09a 触穢・祈禳
 
祈学芸
木葉散宿は聞わく事ぞなき 時雨するより時雨せぬよも(長明無名抄 下)
 
鴬のはつ音は何の色ならん 聞けば身にしむはるのあけぼの
薄墨にかくたまづさと見ゆるかな 霞てかへるはるのかりがね(理斎随筆)
 
祈富貴顕達
身のうさを中々なにと石清水 おもふ心はくみてしるらん(古今著聞集 五和歌)
 
いまゝでになどしづむらん貴船川 かばかりはやき神をたのむに(平実重)
さりともとたのみぞかくるゆふだすき わがかたをかのかみとおもへば(賀茂政平)
                           (千載和歌集 二十神祇)
 
祈雪寃
身をつみててらしをさめよますかゞみ たがいつはりしくもりあらすな(袋草子 四)
 
思ひいづやなき名たつ身はうかりきと あら人神になりしむかしを
                            (古今著聞集 五和歌)
 
祈旅行安全
天地の神も助けよ草枕 羇タビ行く君が家にいたるまで(萬葉集 四)
 
秋芽子アキハギを 妻問ふかこそ 一子ヒトツゴ二子フタツゴ 持たりといへ 鹿児自物カコジモノ
吾が独子ヒトリゴの 草枕 客タビにし往けば 竹珠タカダマを しゞにぬきたれ 斎戸イハヒベ
に 木綿ユフ取りしでて 忌イハひつゝ 吾が思ふ吾子アコ まさきくありこそ
                                (萬葉集 九)
 
くさまくら たびゆくきみを さきくあれと いはひべすゑつ あがとこのへに
                               (萬葉集 十七)
 
虚ソラみつ 山跡ヤマトの国 青丹よし 平城ナラの京師ミヤコゆ おしてる 難波にくだり 住
吉スミノエの 三津ミツに船のり たゞ渡り 日の入る国に 遣はるゝ 我がせの君を 懸け
まくの ゆゝし恐カシこき 墨吉スミノエの 吾が大御神 舶フネのへに うしはきいまし 舶
ともに 御立ミタたし坐して さしよらむ 磯の崎々 こぎはてむ 泊々トマリドマリに 荒き
風 浪にあはせず 平らけく ゐてかへりませ もとの国家クニヘに(萬葉集 十九)
 
にはなかの あすはのかみに こしばさし あれはいはゝむ かへりくまでに
                               (萬葉集 二十)
 
わたつみのちぶりのかみにたむけする ぬさのおひ風やまずふかなん
ちはやぶる神のこゝろのあるゝうみに かゞみをいれてかつみつるかな(土佐日記)
 
損躯而祈
かはらんといのる命はをしからで さてもわかれんことぞかなしき
                     (古今著聞集 八孝行恩愛 赤染衛門)
 
百度詣
いはゞこれみたらしがはのはやきせに はやくねがひをみつのやしろか
                             (台記 大僕卿孝標)
 
むかしわがいのりし道はあらねども これも嬉しな賀茂の川浪
                (新続古今和歌集 二十神祇 皇太后宮大夫俊成)
 
七日詣
桜花かもの川風うらむなよ 散をばえこそ留めざりけれ(長門本平家物語 一)
 
参篭
哀とも神々ならば思ふらん 人こそ人のみちはたつとも(十訓抄 四)
 
草の葉のなびくもしらで露の身を おきどころなくなげくころかな(元長参詣記)

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