08[五 総代備忘録]
[五 総代備忘録]
参考:全国神社総代会編集発行「改訂神社役員、総代必携」
[五 総代備忘録]
〈総代会における姿勢〉
総代会の会議運営は、役員会のそれに準じて行うことができると思いますが、時には
総代、役員合同会議を開くこともあります。何れにしてもそれらに関する記録文書は、
神社に保存すべきものとされています。また、総代会会則等(本書附録参照)を設け、
それにしたがった会の運営を心掛けたいものです。これは、神社と総代会との関係を明
確にし、総代が法人としての神社にどのように関わってゆくべきかを明文化するために
設けるのです。
更に、総代は既に本書で説明した通り、神社の尊厳を維持してゆく上で重要な役割を
果たします。日ごろの神社奉仕に役立つ情報を得るため、他の神社に奉仕する総代との
合同会議を持つことも必要でしょう。
〈祭典の準備の心得〉
神社は、それぞれの地域社会の祈りの場であり、神霊の坐す社殿があり、日常の祭祀
が今日も連綿と行われており、その祭祀には、氏子全員の祈りが込められています。総
代は、祭祀に奉仕するにあたり、その由来や伝統を十分理解し、その準備には一つの漏
れもないよう注意を払わなければなりません。
祭典には、参拝者が神社に赴き社頭で執り行う場合と、神職が祭典を執り行う場所に
出向いて行う「出張祭典」とがあります。それぞれに総代が果たす役割があり、具体例
を挙げますので奉仕神社において確認して下さい。
一、社頭で祭典を執り行う場合(神社の恒例祭祀、七五三、仕事始め、各種祈願等)
○当日は神職とともに社殿、境内を清掃し、祭典を行うに相応しい場所とする。
○祭典に必要な、祭器具、神饌、玉串等の準備・確認をする。
○参列者の受付と、祭典までの待ち合わせ等を指示する。
○祭典中は、他の参拝者が静寂を心掛けるよう注意を払う。
○直会、おさがりの準備をする。
二、出張祭典の場合(地鎮祭、竣工式、家祓い等)
○祭典依頼の受付をし、神職とともに日程調整を行う。
○祭典に必要な祭器具等を準備する。
○祭典当日は、神職が不在となる場合もあるので、その間の神社の管理を行う。
〈神宮大麻の頒布・お神札の授与の心得〉
神宮大麻・氏神様のお神札は、神宮・氏神様・氏子をつなぐ心の絆であり、その頒布
(授与)は神社関係者の最も大切な奉務です。神職に協力し、氏子地域内に洩れなく拝
受できるよう勧奨しましょう。また総代という立場上、頒布を受ける方から、お神札に
ついて尋ねられることも考えられます。そのためにも、大麻やお神札に対する正しい知
識(本書参照)を身に付けることが大切です。
社頭において、また、年末年始には氏子各戸へ赴き、大麻を頒布します。その姿は、
神様から預かった大切な御璽ミシルシである大麻を頒布するに相応しくあるように常に心掛
けることが大切です。
ここでは、頒布の際の注意事項を採り上げてみます。
一、社頭において頒布(授与)を行う場合
@社頭は神社参拝の窓口ともいえます。それに相応しい身なりを心掛けましょう。
Aお神札をはじめ授与品は常に整理整頓を心掛け、その取り扱いには細心の注意を払
って下さい。また、参拝者が質問しやすい雰囲気をつくるよう工夫することも大切
です。
B実際に頒布を行う場合には、その神社から託された大切な奉務であることを念頭に
おき、お神札の取り扱い、また参拝者に失礼のないよう心掛けます。
C参拝者にお神札の祀り方について質問される場合が考えられます。そのため、説明
方法や「神棚の祀り方」等を準備しておくとよいでしょう。
Dその他、参拝者と以後の関係継続が図れるよう心掛けて下さい。
二、氏子各戸へ頒布に伺う場合(主に年末年始の神宮大麻頒布)
@服装は、白衣(着物)でなくとも、きちんとした端正な身なりを心掛けましょう。
A神宮大麻は、清浄な所持を心掛けます。大麻専用の鞄や箱、または風呂敷などを用
意し、受けられる方との手渡しは折敷オシキや包み(ふくさ)の上に神宮大麻を置いて
手交する等、丁寧に行って下さい。
B頒布の心は慎みの心ではないでしょうか。神社から、更には伊勢の神宮から託され
た重要な奉務であることを常に念頭において下さい。
C対応の言葉づかいは穏やかに、丁寧に。丁寧さは慎みの心の発露でしょう。そして、
慎みの心の中に、口上を述べる姿勢もほしいものです。
D残念ながら結果的にお断りになる方や神宮大麻奉斎の意義をご理解いただけない方
がいらっしゃっても、そのご家庭に対する行為は無駄にはなりません。そのご家庭
との以後の関係継続を保ち、来年も訪問できるよう印象を与えておきましょう。
一方、頒布を受ける氏子・崇敬者は、できるだけの誠意を尽くしてこれを受けなけれ
ばなりません。神様の御璽であるお神札をお迎えし神棚にお祀りする。そして、一家揃
って手を合わせ、感謝の気持ちを捧げ、今日も一日静穏にすごせますようにと心静かに
お祈りし、神様への感謝の気持ちを新たにしてゆくことは、私たちの生活をゆたかにし
てくれる第一歩です。
[次へ進んで下さい]