[神職奉務心得]
 
二十一、神官奉務規則
 
                 参考:神社本庁発行「神職奉務心得(資料集)」
 
               明治六年七月、教部省達第二十四号によって定められ
              た府県郷社神官の奉務規則。
               当時、すべての神官は教導職に任ぜられて神道の教化
              活動に従事し(第四・第五)、また神葬祭を積極的に普
              及・執行することが奨励されたのである(第九・第十)、
              ところが、明治二十四年に改正された神官奉務規則では、
              この二点に関はる条項が削除された。ここには近代神道
              史の根本的な問題があると言はれている。
 
 第一
一、祭祀の典則は之を遵守して違乱すべからず其一社の例祭民俗因襲の神賑等は地方の
 適宜に循ひ行ふを得べし
 第二
一、例祭常祀の外旱勞(三水+勞)カンロウ疾疫等臨時祭事を行は其地方官の許可を受くべ
 し
 第三
一、人民の請求に応じ祈祷を行ひ神符を授くるは妨げなしと雖も貪婪ドンランの所業の之あ
 るべからず
 第四
一、神官は教導職を兼務す其責たる其(其冠+糸)重キジュウなり故に国体を辨へ理義に通
 し其言行皆師表シヒョウの任に勝ゆべきを要すべし
 第五
一、教義は三條の御趣意を遵奉し及び一般の教導職と協和し悖戻ハイレイの所為あるべから
 ず
 第六
一、卜筮ボクゼイ方位を以て漫ミダリに吉凶禍福を説き無稽ムケイの祈祷等決て行ふべからず
 第七
一、社殿及び其境内を清潔にし修繕取締り等常に意を用ひ汚穢オアイ褻涜セットクに至らしむる
 べからず
 第八
一、一社所蔵の宝物什器及び古文書類等を監護して散逸せしむべからず
 第九
一、葬祭を乞ふ者あるときは喪家の分に随て其式を立懇切コンセツに執行し聊も遺憾なから
 しむべし
 第十
一、喪葬に臨み若し変死異常等疑しき事あらば其情状を地方官へ報知し応允オウインを得て
 後葬儀を行ふべし曖昧の所置あるべからず
 第十一
一、神社境内に於て非常の事故あるときは其情実を地方官に報達し其指揮を受くべし
 
                  教部大輔  宍戸  幾(王偏+幾)
   明治六年七月         教部少輔  黒田 清綱
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