07[四 役員備忘録]
 
              [四 役員備忘録]
 
            参考:全国神社総代会編集発行「改訂神社役員、総代必携」
 
[備忘録]
 責任役員、総代が神社の運営にはたす役割については、本書ですでに説明した通りで
す。
 そして、実際の奉仕の場では、ここまで説明してきた基本を踏まえた上で、その神社
に応じた心得が必要になってくると考えられます。
 ここでは、一例として、役員、総代が神社運営にどう関わってゆくかを「役員備忘録
」「総代備忘録」の項目に分け、より実践的に示してゆきます。各自の普段の神社奉仕
と比較し、参考事例としてご活用下さい。
 
[四 役員備忘録]
 
〈役員会における姿勢〉
 役員会は、その神社の法人事務中重要な事項を協議決定する、神社における最も重要
な機関です。役員会は実際にどの様に運営すればよいのか、ここでは参考例を挙げて紹
介します。なお、どのような場合でも、法令や神社本庁の規定に違反せず、その神社の
規則に従った会議運営をしなければなりません。
 
一、 役員会の基本形式
 
 @役員会は、代表役員(宮司)が、責任役員全員に周知して招集します。
 A役員会は、役員全員の出席を必要とします。また、会議を招集するに際しては、主
  な議題を通知等で事前に各役員に明示しておくとよいでしょう。
 Bもし何らかの理由で会議に欠席する場合には、事前に通知で知らされた議題につい
  ての賛否を書面で回答します。
 C議事は原則として役員定数の過半数によって決定されますが、全員賛成による議決
  に努力を傾注したいものです。
 D神社規則によると役員会において決定しなければならない事は、次の通りです。
  ○総代選任の方法
  ○宮司や宮司代務者の進退
  ○不当産(立木を含む)やその他の基本財産あるいは宝物の取得、設定、処分、担
   保等
  ○借入
  ○主要な境内建物の新築、改築その他の変更
  ○境内地の増減その他の変更及び目的外転用
  ○規則の変更
  ○特別会計の設定
  ○予算及び決算
  ○財産目録(連署)
  ○以上の外宮司が必要と認めたこと
 これらは何れも役員会の決定を必要とし、また、決定された場合には、それぞれ定め
られた正規の手続きをしなければなりません。
 
二、役員会での議事運営
 
(1) 実際の議事運営の基本例を示すと次のようになります。その会議や議事内容と照合
 し、基本を応用しながらすみやかに運営できるように考えて下さい。
 @議題(少なくとも項目程度)は紙面で事前に作成し、提出します。
 A議事に入った段階で代表役員が議長となり開会、閉会を宣言し、執り進めます。
 B議題の説明は代表役員が説明することが本姿ですが、詳細は説明者に委任して執り
  進める方法も考えられます。
 C財産処分の相手方、工事施工業者による説明はあくまでもその立場を明確にして「
  参考人」として発言させます(議決時には退席させる)。
 D最終段階で議決を行い、決定(全員賛成のもと)します。
 E議事録はあくまでも議事内容の記録ですので、詳細であることが望まれます。方法
  の一つとしては、後日の証とするため「決議書」(決定事項のみ)の形をとり、全
  員が連署するか、又は議事録署名人(二人・冒頭の選任)が会議終了までに署名捺
  印できるようにその場で作成しておくことが考えられます(事前に「文書」の作成
  をしておくこと)。
 F議決の方法は、具体的には挙手、拍手等が考えられますが、要は議決した旨の確認
 発言(事後、本庁統理の承認や所轄庁の認証、更に登記等の必要なものは手続きを執
 る旨も併せて)を代表役員宮司が行うことが大切です。
 
          「議事録抄本参考書式(縦書き)例」
 
     ○○神社責任役員会議事録
  一、 期日  年 月 日 時〜 時
  一、 場所  ○○神社社務所
  一、 出席者 代表役員(宮司)責任役員 ○○○○
         責任役員 ○○○○
         責任役員 ○○○○
  一、議事
     代表役員○○○○を議長とし、日程に従い議事が進行された。
     議案一、 建物変更に関する件
      代表役員○○○○氏が議長となり、建物変更(社殿〈(本殿)幣殿、拝殿
     〉等の新改築について)の件を上程、○○○○氏より本件の説明がなされた
     結果、責任役員全員異議なく諒承されました。
      主な審議事項
      @事業内容(大綱)
      ○所要経費と支弁方法決定
      ○施工業者選定方法(選定)
      A事業内容(大綱)
      ○所要経費と支弁方法決定
      ○施工業者選定方法(選定)
      尚、意見及び質疑については、次の通りである。
      ・・・・・・
      ・・・・・・
      ・・・・・・
     右の結果、議決が求められたところ、全員異議なく決定した。
           年 月 日
             責任役員 ○○○○ 印
             責任役員 ○○○○ 印
    右の通り原本と相違ないことを証します。
           代表役員宮司 ○○○○ 印
 
(2) ただし、議事内容によっては、次のような留意点があります。
 @ある役員に利害関係がある議題については、仮代表役員または仮責任役員を選任し
  議事を進行する。
   例えば、責任役員○○○○氏と、財産処分の相手方○○○○氏の関係が三親等以
  内の親族関係の場合には、その件には利害関係が生じ、責任役員○○○○氏は役員
  会のその事項に係わる議決に加わることができません。ついては、議決にあたって
  は、(現行責任役員が三名の場合)その責任役員を除いて仮責任役員を選任して議
  決をします。
 A損害賠償の議題があるときには、その性質を詳細に吟味し、適切に対処する。
 B役員中に欠員を生じたときは、その後任若しくは代務者を速かに補充する。
 C欠席役員には、会議の前若しくは後に議題についてよく説明し、その賛否の意思表
  示を確認し、そのことに議事録に明記しておく。
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