08 巻七
 
〈雑歌クサグサノウタ・ザフカ〉
 
  雨アメを詠ヨめる
融トホるべく雨アメはな零フりそ吾妹子ワギモコが 形見カタミの服コロモ吾ワレ下シタに著キたり(巻七)
 
  河カハを詠ヨめる
ゆ種ダネ蒔マくあらきの小田ヲダを求モトめむと 足結アユヒ出イで沾ヌれぬ此コの水カハの湍セに
 
  羇旅にて作ヨめる
ちはやぶる金之三崎カネノミサキを過スぎぬとも 吾ワレは忘ワスれじ牡鹿シカの須売神スメガミ
大海オホウミの波ナミは畏カシコし然シカれども 神カミを斎礼イハひて船出フナデせば如何イカに(巻七)
 
〈譬喩タトヘウタ・ヒユカ〉
 
  玉タマに寄ヨす
海ワタの底ソコ沈シヅく白玉シラタマ風カゼ吹フきて 海ウミは荒アるとも取トらずば止ヤまず
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