神様の戸籍調べ
 
四十五 酒の神様
 
 印度では、ソーマの神があって五千年も前から造酒の神として祭られて、上戸の随喜
渇仰をうけてゐると云ふ。
 さて、酒殿神サカドノノカミと申す方があり、和久産巣日神ワクムスビノカミの御子で、本名を豊宇
賀能売命トヨウガノメノミコトと申し上げ、酒殿サカグラの神様となって、醸造を監督なさると云ふ。
ところが大山祇神オホヤマツミノカミを、一名酒解神サカトケノカミと云ふと延喜式エンギシキや神社覈録ジン
ジャカクロクなどにある。松尾神社(葛野郡松尾村)は、大山祇神を祭った土地の名が酒解サケ
ドケと云ふ所で、それから此神の名を酒解サケドケと申し上げたと云ふから、大山祇神と酒
とは関係がないことになる。そして大山祇神は土木の神様であるから、それを酒の神と
誤るのはいかゞなものかと思はれる。
 酒解子神サカトケノミコノカミと申すは、大山祇神の御姫神の木花開耶姫命コノハナサクヤヒメノミコトと云ふ
のである。
 
 茲に又、酒彌豆女命サカミヅメノミコトと云ふ神様がある。大土御祖神オホツチミオヤガミの孫根倉神
ネクラガミの御子である。此神は、白酒の醸造が御上手で、造酒家の守護神として祀マツると
云ふ。この神様の夫神を酒彌豆男神サカミヅヲノカミと云ふて、御夫婦で酒屋を守ってゐる。此
神様達は尾張国中島郡今伊勢イマイセ村の酒見神社と云ふに御鎮座まします。
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