32 逆引き枕詞
 
              逆引き枕詞
 
 〈あ〉
 
あ          草陰の
暁方アカツキガタ      夕月夜ユフヅクヨ
暁闇アカトキヤミ      夕月夜ユフヅクヨ
飽かざる       照る月の
明石アカシ        燈トモし火の
あがしたばへ     曇り夜の
吾アガの松原      妹イモが恋ひ
秋          露霜の
明く         明星アカボシの・いなのめの・唐櫛笥カラクシゲ・玉櫛笥タマクシゲ
飽く         明星アカボシの・紅クレナヒの
開く         唐櫛笥カラクシゲ
あしげの馬      衣手を
あすか        飛ぶ鳥の
飛鳥アスカ        今日今日ケフケフと
あさ         紅クレナヒの
朝          あからひく
麻          庭に立つ
朝立つ        朝鳥の・群鳥ムラトリの
葦アシ         花細ハナグハし
あぢ         沖つ鳥
味原アヂフ       御食ミケ向かふ
東アヅマ        鳥が鳴く
安房アハ        息長鳥シナガドリ
淡路         御食ミケ向かふ・吾妹子ワギモコに
間          石橋イハバシの
あひだもおかず    玉の緒の
あひまく       薦枕コモマクラ
あふ         君が代に・玉勝間
仰ぎ待つ       天アマつ水
逢坂山アフサカヤマ     吾妹子ワギモコに
あふちの花      吾妹子ワギモコに
近江         石走イハバシる・楽浪ササナミや
淡海アフミ        吾妹子ワギモコに
あへ         玉勝間
あへたちばな     美ウマし物
天領巾アマヒレ      しろたへの
天          久方の
雨          久方の
天の香具山      天降アモりつく
天アメの御蔭ミカゲ    高知るや
あまはせづかひ    いしたふや
あや         うまこり・呉服クレハトリ
漢アヤ         囀サヒヅらふ
あやし        小波ササナミの
競アラソふ        行く鳥の
あらはるまじ     埋ウもれ木の
荒アラぶ        五月蝿サバヘなす
荒山アラヤマ       真木マキの立つ
あられ        霰アラレ打つ
あり         あり衣ギヌの・荒磯波アリソナミ・在千潟アリチガタ・有間菅アリマスゲ
ありさりて      さな(ね)葛カヅラ
青          翠鳥ソニドリの
青葉         水鳥の
 
 〈い〉
 
い          梓弓アヅサユミ・細蟹ササガニの・白真弓・夏麻ナツソ引く・もののふの
五十イ         百足モモタらず
いかだ        百足モモタらず
行き         降る雪の
息づく        八尺鳥ヤサカドリ
行きも死なむ     射ゆ獣シシの
行く         天雲アマクモの・早川の
行く先知らず     闇ヤミの夜の
行くへもなくや    這ハふ葛クズの
伊久里イクリ       妹イモが家に
池          水ミヅ溜タマる
いざみの山      吾妹子ワギモコを
五十鈴イスズ      神風カムカゼや・拆釧サククシロ
伊勢         神風カムカゼの
いそ         小余綾コユルギの・水伝ふ
いたぶらし      波の穂の
いちしろく      白波の
いちしろし      降る雪の
出イづ         青雲の・妹イモが門カド
いつがる       ひもの緒の
いづみ        蛙カハヅ鳴く
出雲         八雲さす・八雲立つ・やつめさす
出イで立つ       群鳥ムラトリの
いと         青柳アヲヤギの・細蟹ササガニの
命          うつせみの・魂極タマキハる
いは         つのさはふ
磐垣淵イハガキフチ     玉かぎる
いはひもとほり    鶉ウヅラなす
斎イハふ        剣太刀ツルギタチ
磐余イハレ        百伝モモヅタふ
家          敷き妙タヘの
家を隔てて      ふた鞘サヤの
妹イモ         さにつらふ・玉章タマヅキの・ぬばたまの
いやしき       倭文環シツタマキ
いや遠長く      さな(ね)葛カヅラ・這ハふ葛クズの
入り         小男鹿サヲシカの
入り野        小男鹿サヲシカの
いる         梓弓アヅサユミ
入る         妹イモが門カド・ひもの緒の
色          あからひくりり・さにつらふ
色に出イず       紅クレナヒの
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