YU10020 田中北嶺ホクレイ筆 戊辰役ボシンノエキ図絵ほか
 
鹿角市指定有形文化財(古文書)
昭和52年2月4日指定
所在地 鹿角市十和田毛馬内
所有者 個人
 
 田中茂八郎保恭(1835〜1918)は、毛馬内の桜庭家の家臣として剣法に長ずるととも に、川口月嶺に絵を学び、画風やその繊細センサイな描写が師月嶺に良く似ているといわれ、 北嶺と号した。
 慶応ケイオウ4年(1868)8月、盛岡と秋田両藩のあいだに戊辰の役が起こるや、北嶺は 主君桜庭氏の馬廻役ウママワリヤク(側近護衛)として従軍した。その間、大館城の攻略その他 に参加して各地に転戦し、9月下旬の終戦に及んで毛馬内に帰還している。
 北嶺は多忙な戦陣にあって、懐中した手帳に戦闘の模様を写しているほか、後に従軍 中の行動や見聞した戦闘場面を思い浮かべては、折に触れて絵筆を走らせたという。戊 辰の役当時の服装、装備、戦場などの様子を余すところなく伝える貴重な資料である。
 絵図は墨一色で描かれているが、スケッチには彩色が施されている。

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