二、行事の概要 この行事は、ここ土深井集落の守護神として鎮座するの四つの神社に、 豊作や健康長寿を祈願するために、男衆が大注連縄を大鳥居に奉納し、各 神社を巡拝する神事でる。またこの行事は、「綱納め」ともいわれている。 綱とは注連縄(標縄、七五三縄とも)のことである。 注連縄とは、神前または神聖・清浄な場所を示すために引き渡し、あるい は張りめぐらす縄のことである。一方、鳥居とは神域の表示、あるいは神 社の門などとして建てられるものである。ここ稲荷神社の大鳥居と、それ に懸けられている大注連縄のたたずまいは、土深井集落の象徴的な存在と して、人々、つまり氏子たちの目にもとまりやすく、また、氏子たちの崇 敬心をこよなく育んできた。 したがって、この行事の目的の一つであるところの、大注連縄を奉納す るということは、氏子たちにとって、神社への信仰の端的な表れとして、 最大の関心事となり今に伝わってきたものであろう。 この行事に参加する男衆は通常、地元土深井在住、または土深井出身の 若者であるが、ときには、他所に在住する者も参加することがあるという。 今回の男衆二十七名のうち、他所から参加したものは、市内八幡平の幼 稚園児と小学生(母親が土深井出身)、若者一名、計三名であった。 |