5509左多六さまの槍ヤリ
 
                    参考:鹿角市発行「陸中の国鹿角の伝説」
 
 昔のこと。佐五衛門の家(左多六の子孫が住んでいたと云われている家)に、左多六
さまの遺ノコした槍がありました。
 その槍とは、左多六さまが気合いを掛けて一気に刺すと、どんな石臼イシウスでも楽に突
き通すものでした。
 けれども、他の人がその槍を使って、気合いを掛けて刺す気になっても、いくら気合
いを掛けても何も刺せませんでした。
 その槍はついこの間まで在りましたが、今は無くなりました。また、左多六さまの着
た帷子カタビラ(単衣)も在りました。
 
 「左多六さまのモンパ(吹雪除け帽子)」と云うのはみんなが欲しがり、偉い人に成
れると思って、みんなで少しずつ分けて持って行ったために、今では何も無くなってし
まいました。

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