鹿友会誌(抄)
「第三十冊」
 
△想起す故人十三氏
○阿部重太郎氏
 交誼上、印象の深刻なる今も尚ほ昔のまゝなる氏の、不思議の為人よ。氏とは小学中学に 於いて、同窓たりしのみならず、氏の駒場時代の鹿友会に於いては、花輪時代の昔にかへりて、 隔でなき驩語、今日まで戦死なくしてあらしめば、在郷南部鹿角の大立物、其の天稟の徳望、 家柄、財産、北に山本修太郎氏、南に我が阿部重太郎氏ありて、県政議場、鹿角の為めに気を 吐いたであらう。其の葬に莅み、遥かに谷内に其の寺に会せしが、春風秋雨幾星霜、其の友鬢 辺一基の霜を摧かんとす。

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