高温で焼成することである。 ところで、私は六十歳の定年を前にして、故郷鹿角市に定住するにあ たり、何か芸を身につけておこうといろいろ模索していた。 陶芸は結構手間がかかるので、まだ全国的にはそんなに普及していな い。いわゆる「せともの」つまり磁器や、「やきもの」つまり陶器(一 応本稿ではこのように定義する)の売り場辺りには、男性客は稀である が、女性客がよく品定めをしているのが目につく。 そのようなことから、鹿角でもまだ珍しい「やきもの」作りを習得し て、地域の方々始め同年輩の女性の方々とともに、これからの人生に、 お互いに潤いをもたらそうと思ったのが、陶芸を始めた理由である。 鹿角の自宅で陶芸をするには、とりあえずそれなりの名前をつける必 要がある。私の居所は市内八幡平字松館であり、奉仕している神社を「 松舘菅原神社」といい、ご祭神は菅原道真公である。道真公の貶謫先の 九州大宰府での庁舎の別名を「都府楼」、道真公の自宅である京都の学 習塾を「菅家廊下」という。それにあやかって、松舘天神焼研究室「陶 阜廊」と呼ぶことにした。 |