04 神社庁
 
                   参考:神社新報社発行「新編神社実務提要」
 
〈性格及び目的〉
 神社庁は、庁規の規定に基づいて都道府県に置く本庁の地方事務所である。その意味
において統理の指揮を受けて統理の権限に属する本庁事務の処理に当る。併し、他の一
面においてはその都道府県の神社庁の組織体といふべき性格を併有し、その意味におい
て固有の事務を行ひ又或る程度の礼拝の施設を備へ、直接宗教活動を行ひ、宗教法人法
第二条第一号に該当するものは、単位法人たる宗教法人として存在することもできる。
 神社庁は人格を有しない社団又は財団として民事訴訟上の当事者となることが許され、
又税法上は法人とみなされるが、宗教法人となる以外には人格を有しないので財産権の
主体となることができない。その故に若し宗教法人でない神社庁が自体の不動産を所有
する場合には、民法第三十四条の規定に従って「神社庁維持財団」を併設し、財産権は
その財団法人が保有し、神社庁を維持する形態をとるのが普通である。
 以上の様に多角的な性格を具有する神社庁であるが、何れの場合においても本庁の地
方機関であることが動かし難い基本的性格である。そして神社庁が一定地域内の神社の
組織体であるといふ性格を有する関係で、その運営は本庁の方針に反しない限り自主的
に行ふことが容認され、その具体的なことは、統理の承認を受けて制定する規則に明示
される。
 
〈運営機関〉
 神社庁の組織は、庁長、副庁長、理事、監事等の役員を主軸とし、別に事務機関を置
き、議決機関として協議員会といふ議会を有する等その機構の大体は本庁のそれに準ず
る。
 庁長は神社庁を統轄して代表し、副庁長及び理事は、庁長と共に共同の責任を負うて
庁務決定に当る。宗教法人である神社庁においては、庁長が代表役員となり、副庁長及
び理事が責任役員となるが、何れの場合も監事の権限は、財務監査に止る点が本庁のそ
れと異なる。役員の任期は三年とする。
 事務機関としては統理が任命する参事一人、庁長が任命する主事及び録事若干人その
他の職員を置き、庁務の処理に専従させる。
 協議員会は、神職及び神職以外の神社の役員又は総代から選ばれた任期三年の協議員
をもって組織し、その定数及び権限又は運営については、それぞれ神社庁の規則で定め
るところによるが、神社庁によっては協議員会の外に、総会と称して毎年一回神職及び
神社の役員、総代等を召集し、神社庁予決算に関する事項その他協議員会の権限に属す
るもので、特に協議員会が総会に委任した事項その他の事項を附議する制度を設けてゐ
る。
 
 神社庁は、その管轄地域内を更に支部に細分し、支部に支部長及び副支部長を置く。
支部は神社庁の下部組織であるが、多くは連絡機関としての使命を果たしてゐる。
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