0202かえらじの沢(松舘/八森山)
 
    参考:八幡平地区老人クラブ連合会老人大学学習記録集「八幡平伝承ひろい」
 
 むかし昔、松館のある父子が、八森山のかえらじの沢(不帰沢)の上の方で、炭焼き
の仕事をしていました。
 ある日、お昼近くになった頃、父親が子供(少女とも)に飯を炊くように言い付けた
ので、その子供が炭焼小屋に戻り、飯を炊こうとして小川で米を研いでいたら、ふと水
面に大蛇の映る姿をチラッと見たのである。
 びっくり仰天、絶叫、腰を抜かして身動きが出来なくなった。沢の上で、ただならぬ
子供の叫び声を聞いた父親は、転び降りるように駆け下り、そばに来て見たら大蛇が今
にも我が子を一呑みにしようとしている。父親は狂人のようにして大蛇に立ち向かった
が、遂に呑み込まれてしまいました。そして無我夢中、大蛇と格闘してとうとう大蛇を
殺し仕遂げてしまったと云う。その大蛇は十二尋もあったと云い、また一尋ごとに杭で
とどめを刺したところ、杭の数は十三本にもなったと云う。
 
 それから二年程過ぎて、父親が殺した大蛇がどうなっているだろうとその沢へ行って
見たところ、大蛇の骨が見つかったので、その骨を踏み散らしたらその骨が足に刺さり、
それが元でとうとう死んでしまいました。親子が共々にこの沢で命を亡くしたことから、
誰云うとなくこの沢を「かえらじの沢」と名付けることになったと云われている。
 
参照[鹿角の昔っこ「45蛇の祟り」]

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