[八月]
六日 〈伝統行事 − 七夕祭〉
 子供達は手作りの灯籠に蝋燭を灯し、夕暮れの部落内を練り歩きます。篠竹に色紙や
願い事を書いた短冊を括り付けて、戸口に結わえます。
 翌日の未明、灯籠の紙を剥がして、大川に流したりします。
 
 〈郷内行事 − 七夕祭〉
 各地区でこの日の夕方、七夕祭(ネプタ、ネブタ、ねむり流し)が行われます。
 灯籠を川へ流すときの囃し言葉は、米代川沿いの集落では「送れ送れ、能代まで」、
山間部では「天まで送れ」と云う。
 
@花輪ネプタ
 鹿角で最も盛大で賑やかな花輪ネプタは、王将七夕・将棋ネプタと云われ、将棋の駒
の形をした灯籠(王手オテ)を台車に載せ、直径二米もある大太鼓を打ち鳴らし、夜半ま
で町内を練り歩きます。夜明け方に稲村橋の処で王手に火を点けて米代川へ流し、炎が
夜空に燃え上がり、川面に映える美しさは、たとえようのない情景を醸し出します。
A小平ドダダコ
 小平では七夕をドダダコと呼び、子供達が中心となって柳の枝に灯籠を下げ、太鼓は
「ドダダコダン、ダン、ダン」、掛け声は「ヨイ、ヨイ、ヨイ」と叫び一軒一軒廻りま
す。
B毛馬内ネプタ
 各町内ではそれぞれ大きなキリコ(切籠灯籠)を作り、町内を引き回します。若者達
は揃いの浴衣を着て、町内の印入りの騎馬提灯を持って太鼓を繰り出します。七日の昼、
町通りの家々では軒下に柳の枝に短冊を飾り、翌日これを川に流したりします。
C八幡平ネプタ
 男女の藁人形を飾ったり、引き回したりする地区もあります。掛け声は石鳥谷で「ネ
プタ、ネプタ、流エロ、流エレバヨイ」、松舘では「ネプタ流エロ、ミソシガトマレ、
ヨイヨイヨイ」で、これにはカラポネヤミ(空骨病み、怠け者のこと)は流れて行け、
カセギデ(稼ぎ手)は止まれの意味が込められていると云います。
D尾去沢七夕
 ヤレヤレとも云い、「ヤレ、ヤレ、ヤレ」「サッサッサ、ササマメコ、サドツケデ、
ケェバウメェ」と叫びます。
 
七日 〈伝統行事 − 七日日ナノカビ・ナヌカビ〉
 七夕の翌日を七日日と云い、この日は農作業を休み、お赤飯を戴きます。この日子供
達は赤飯を食べたり川で泳いだりと、七回食べて七回泳ぐ日とされています。
 
 〈郷内行事 − 七日日〉
 赤飯を食べると風邪を引かないとか、女の人は七回髪を結えと云う言い伝えがありま
す。
 
 〈伝統行事 − オシキ刈り〉
 大里部落では、「オシキ刈り」を行います。
 関連リンク[オシキ]
 
 〈郷内行事 − オシキ〉
 刈り取った草の一部は、正月二日の大日堂舞楽の駒舞の駒に供えられます。
 
 〈郷内行事 − 墓掃除〉
 この日、お墓の草取りや盆棚などを作ります。
 
出穂期 〈郷内行事 − 世中ヨナカ祭〉
 世中祭は、稲穂の出揃う頃に豊作を祈願して行われます。谷内では神明社(天照皇御
祖神社)に参集し、豊作祈願をして手作り料理で祝宴を張ります。
 
十三日 〈郷内行事 − 盆棚〉
 祖先の霊を迎えるための仏具や供物を載せたり、飾り物をする盆棚作りは、十三日に
は殆どの地区で行われます。
 盆棚は一寸五分角の角材四本に横木を入れ、上段と中段を設けて組み立てます。大き
さや場所は地区や家々の大小により相違はありますが、おおむね三尺四方の二段棚で、
仏壇の前か中座敷の辺りに設けられます。ヨシで編んだ簾スダレの敷物を棚に敷き、上段
には位牌を置き、キュウリで作った馬やナスで作った牛、キミ(玉蜀黍)・枝豆・果物
・餅類・オコワ(赤飯)をハスの葉に載せて供えます。これは仏様がキュウリの馬とナ
スの牛に乗って来ると云われるためです。牛馬には小豆の目、木の葉の耳、玉蜀黍の鬚
の尾、苧殻オガラの足、また牛の角は唐辛子などを用いると云います。
 中段には仏様を拝みに来た人が供え物を載せます。四本柱にはキキョウ・アワバナオミナ
エシ・ミソハギを束ねて結わえ、上の横木にはソウメン・小リンゴ・吊るし菓子・昆布な
どを垂らします。
 墓の前にも柳の小枝や細木で小さな棚を作り、お供え物を載せます。
 盆棚にお供えしたものは、十六日の朝に川などに流したりします。
 
十三日・十四日 〈伝統行事 − お墓参り〉
 十三日は墓地を清掃し、盆棚を作ります。
 また家の霊前を整えます。即ち麩菓子や青林檎を各十個を用意し、二個ずつ糸で結ん
で霊前に吊るします。落雁、生素麺、豆モヤシ、胡瓜、茄子などを半紙(樺の皮又は蓮
の葉)に載せてお供えします。お盆中は灯明を絶やしません。
 
 十三日の夕刻、十四日の早朝は、氏子一同は各家々ごとに墓参します。手作りの簡単
な季節の料理や甘茶、季節の花を携えて、浴衣など涼しげな服装で出かけます。祖先の
墓参りが終わると、全戸が必ず無縁仏の墓標にもお供え物をして供養します。
 
 〈郷内行事 − 墓参り〉
 十三日の夕刻に墓参する処では、墓前で仏様の迎え火として、燃えやすい白樺の皮や
稲藁を焚き、十四日の朝方に墓参する処では、前の晩に家の木戸口や墓地で稲藁や杉の
葉を焚きます。また十三日の晩から二十日の晩まで毎日焚く処もあります。
 墓には盆花としてキキョウ・アワバナ・ミソハギや、果物・菓子・赤飯・カボチャな
どを供え、親戚や知人の墓も拝み、無縁仏にもお供え物をします。
 墓参りには新しい下駄や草履を履き、少し良い着物を着て家族全員で出かけ、主人は
紋付を着たりしてきちんとした服装で出かけます。
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