蜆貝(しじみがい)で海を量る。 類義:貝殻で海を量る。 磁石鉄を吸うとも、石を吸わず。 解釈:生き方に清潔な人は、不正な金品には手を出さないということのたとえ。 類義:君子危うきに近寄らず。 磁石に針。 解釈:くっつきやすく離れにくい物のたとえ。男女の仲をいう。 四十肩に五十腕。 解釈:四十歳や五十歳なると、体のあちこちが痛み出すことをいう。もう若 くはないのだと暗示警告する言葉。 四十がったり。 解釈:四十歳を過ぎると体力が急に無くなることをいう。昔は人生僅か五十 年と言われていたので、四十歳は初老と見なされてていた。 類義:四十暗がり。 四十暗がり。 解釈:四十歳を超えると視力が衰えることをいう。老眼鏡を必要とし始める 年齢。 類義:四十ぐれ、五十明。四十の退(の)き目。 四十新造、五十島田。 類義:三十振袖、四十島田。 四十の退(の)き目。 解釈:老眼の始まる年齢が四十歳という意味。 類義:四十暗がり。四十暗み。四十手暗がり。 私淑(ししゅく)。 解釈:密かに尊敬し模範とすること。故人だったり、遠方で会えない、書物 でしか接しられないというような場合にこの言葉を用いる。孟子(もうし)が 百五十年前の孔子(こうし)を敬愛したという故事による。 耳順(じじゅん)。(論語) 解釈:六十歳のこと。孔子(こうし)が六十歳にして他人の言葉を素直に聴 けるようになったということに基づく。 支証(ししょう)の出し後れ。 解釈:時機を逃したこと。手後れ。証拠や証文を出すべきときに出さないで、 後になってから出すこと。争い事などには効力なし。 類義:証拠の出し遅れ。証文の出し遅れ。 師匠の出し後れ。 解釈:「支証(ししょう)の出し後れ」を訛ったもの。師匠が質問などに直 ぐに答えられず、後で説明講釈すること。 師匠り端(はな)負け。 解釈:師匠が最初に負け(てくれ)ることもあるが、やっぱり最後には実力 で勝つ。師匠には敵わないという意。 類義:最初の勝ちは糞(くそ)勝ち。 地震雷火事親爺。 解釈:この世の中の恐ろしい物、怖い物の順序をいった語。 地震のある前には、魚が浮き上がる。 解釈:地震の前に起こる現象の言い伝えの一つ。 類義:近海に魚群の俄かに減少するは地震の兆(きざし)。鯉が一度に水面 上に跳び上がるときは、地震の前兆。 地震の時は、竹藪へ逃げろ。 解釈:昔からの地震非難の知恵の一つ。竹藪は根が縦横に張っているため、 地割れがしないし、竹が倒れる心配もないので、安全ということ。 沈む瀬あれば、浮かぶ瀬あり。There is a flow that the sinking flow, and floats, too. 解釈:人の一生は苦しく不遇の時もあれば、全てが上手くゆく時もある。主 として不遇の時の慰めの言葉に用いられる。 類義:禍福(かふく)は糾(あざな)える縄の如し。沈めば浮かぶ。 沈めば浮かぶ。 解釈:水中に沈んだ物でも浮かぶように、人の一生は苦境に陥ってもまた上 昇する。 類義:沈む瀬あれば、浮かぶ瀬あり。 死生(しせい)命あり。 解釈:人の寿命は天が決める、人間の力ではどうしようもない。 類義:遇不遇は時なり、死生は命なり。死生は自ら命なり、貧窮は自ら時な り。 死せる孔明(こうめい)、生ける仲達(ちゅうたつ)を走らす。 解釈:中国三国(さんごく)時代、知恵に優れ、王に忠誠を尽くした孔明は、 死んでからも敵の将軍を退却させたという故事。偉大な人物は死んでも尚その 生前の威信が残り、生きている者を恐れさせるということ。 自然に還れ。 解釈:現在の社会風俗習慣の悪影響を脱けて、自然の状態に戻れという意味。 地蔵の顔も三度。 類義:仏の顔も三度。 地蔵は言わぬが、我言うな。 解釈:口には気をつけよという戒め。他人には口外するなと口止めしても、 自分が喋ってしまう方が多い。 類義:俺は言わぬが、我言うな。 士族(しぞく)の商法。 解釈:不向きな人が商売をしても上手くいかないたとえ。明治維新で武士か ら商人に転向した者が多かったが、殆んどは失敗したことから生まれた言葉。 児孫(じそん)の為に美田(びでん)を買わず。 解釈:子や孫のために財産を残すと、かえってよい結果にならないから、し ない方がよい。 舌三寸に、胸三寸。 解釈:こ世間を渡ってゆくには、口と心に気をつけなくてはならないという こと。 親しき中に垣をせよ。 解釈:親しくなり過ぎて、馴れ馴れしくなってはいけない。常に節度を以っ て交際せよという意。 類義:思う中には垣をせよ。親しき中に礼儀あり。 親しき中に礼儀あり。In friendly relationship, there be courtesy. 解釈:どんなに親しくなっても礼儀は守らなければならない。礼儀に欠ける と関係が拙(まず)くなってくる。 類義:心安いは不和の基(もと)。親しき中に垣をせよ。よい中も笠を脱げ。 親しき中は遠くなる。 解釈:あまり親しくなり過ぎると、お互いに遠慮しなくなって争いが起こり、 仲が悪くなってしまう。 下地は好きなり、御意(ぎょい)はよし。 解釈:元々好きなところに、相手が勧めてくれるのだから言うことなし。こ たえられない。 滴(したたり)積もれば淵となる。 解釈:ほんの小さな物でも、集まれば大きな物になるというたとえ。 類義:雫(しずく)が溜まって川となる。塵、積もって山となる。 舌の剣(つるぎ)は命を絶つ。 解釈:悪意あるデマや噂を流されて、身を滅ぼすことがある。また、不用意 な言葉を吐いて、命を落とすことさえあるということ。 類義:口は禍いの門(かど)。舌は禍いの根。 舌の長い者は盗人。 解釈:広言して憚(はばか)らない者を忌み嫌って、これを戒めたたとえ。 類義:舌の先が顎(あご)へ付くと大泥棒。 舌の根の乾かぬ中(うち)。 解釈:たった今言った言葉が終わるか終わらないかのうちということ。前言 を翻したりすることを非難するときに用いる。 舌は禍いの根。 解釈:喋ることには余程気をつけないと、思わぬ災難を招く。 類義:口は虎、舌は剣。舌は禍福の門(かど)。 舌を巻く。 解釈:驚いて喋れなくなってしまうこと。相手の能力に感心して非常に驚く こと。 四知(しち)。 類義:天知る地知る我知る人知る。 七細工、八貧乏。 類義:八細工、七貧乏。 七尺去って、師の影を踏まず。 解釈:先生を尊敬するための行動の一つを表現したもの。先生と歩くときは、 七尺下がって影さえ踏まないように注意すべきだ。一尺は約30p。 類義:三尺去って師の影を踏まず。七足隔つ師弟の礼。 七十の手習い。 類義:八十の手習い。 七十の三つ子。 解釈:人間は年老いると、子供に還ることを表現した言葉。 類義:老いて再び稚児になる。八十のちょろちょろわっぱ。八十の三つ子。 本卦(ほんけ)還りの三つ子。六十の三つ子。 七度探して、人を疑え。 解釈:物が無くなったときなど、他人を疑う前にまず自分で何度も探し、ど うしても見つからないときは、他人に目を向けよという意。 類義:十遍捜して人を疑え。七度(ななたび)尋ねて人を疑え。 七人の子はなすとも、女に心許すな。 解釈:七人の子供を生んだような長年連れ添った妻にも、秘密を打ち明けて はいけない。破滅や裏切りは身内から起こるのたとえ。 類義:嬶(かか)は他人、鍵を許すな。 七歩(しちほ)の才(さい)。 解釈:詩才があり、作詩が早いこと。中国曹植(そうち)が兄の曹丕(そう ひ。魏の文帝)に七歩歩く間に作詩できなければ殺すと言われ、彼はそれを見 事にやり遂げたが、詩の中で兄弟の不仲を嘆いた故事による。 七夜のうちの風邪は、一生つく。 解釈:赤ん坊が生まれて七日間を七夜というが、この間に風邪を引くと、一 生風邪を引きやすい体質になる。 類義:産屋(うぶや)の風邪は一生つく。 死中(しちゅう)に活を求める。 解釈:助かる見込みのない絶望的な状態の中で、助かる道を探すこと。 類義:九死に一生を得る。 日月(じつげつ)に私照(ししょう)なし。 解釈:太陽や月はこの世の物に公平に陽や光を射す。自然の恩恵は誰彼の別 無く平等であるということ。 知って知らざれ。 解釈:詳しく知っていることでも、無闇に知ったかぶりをしない方が奥ゆか しいということ。 類義:知って知らぬ顔が真の物知り。 知って問うは礼なり。 解釈:たとえ自分がよく知っていても、その道の研究家や権威に尋ねるのが 礼儀である。 失敗は成功の基。 解釈:失敗を怖れてはならない。成功の前には何度もの失敗がある。 類義:失敗は成功の母。七転び八起き(ななころびやおき)。 実は嘘の奥にあり。 解釈:嘘をついているときは、言ってる本人が知っているものだ。その奥に 誠がある。 十把(じっぱ)一絡げ(ひとからげ)。 解釈:よい物も悪い物も一纏めにして扱うこと。 疾風迅雷(しっぷうじんらい)。 解釈:疾風と激しい雷の意。また、非常に素早く激しいこと。 疾風怒濤(しっぷうどとう)。Sturm und Drang. 解釈:激しい風と荒れ狂う波の意。転じて、物事が素早く、激しい勢いで押 し寄せること。社会状況が激動して、時代が大きく変わること。 櫛風沐雨(しっぷうもくう)。 解釈:風で髪を解き、雨で髪を洗うという意から、風雨に晒されて苦労する こと。 十篇(じっぺん)探して人を疑え。 類義:七度探して人を疑え。 十篇読むより一遍写せ。 解釈:視覚で読むだけより、手で書いた方が覚えが早いこと。 類義:十読は一写に如(し)かず。読むより写せ。 十本の指は、どれを噛んでも痛い。 解釈:家族や身内の者は、誰が不幸になっても皆(みんな)が苦しむ。 師弟は三世(さんぜ)。 解釈:先生と弟子の関係は、過去、現在、未来に亘る深い因縁で繋がってい る。 類義:子は一世、夫婦は二世、主従は三世、他人は五世。師弟は三世の縁あ り。 舐犢(しとく)の愛。 解釈:親がわが子を溺愛(できあい)すること。親牛が仔牛を舐めるような 愛という意。 四斗(しと)を八斗(はっと)。 解釈:一寸したことを大袈裟に言ったり考えたりするたとえ。 類義:針小棒大(しんしょうぼうだい)。輪に輪を掛ける。 |