5515老犬さまの水
 
                    参考:鹿角市発行「陸中の国鹿角の伝説」
 
 老犬さまの神さんの前に、綺麗キレイな水が何時イツも渾々コンコンと湧いています。この水は
「老犬さまの水」と云って、昔老犬シロが死んだとき、その亡骸ナキガラを埋めた時から湧
いている水です。
 この水は不思議な水で、昔から葛原とか、近くの村の人達などが、
「苗代の赤虫が死ぬ」
「目腐れ(眼病)が治る水」
と言って、老犬さまから授かった水だと思って、有り難い水として使ってきました。
 昔、水苗代の時には、苗代に赤虫が真赤に生まれるので、その時、この水を汲んで水
口ミナクチから流すと赤虫はみんな死んで、浮くのでした。また目腐れになった人が、この
水を汲んで来て眼を洗うと、目腐れがすぐに治ったものでした。
 昔は、大館や、津軽の弘前の方の人も来て、この水を汲んで行って眼を洗って、目腐
れを治したものです。

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