(一)斎戒沐浴(禊) 男衆は水垢離の行われる場所の近くにある数軒の家を宿として集合し、 それぞれ斎戒沐浴、すなわち入浴をする。入浴をするということは、身体 を清める意味と、あらかじめ身体を温めておく意味とがある。 この行事に参加することは、その若者の自主的判断による。また、生徒 児童は、父親の背中を見て育つので、自分の意志を確実のものとする、す なわちこの行事に参加するかどうかは、父親が手本となるのである。 この行事は大変厳しいものであるため、この入浴の時点までは、参加を 取り止めることはできる。 しかし、いったん心を固めると、白ふんどしと草履の出で立ちで、水垢 離場へ颯爽と向かうこととなる。 行事前日までの精進潔斎については、現在はとくに取り決めはなく、各 人各家のしきたりに任せているとのことである。ということは、行事のと きまで健康な身体を維持しておくためには、事前によけいな緊張感をもた らせないとの配慮であろうと思われる。 古老の話では、昔(終戦のころまで)は、八幡神社に三日間お籠もりを したこともあるという。 因みに、神社に籠もって精進潔斎するのは、稲荷神社の春の祭典である 四月二十日の前日と、同じく秋の祭典である九月二十日の前日、青年会な どが夜通し飲食などして一夜をすごすとのことである。 |