1101 日本の神々と易・五行〈その10〉2
日本の神々と易・五行〈その10〉
参考:岩波書店発行「神々の誕生」
9 洛書
洛書は禹ウ王の時,洛水から現れた神亀の背に一から九までの数が神紋をなしていたと
いう伝説を持ちますが,これは5を中心として,縦・横・斜のどの方から数えてもその総
和は必ず15になる,いわゆる「魔方陣」です。河図の場合と同様,奇数(天・陽)は白
点,偶数(地・陰)は黒点で表現されていますので,これを数に置き換えますと次のと
おりです。
洛書
北
1
6 8
西7 5 3東
2 4
9
南
10 「九星」
洛書は一から九までの数のうち,奇数が東西南北の四正に,偶数が四隅に配当されて
いますが,これが「九星図」であり,九星図にはまた「八卦」が配当されています。こ
の八卦配当図が即ち後天易図となる訳です。
九星図
西 北 北
北・・・・・・・・・・東
・6 ・1 ・8 ・
・ ・ ・ ・
・・・・・・・・・・
西・7 ・5 ・3 ・東
・ ・ ・ ・
・・・・・・・・・・
・2 ・9 ・4 ・
・ ・ ・ ・
西・・・・・・・・・・東
南 南
八卦配当図
西 北 北
北・・・・・・・・・・東
・乾 ・坎 ・艮 ・
・ ・ ・ ・
・・・・・・・・・・
西・兌 ・中 ・震 ・東
・ ・ ・ ・
・・・・・・・・・・
・坤 ・離 ・巽 ・
・ ・ ・ ・
西・・・・・・・・・・東
南 南 南
九星にはそれぞれ色彩名,つまり一白・二黒・三碧・四緑・五黄・六白・七赤・八白
・九紫が割当てられています。
11 相生と相剋
木火土金水の五原素の輪廻・作用が「五行」ですが,この五行には,「相生ソウジョウ」,
「相剋ソウコク」(或いは相勝ソウショウ)の二つの理が考えられました。
陰陽五行の中には,幾つかの「理」,即ち「法則」がありますが,この「相生・相剋
」の理と,後述の「三合サンゴウ」の理は,日本の祭事と民俗に広汎に活用されています。
これらの法則の理解なしに祭り・民俗を知ることは出来ないのではないでしょうか。
(1) 相生ソウジョウ
「相生」は,木は火を生じ,火は土を,土は金を,金は水を,水は木を生じるという
順序です。つまり相生とは,木・火・土・金・水の五気が順送りに相手を生み出して行くプ
ラスの関係であって,水気によって生じた木気は,再び始めに帰って火気を生み,無限
に循環するのです。これは次のような言葉で簡単に表現されます。
木生火モクショウカ,火生土カショウド,土生金ドショウキン,金生水キンショウスイ,水生木スイショウモク
このような「相生」の循環の考え方の基礎となっているものは,非常に単純素朴な理で
す。
木生火・・・・・・古昔,火を得るために最も簡便な方法は,木と木を擦り合わせることで
した。木と木の摩擦によって火が出るのは自然の理です。木生火とはこういうところに
発しています。
火生土・・・・・・物が燃えますと,そのあとの残るのは灰です。灰は土気です。火生土は
実に自然の理です。
土生金・・・・・・鉱物,金属類の多くは土の中に蔵されています。人は土を掘ることによ
って金属を手にすることが出来ます。そこで土が金属を生みますので,土生金なのです。
金生水・・・・・・金生水は説明の根拠が求め難いですが,空気中の湿度が高いときは,金
属の表面に水滴が生じ易いです。金生水の所以と思われます。
水生木・・・・・・一切の植物,即ち木気は水によって養われます。水が無ければ草木は枯
死し,木は水によって生じるのです。
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