鹿友会誌(抄)
「第三十冊」
 
△想起す故人十三氏
○中津山延徳氏
 其の大患死際の消息は、多少聞きたりしも、詳報を得ず。一別以来、再開なくして、幽明境 を異にす。氏は僕の未だ鹿友会員たらぬ以前より知る人、氏をして今日にあらしめば、宮内省 官吏などは最も嵌り役であらざりしか、将た外交官などは如何であったらう。然らずんば、 銀行員か、兎に角此の観察は、氏の俤を髣髴と偲ぶの材料となるであらう。

[次へ進んで下さい]