11 延喜式とは
 
                     『延喜式』に記載されています、祭祀、
                    祝詞、神名を始めとする諸々の規範は、現
                    在においても厳然として行われているもの
                    があります。
                     本稿は、講談社発行「古語辞典」を始め、
                    各種神職研修のテキストなどを参考にさせ
                    ていただきました。       SYSOP
 
△延喜式とは
 延長五年(927)撰上。康保コウホウ四年(967)施行。法令集。五十巻。藤原忠平ら編。
「式」は政務施行細則をいうが、当時の禁中の制度・儀式作法・規定・禁令・事務手続
きなどを網羅する。また祝詞ノリト二十七編を収める(参考:講談社発行「古語辞典」)。
 
△巻第一・二(神祇一・二)
 この巻には、四時祭の上と下が規定されています。
 恒例祭祀サイシの大中小の別として、
  大祀タイシ  践祚センソ大嘗祭オホニヘノマツリ
  中祀チュウシ 祈年祭トシゴヒノマツリ・月次ツキナミ祭・神嘗カムニヘ祭・新嘗ニヒナヘ祭・賀茂カモ祭など
  小祀セフシ  大忌オホイミ祭・風神カゼノカミ祭・鎮花ハナシヅメ祭・三枝サイグサ祭・相嘗アヒニヘ祭・
       鎮魂タマシヅメ祭・鎮火ヒシヅメ祭・道饗ミチアヘ祭・園韓神ソノカラノカミ祭・松尾マツノヲ
       祭・平野ヒラノ祭・春日カズガ・大原野オホハラノなどの祭
 祭日として、
  祈年祭 二月四日
  大忌祭・風神祭 四月・七月四日
  月次祭 六月・十二月十一日
  神嘗祭 九月十一日など
 また、各月の祭として、
  その神の座数
  祭神・散祭・解除ハラヘなどの料の明細(品目・数量・祭使・式次第など)
 
△巻第三(神祇三)
 この巻には、臨時祭について規定されています。
 霹靂神祭カムトキノカミノマツリ・鎮竃鳴祭カマナリヲシヅムルマツリ・鎮水神祭ミヅノカミヲシヅムルマツリ・御竃祭
ミカマドノマツリ・御井祭ミイノマツリ・産井祭ウブイノマツリ・鎮御在所祭オホマシドコロヲシヅムルマツリ・鎮土公祭
ドクウヲシヅムルマツリ・御川水祭ミカハミヅノマツリ・鎮新宮地祭ニヒミヤノトコロヲシヅムルマツリ
 この祭の料などとして、
  供神の装束、御禊ゴケイ、御贖ミアガモノ
 行幸の時の祭として、
  路次ロジ神の幣ミテグラ、堺サカヒ祭、大殿祭オホトノホガヒなどと、その料
 また、祈雨神アマゴヒノカミ祭の座数、名神祭の座数、遣唐使の舶を造る木霊コダマ并に山神
の祭などと、その料など
 
△巻第四(神祇四)
 この巻には、伊勢大神宮について規定されています。
 大神宮・荒祭宮アラマツリノミヤなどの座数、祭の種別や料など
 また式年の造営などについて規定
 
△巻第五(神祇五)
 「凡オヨソ天皇テンワウ位ミクライに即きたまはば、伊勢の大神宮の斎王イツキノミコを定めよ。よりて
内親王ヒメミコの未だ嫁がさる者を簡エラびて卜ボクせよ」など、斎宮イツキノミヤ・サイグウに関するこ
とについて規定されています。
 
△巻第六(神祇六)
 「凡天皇位に即きたまはば、賀茂カモ大神の斎王イツキノミコを定めよ。よりて内親王ヒメミコの
未だ嫁がさる者を簡エラびて卜ボクせよ」など、斎院司サイインジに関することについて規定さ
れています。
 
△巻第七(神祇七)
 「凡践祚センソ大嘗オホニヘは、七月以前に位に即きたまはば当年事を行ひ、八月以後ならば
明年事を行へ」など、践祚大嘗祭に関することについて詳細に規定されています。
 
△巻第八(神祇八)
 この巻には、祝詞ノリトについて規定されています。祝詞は、祭祀のときに白マヲすことと
されています。
 祈年祭、春日祭、廣瀬大忌祭、龍田風神祭、平野祭、久度古開クドフルアキ、六月ミナヅキ月
次ツキナミ(十二月シハスも)、大殿祭、御門ミカド祭、六月晦大祓ツゴモリノオホハラヘ(十二月も)、
鎮火ヒシヅメ祭などのときに白すべき祝詞文が記載されています。
 
△巻第九・十(神祇九・十)
 この巻には、神名ジンミャウの上(宮中・京中・五畿内・東海道)と下(東山トウザン・北陸
ホクロク・山陰・山陽・南海・西海サイカイ)が規定されています。
 天神アマツヤシロ地祇クニツヤシロの総数は三千百三十二座で、うち大は四百九十二座、小は二千
六百四十座とされています。大小それぞれに官幣クワンペイに預かる社、又は国幣コクヘイに預
かる社がありました。
 なお、この巻第九・十に登載されている三千百三十二座を「延喜式内社(単に式内社
シキナイシャ)」と云います。
 
△巻第十一〜五十は略
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