鹿友会誌(抄)
「第二十七冊」
 
△『石田の大叔父さんを』憶ふ
 「をぢさん」について、特に感心してゐることは、人を見るに正確なことであったと思ふ、これは長い間、 人を使った経験と、いろいろな人に接した賜であると思ふが、殆んど百発百中の概があったやうである。
 又、人のことを人のことゝして放ってをかないで、親身も及ばない程案じて下さることも、驚く程であった、 親類のものゝ不幸や病気、肉親の病気などになると、何もかも忘れて、力をつくして下さる方であった。
 人を面倒見ることに対しては、女のやうな細心の注意を払って、ことをなされるのが、常であった。

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