鹿友会誌(抄)
「第一冊」
 
△鹿友会誌の発刊を祝す   正員 井上慶次郎
 鹿友会誌発刊せらる、吾人は之を待つこと久し、吾人は実に智識の交換場を得たるを喜なり、 吾れ是れより、吾拙文を顧みす、続々汝か紙面を汚し、知らさるを知らすとし、知るを知るとして、 賢明英敏なる会友諸君の指教を仰かん、抑も此の東京に於て、吾人の遊ふへき文学の国、実に其数を知らす、 然かれとも汝の如く、吾人をして思ふままに思想を現はさしむるもの、 是に幾多ある、嗚呼汝は吾人故郷なる鹿角郡文明の先導者たるの責任を負ふものなり、 汝は此世の長き月日の其内に、如何なる危険、如何なる妨害あるも、非常なる勇気と、非常なる脳力とを以て、 不屈不撓の精神を以て、加一倍に発達せん事、希望に堪へさるなり、聊か記して、以て祝詞となす
 
△仝   正員 小笠原勇太郎
 鹿友会誌生れたり、而して其要旨は、会の報告並に会員各自の学説を掲げ、以て有無相通し、 彼我相益するの良紙たらしめんとすと聞く、其発刊の回数は年二回に過きされば、尚ほ孩提の如きものなれとも、 之を発達せしめ、天晴の人物と成さんには、何人か之を養育すへきや、我会員諸氏の力に因らすんはあらす、 而して其生死栄枯は又各自の力行如何熱心如何にあり、 故に諸氏にして、奮勉尽力するあらは、日ならすして成人し、一大学術雑誌たらん事、余の言を俟たざる所なり、 奮へ同郷学友諸兄よ、我今満腹の喜悦を以て、会誌発刊を祝すると同時に、幹事諸氏既往の労心を謝する事爾り

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