た1 田の神信仰
〈たのかみしんこう〉
田の神信仰
田の神信仰とは、農民が特定の神に水田稲作の豊穣を願う宗教的現象である。
その神は全国的に田の神と呼ぶことが多く、東北地方の農神ノウガミ、中部地方の作神
サクガミ、近畿地方の作り神、中国地方の地神ヂガミなど部分的に多様化もしている。稲の
生産段階に応じて祭られるが、それは種子播き祝、田植開始の祝、田植終わりの祝、稲
懸けの祝、刈上げの祝と祭られます。一般には作業の開始せられる春に天とか山から里
に降臨し、収穫を終えた秋の終わりに帰って行く伝統が広く存し、地方によっては家か
ら出て家へ帰る伝承もある。
この春秋の去来は、二月の祈年祭と十一月の新嘗祭、更に諸国の神社の大祭がこの両
季に集中していることと対応するものである。また田の神去来伝承の基礎に、春は山か
ら降臨して田の神となり、秋には山に帰って山の神になると云う呼称の転換が認められ
るところから、祖先神が山を安居とする山中(乃至山上)他界観の導入によって、田の
神と祖先神を同格とし、山宮と里宮の存在形態から実証してその一致が説かれている。
関連リンク [年中行事「12 一月の行事(庭田植え)」]
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