10 神典とは
 
 神典とは、神事を記した文書のこと意味しますが、それはわが国では通常、「記紀等
の別称」とされています。
 図書としての「神典」は、大倉精神文化研究所発行の『神典』を云います。古事記・
日本書紀・古語拾遺・宣命(続日本紀抄、附中臣壽詞)・令義解(抄)・律(抄)・延
喜式(抄)・新撰姓氏録・風土記・萬葉集(抄)を収載しています。また同書は、厳密
な校訂の上、付訓の読み下し文としています。
 
    「神典」復刊の辞
 「神典」は本研究所の創立精神に基づいてその第一期の最も基礎的な事業としてこれ
 を企画し、三年余の歳月を費やして昭和十一年二月十一日の紀元節に初版を刊行した
 ものである。当時版を重ねて弐万五千部の普及をみることができた。
 この「神典」に収載の古典はわが民族精神の淵源するところを伝へ、わが国の歴史と
 文化の根底に働いてその形成の原動力となって来たものであり、われわれの祖先から
 子孫へと永久に継承さるべき貴重な宝典である。
 しかるに大東亜戦争終戦後の異常にしてかつ急激なる情勢の変転に伴なひ、国の精神
 的独立まで動揺を来たしたために、わが国の古典に対する評価においても、いわれな
 き否定の考へが横行する傾向を生じたことはまことに遺憾の極みであった。そもそも
 歴史の淵源する根本のところを否定してその国の完き自主独立はあり得ないし、独立
 の精神的基礎の揺いで居る国では世界平和への積極的な寄与貢献も期待することはで
 きない。
 古典は今日更めてその本来の意義を正しく評価されて、国民の親しめる形で広く普及
 されなければならない。
 このような趣旨に基きかつは心ある方面よりの容貌にも鑑みて、ここに「神典」を復
 刊することとした。特に今回は本文に索引を付し、印刷装幀にも特別に留意し荘重の
 趣を添へた。
    昭和四十二年二月十一日
                   大倉精神文化研究所
                       所 長   大 倉  邦 彦
 
 わが国の神社神道を奉ずる神職は、精神的また信仰的拠りどころを、この『神典』に
求めています。                             SYSOP
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