鹿友会誌(抄)
「第三十冊」
 
△想起す故人十三氏
青山守太氏
 鉱山を掘りあてるとあてぬとは、其の人物の賢不肖の問題ではない。全く天運の問題である。 掘りあてたからえらい。掘りあてぬからえらくないといふ理屈はない。青山氏は、数十年の 所謂山師生活、遂に酬ひられず、古河市兵衛二世になりかねて、不遇に死んだ。天、若し僥倖 を与へたならば、氏所有の青山鉱山は、会員の就職問題に貢献し、多年、吾人の翹望し居る 鹿友会館の建設も、実現して居たであらう。惜しむべし、鹿友会の金主は、不幸逆境に早世 したのである。

[次へ進んで下さい]