下タ沢会によせて(覚書)

青豆か、枝豆か − 私のへりくつ論 −

 十五夜さんで思い出したが、今はなんでも「枝豆」になってしまった。ビールの おつまみに枝豆、といつ頃からなったろう。私はこの枝豆に抵抗がある。私達は子供 の頃は、お盆に仏さんに上げるのも、十五夜さんに食べるのも、畠から刈り取って きて、葉だけをもいで、そのままゆでた、いわゆる枝豆だった。もちろん枝から豆 だけもいだのもあったと思し、それは青マメといった、そんな気がする。
 それで鉱山をやめて市場に働きに行ったとき、なんでも枝豆だった。私は枝から もいだものは青豆で、枝についているからこそ枝豆だ、とセリのとき書く伝票も青 豆と書いた。それでも別に問題にならなかった(ということは、鹿角の人は、売る 人も買う人も、昔からそういってきたのかもしれない)。本物?の枝豆が市場に出 るのは、お盆のときだけだった。そういうときは、喜び勇んで「枝豆」と書いた。
 都会の物知らずが(おこられるかナ)、なんでもかんでも枝豆にしてしまった。 それが逆にこっちに入ってきて、都会の人のいうことは、かっこよくって、なんで も正しいと思って、青豆も枝豆になってしまった。これ私の屁理くつか、どっちに ころんでもいいことだが。
 が、しかし、と思う。田舎、いなかと馬鹿にするな、田舎にこそ本当の自然があ り、豊かなみのりがあり、人情がある。私達はもっとズーズー弁に誇りと自信を 持とう。これもまた私の屁りくつか。

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