鹿友会誌(抄) 「第四十一冊」 |
△五十周年の回顧録 ○既往を追懐して郷土青年に檄す 四十余年前、先輩の激励を危惧の念を以て迎へたる当時の青二才は、上述の如く見事に日本を 脊負って立ち、而かも輝かしき業績を遺した。茲に於て先輩が吾人に警告すると仝様に、吾人も亦、 今日の青年諸君に警告を発する、「皇国の将来は、青年の双肩にあり」と、而して吾輩の体験によれば、 否が応でも負担せねばならぬ。そこで更めて問題を提出する。 即ち明治維新以来、先輩及吾人が苦辛惨憺、築き上げたる此隆々たる国勢を如何に維持せらるゝや、 否現状維持に止まらず更に大に発展を期せねばならぬ。其覚悟や如何。 翻て一国興亡の迹を検討するに、其興るや青年の活気に因り、其亡ぶるや青年の堕落に因る 事は、古今東西、其撥を一にする所である。畢竟するに無気力、無節操の青年は長ずるに従ひ、 益々其度を増すのみで、到底天下国家を脊負ふて立つ資格が出来ない。換言すれば青年時代に 切磋琢磨、体力気力を養ひ置くにあらざれば、次代の国家を脊負ひきれないといふ事になる。 国家興隆の根本に就ては、大正十二年十一月十日下し賜ひたる、国民精神作興に関する詔書が 明示せられて居る。其一節を摘記すれば、 朕惟フニ国家興隆ノ本ハ国民精神ノ剛健ニ在リ、之ヲ涵養シ之ヲ振作シテ、以テ国本ヲ固ク セザルベカラズ(以下略) 実に有難い詔書で、国民殊に青年は眷々服膺、聖旨に副ひ奉らん事を期すべきである。 |