神様の戸籍調べ
 
二十五 正勝吾勝速日マサカツアカツハヤヒ天之忍穂耳命アメノオシホミミノミコト
 
 御本籍地          高天原
 御現住地          大阪府和泉国泉北郡穴師村泉穴師神社
               正勝吾勝速日天之忍穂耳命
  御親神         天照大御神
  御妃           万幡豊秋津師姫
  御子           天照国照彦天火明櫛玉饒速日命
  同            天津日高日子番能迩々芸命
 
 この神様は、かの有名なる天の安河原で、天照大御神と須佐之男命と子生み競いをな
された時、須佐之男命が大御神の左の髻ミヅラの飾り珠をとって、噛砕いて、プッと狭霧
のやうに吹き出しになった時に御出来になった神様で、正しく大御神の御子であらせら
れる。この正勝吾勝マサカツアカツと云ふ御名は、その時、須佐之男命は五人、大御神は三人の
御子が出来て、結局須佐之男命が御勝利になったので、大に御喜びになり、
 「正しく吾れ勝てり」
と御威張りになされた。それで正勝は日本書紀にある通り正哉の意味で、吾勝てりの義
である。
 此方は後、非常に偉い方になられたので、大御神も大に望を嘱させ給ひ、日本国を統
治する為に、大御神の命をうけて御降臨にあらうとして、天の浮橋に立って、遥に日本
の況勢ケフセイを御尊覧になると、日本国中は、何やかやと悪い神々が居て、方々で戦争し
たりなど騒しかったので、再び天上に上りなされ、大御神に、
 「日本の様子を望観しますると、国中が非常に騒動してゐる様であります」
と奏上せられ、それでは、一応此神の降臨迄に、高天原の勇士を下して、国土を平定さ
せねばならぬと、評議の結果、第一に天菩日神アメノボヒガミを下すと、すっかり日本に被れ
て三年も御報告せぬので、第二に天若日子アメワカヒコが下ると、是も亦大国主命の姫と結婚
して八年も復命せぬ、第三に漸く建雷命タケミカヅチノミコトが下って、大国主命と談判して、そ
の他の悪神共を征服した終ったから、愈々御降臨なさらうとする所に、御妃の豊秋津師
姫トヨアキツシヒメが、饒速日命ニギハヤヒノミコト、又、彦穂迩々杵命ヒコホニニギノミコトを生まれたので、こ
の御子達を代理に日本に下させられたのであった。
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