2306c 祖先のまつり
 
※お供え物
 神葬祭のお供え物は、一般的に米、酒、餅、魚、海菜、野菜、菓子、塩、水などの生
饌セイセンと、調理された常饌です。
 また、毎日のお祭りは神棚のお祭りと同じように、お米(ご飯)、お塩、お水をお供
えします。
 季節の物や、故人の好物があれば併せてお供えしましょう。
 
※参拝と神棚のお祭り
 葬儀に関わる間は、故人のお祭りに専念し、神社参拝や神棚のお祭りを中断します。
その期間は地方によって違いはありますが、五十日祭後の清祓を区切りとすることが多
いようです。
 年末年始、あるいはお宮参りや七五三などの人生儀礼と、不幸とが重なったときは、
清祓の後に改めて神社にお参りし、お神札フダを受けます。
 
※神葬祭の包み
 白黒の水引を選び、表書きは「玉串料タマグシリョウ」あるいは「御霊前ゴレイゼン」と書きま
す。市販のものには蓮の絵の付いた仏式用のものがありますが、そうでないものを選び
ましょう。
 包みの裏の畳み方は、弔事では目を伏せた悲しみの状態を表すため、上の折り返しを
上にして畳みます。
 年祭に参列する場合の包みも、「玉串料」と書きます。
 
※お参りは忍手シノビテで
 神葬祭においては、神社などの神前における拝礼と同様、「二拝二拍手一拝」の作法
でお参りしますが、神葬祭での拝礼は、亡くなられた方を偲び慎む心を表すことをしま
す。即ち拍手は音を立てずに、静かに二回手を合わせます。これを忍手と言います。
 また、忍手でお参りする期間は、地方によって違いがあるようですが、通常、五十日
祭が終わるまでのところが多いようです。
 
※年祭、お正月、お盆、お彼岸は祖霊とその子孫である家族が家に集まる時です。季節
の物などをお供えして祖霊をもてなし、それぞれの近況などを奉告します。
 
〈御霊舎ミタマヤの祭り〉
 
 祖先の祭りは、神棚とは別に御霊舎で行います。これは仏式でいう仏壇に当たるもの
で、祖先の霊が鎮まる霊璽を納めているところです。
 御霊舎には御とくオトクをすえ、霊璽を納めます。
 御霊舎は、神棚とは別の場所に設けますが、間取りなどの関係で、神棚の下や隣に設
けることもあります。御霊舎を神棚の下に設ける場合は、神棚は大人が見上げる位の高
さに、御霊舎は上半分の高さに設けます。
 また、神棚の隣に設ける場合は、御霊舎の位置をやや低くするか、それができないと
きは神棚との座位を考えて並べます。
 御霊舎をお祭りする場合には、近くの神社にお願いしてお祓いをしていただきましょ
う。
 
△霊璽レイジ
 霊璽は仏式の位牌に当たるもので、御霊代ミタマシロとも言います。
 その形状は、木主モクシユ、笏シャク、鏡、幣串ヘイグシなどがありますが、故人の意志によっ
ては、遺品などを充てる場合もあります。
 霊璽の表面には霊号レイゴウ、裏面には「何年何月何日帰幽享年何歳」などと墨書され、
合祀祭までの間、仮御霊舎に安置されます。
 神葬祭には、仏式の戒名カイミョウに当たるものがありません。故人に付ける霊号は、元々
はその徳を称える称名タタエナとしての意味もありましたが、今日では生前の身分に関係な
く、名前の下に「命ミコト」を付けます。また「命」の前には、男性は「大人ウシ」「彦」な
ど、女性は「刀自トジ」「姫」などを付けることが一般的です。
 また、並べ方については、御霊舎の中に父母、祖父母、曾祖父母(若しくは高祖父母
)までを並べて祀り、古くなった順に御とくに納め、年祭のときに取り出すようにしま
す。順位は、古い霊璽は上位(奥)に、新しいものは下位(手前)とします。
 なお、御霊舎が狭い場合には、片木型の霊璽を御とくに重ねて祀ります。
 
※御霊舎は祖先のお祭りを行う場所です。
 祖先の霊璽を納める御とくは、神社の神座シンザに当たるもので、宮中の御厨子所ミズシ
ドコロの御棚ミタナを起源としています。
 
  今に生かされている
  その大切さを
  未来に生きる子供たちへ
[次へ進む] [バック]