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12 土深井裸まいり

(八)直会
 厳粛な神事を務め上げたとき、その極度の緊張を解きほぐすための催し
を直会という。
 直会では、神前に捧げた神饌(神様の召し上がりもの)やお神酒をお下
げして、みんなでいただくのである。つまり、神様と同じものを食べるこ
とによって、神様のご神徳も同時にいただくということである。
 裸まいりという、寒さの中での厳しい奉仕行事は、とくに直会の意義は
重要であると思われる。
 
 宮司、男衆一同、世話人ら関係者、鹿角市教育委員会教育長、われわれ
調査員などの招待者は、集会所の二階の間に集まり、お神酒をいただいて
直会に入った。
 直会は、担当の組長柳沢義一氏の司会により始められた。自治会長成田
尚平氏より、無事行事を終えたことと、男衆への懇ろなる慰労の言葉など、
感謝をこめた挨拶があった。
 また織田教育長の挨拶、相川記録調査委員長の乾杯により、直会は和や
かなうちに進められた。
 この日の料理は、土深井婦人会の手料理の比内鶏やマイタケのカヤキと、
あきたこまちのきりたんぽ(鍋かやき)をおいしくいただいた。
 地元の仕出し屋からの料理など、盛り沢山であった。
 また沢山のお神酒の奉納もあった。
 
 生徒児童の男衆たちは、一階の間に降りてきて、心おきなく料理をいた
だいていた。
 
 宴もたけなわになり、頃合いを見計らって帰宅しようとし、外へ出よう
としたとき、たたきの透かし板に正座した幼い男衆三人に「ありがとうご
ざいました」と連呼された。その元気さに心を打たれ、思わず三人と握手
をした。彼らの手の温もりは若々しく、自分の手と同じくらいの温かさま
で回復していた。
 清々しい気持ちになったが、外はまた吹雪いてきた。
 
………
(完)
「土深井裸まいり」

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