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13 からめ節金山踊り

平成17年3月鹿角市教育委員会発行、鹿角市文化財調査資料82集
鹿角市指定無形民俗文化財「からめ節金山踊り」
無形民俗文化財記録作成調査報告書 三
 
 目次
はじめに
例言
無形民俗文化財記録作成調査委員会
目次
 
第一章 調査概要
第二章 芸能の伝承地の歴史と風土
第三章 芸能の歴史
 第一節 芸能の由来
 第二節 芸能の沿革
 第三節 芸能の変遷
第四章 芸能の概要
 第一節 芸能の概要
 第二節 「からめ節」
 第三節 「金山踊り」
 第四節 両社山神社の祭典とのかかわり
第五章 近隣のからめ節
 第一節 秋田県
 第二節 岩手県
 第三節 青森県
第六章 芸能の保存伝承
 第一節 保存伝承組織
 第二節 尾去沢からめ節保存会のあゆみ
 第三節 酸化小学生による感想文
 
………
 
第三章 芸能の歴史
 第一節 芸能の由来
 
………
 
二、この芸能の淵源
 銅が有用な鉱石として位置付けられなかった当時は、もっぱら砂金の採
取が行われていた。そのときの重要な道具がザル(篩い)であった。砂金
とりの人々にとっては、ザルの扱い方が、そこで働く人々の貧富を左右し
たにちがいない。したがって、この「からめ節金山踊り」の淵源は、この
砂金採取に求められると考えられる。
 
 「その昔、鹿角は黄金の里としての歴史を有していた」、ここ尾去沢は
もちろん、鹿角の里に住む人々の脳裏には、このように焼きついている。
 したがって、このからめ節金山踊りに関しては、それを歌い踊る人たち
を始め、その演芸をみる人々は一様に、はるか遠く古代のありさまを、
今現在の出来事のように誇りと郷愁を感じているのである。
 
 この「からめ節金山踊り」に関して調査のため、尾去沢地域に永く住ん
でいる方々にいろいろと話を伺っていると、次のようなことが推理される。
(一)わが国で最初に金を産出したのは、鹿角であり、その中で、白根〜
尾去沢〜真金山あたりが有力である。
(二)最初の金は、砂金であった。そして、「からめ節金山踊り」のとき
のザルは、砂金採りにその淵源を認めることができる。
(三)過去数千年にわたって、鹿角及びその周辺において、次のようなこ
とが繰り返された。
 @初めは砂金を採取して何年か(数十年ないし数百年、以下同じ)栄え、
掘り尽くして廃鉱になり、また何年か経過した。
 Aあるとき山崩れとか、地震などのため、砂金ないし金鉱がが露頭した。
そして何年か稼業して栄え、掘り尽くして廃鉱になり、何年か経過した。
 Bあるとき、また鉱脈が発見された、などなど。
 
 鉱山において掘り出された鉱石を選ぶこと、すなわち選鉱するときの女
性たちの唄が「からめ節」で、鉱石を掘る鉱夫たちの唄が「石刀節」であ
る。石刀節は、瀬戸内地方の石切場で歌われていた「石切り唄」が元唄と
なり、全国的に広まったとされている。この石切り節が元唄となって、か
らめ節が出来上がったものといわれている。
 また、砂金などのザルですくって選別するときの唄である「ざるあげ節」
も、からめ節の元唄といわれている。
 
 このように、「からめ節」は「石刀節」から派生したものであるため、
「からめ節」と「石刀節」との歌詞には、ほぼ共通するものがある。つま
り「石刀節」の歌詞がそのまま「からめ節」に採用されいてたり、また、
その逆もあるなど、両者はそれぞれに関係が深かったことがうかがわれる
(後述)。
 また、踊りについても、ザルを扱う所作は、砂金とりのそれを基本とす
るが、鉱石を打ち砕く所作も重要な部分を占めている。

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