[神職奉務心得]
 
二十三、官国幣社以下神社神職奉務規則
 
                 参考:神社本庁発行「神職奉務心得(資料集)」
 
               大正二年四月の、内務省訓令第九号。
               大正期は、地方官・地方青年団等を担ひ手とする地方
              改良運動の推進によって、神社が地域社会で果たすべき
              役割が再び注目されてきた時期であった。
               神職奉務規則は既に明治二十四年に定められてゐたが、
              大正といふ新時代に入って、政府はあらためて「国家の
              宗祀」に従ふべき神職の任務を規定し直したのである。
 
一、神職は国家の礼典に則り、国家の宗祀に従ふべき職司なるをもって、平素国典を修
 め、国体を弁じ、操行ソウコウを正しくして、その本務をつくすべし。
二、祭祀は国家彝倫イリンの標準たるをもって斎粛恭敬を皆とし、報本反始の誠意を表すべ
 し。
三、祭典は制規によりこれを行ひ、非常の事故ある場合の外、みだりにその次第を変更
 し、またはその時間を伸縮すべからず。ただし古来の儀式にしたがひ、神社慣行の神
 賑等は、適宜これを行ふことを得。
四、臨時祭を行はんとするときは、所轄警察署に通知し、官国幣社にありては、さらに
 地方長官に申報すべし。
五、神札は氏子または崇敬者以外の者に、これを配授することを得ず。ただしその請求
 によりこれを授与するを妨げず。
六、神職はやむを得ざる場合の外、その奉仕する神社所在地の市町村内に居住すべし。
七、神職は社殿および境内の清潔修理に注意し、神社の尊厳を保持するにつとむべし。
八、火災盗難等の予防については周到厳密を期し、あらかじめ取締方法を定め、つねに
 警戒注意をなすべし。
九、神社所蔵の宝物・貴重品・古文書等については、格護の方法を設け、つねにこれが
 整理保存に注意すべし。
十、神職は神社金穀の出納・および財産の管理に関し、平素その会計収支を明確にし、
 いやしくも公私混淆のきらひあるべからず。
十一、神職はつねに境内の樹木につき、森厳なる風致を保つにつとめ、ことにその所属
 山林については保護植栽をおこたるべからず。
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